ココアにカフェインは含まれているの?ピュアココアとミルクココアで量は異なる!
ココアにカフェインは含まれているのか、寝る前に飲んでもいいのか。
ココア(ピュアココア・ミルクココア)やコーヒー、紅茶やコーラ、さらにはチョコレートにまでカフェインが含まれています。
カフェインは適量を摂取することでメリットもありますが、過剰摂取すると思わぬ健康被害を受けることも。さまざまな飲み物のカフェイン量と摂取目安量、過剰摂取してしまった場合の対処法を薬剤師の山形ゆかりさんが解説します。
ココアやコーヒーなどのカフェイン含有量
ココアやコーヒー、コーラといった飲み物には、どのくらいのカフェインが含まれているのでしょうか。それぞれ200mlあたりのカフェイン含有量を紹介します。
ココア
市販されているココアは、一般的に純ココアとミルクココアの2つに分けられます。
純ココアは、カカオ豆から油脂を分離し粉末にしたもの。それによってココアを作った場合のカフェイン含有量は、1杯10mg程度です。
純ココアに砂糖や乳製品を加えたミルクココアのカフェイン含有量は、商品によって異なるものの1~6mgといわれています。
コーヒー
コーヒー1杯に含まれるカフェイン含有量は、120mgほど。
しかし、エスプレッソコーヒーのように濃いコーヒーの場合、通常のコーヒーと同じ量で比較するとカフェイン含有量が多くなります。
商品や豆の種類によっても異なりますが、400mgほど含まれることもあるので注意しましょう。
エナジードリンク
エナジードリンクに含まれるカフェイン含有量も、商品によって異なります。一般的には60~70mg含まれていることが多いようです。
緑茶
緑茶に含まれるカフェイン含有量は、一般的に40mg程度です。
ただし、緑茶のなかでも玉露はカフェイン含有量が多いので要注意。1杯あたり320mg前後のカフェインが含まれています。
紅茶
紅茶に含まれるカフェイン量は、60mg前後だといわれています。
ただし、紅茶を牛乳で割って作るミルクティーの場合はカフェイン含有量が少なくなるでしょう。紅茶と牛乳の割合にもよりますが、一般的には20~25mgになることが多いです。
コーラ
コーラに含まれるカフェイン量は、20mg前後です。また商品によってはカフェインが含まれていないものもあります。
※参考文献 文部科学省 日本食品標準成分表
カフェインを摂ると、こんなメリットがある
カフェインを摂取することで、カフェインの血中濃度が高まります。それにより、カフェイン摂取の30~90分後には以下のようなメリットが期待できるでしょう。
興奮作用による疲労感の解消
カフェインは興奮作用を持っているため、摂取すると交感神経が優位になります。これにより、運動中の集中力が高まり、疲労を感じなくなるといわれています。
ただし、疲労を感じなくなるだけで、実際に疲労が回復したわけではない点に注意しましょう。疲労を回復させたい場合は、栄養バランスのいい食事や睡眠をとることが大切です。
血管収縮による頭痛緩和
カフェインは血管を収縮させる効果があるため、片頭痛の緩和が期待できます。
片頭痛の痛みは、脳の血管が拡張することで、血管の周りの神経が刺激されて生じます。そのため、カフェインによって血管の拡張が収まることで、頭痛が軽減されるでしょう。
利尿作用によりむくみを解消する
カフェインは利尿作用を持つため、むくみの解消の効果が期待できます。からだの余計な水分が尿として排出されるため、むくみで悩む方にはおすすめです。
ただし、大量に摂取することで尿量が増え、脱水症状を引き起こすリスクがあります。カフェインを含まない飲み物で水分を補給したり、カフェインを大量に摂取したりしないようにしましょう。
中枢神経を刺激し、眠気を覚ます
カフェインを摂ることで中枢神経が刺激され、眠気を覚ます効果があります。
人間が疲れを感じると、体内で「アデノシン」という物質が生成されます。アデノシンが受容体と結合すると心拍数が下がりリラックス状態になるため、疲れたときに眠気を感じると言われています。
カフェインはアデノシンと構造が似ているため、カフェインを摂取することでアデノシンよりも先に受容体と結合します。その結果、心拍数の低下が起きづらくなり、眠気覚ましの効果が期待できるのです。
また、カフェインを摂取すると交感神経が優位になることも、眠気を感じづらくなる要因のひとつです。
脂肪を燃焼しやすくする
ジョギングやウォーキングといった有酸素運動をする30分前にカフェインを摂取することで、脂肪の燃焼効果が高まるといわれています。
ダイエットや筋トレをしている方は、運動の前に摂取するのがおすすめです。運動への集中力が高まるため、長時間運動をする際にも効果が期待できます。
カフェインは過剰摂取のデメリットも大きい!
カフェインの摂取によってさまざまなメリットが期待できる一方、過剰に摂取すると以下のようなデメリットがあります。
身体症状におけるデメリット
カフェインを過剰摂取すると中枢神経が刺激され、以下のような症状が起きることがあります。
- 心拍数の増加
- 動悸
- 震え
- 下痢
- 吐き気
また、カフェインの過剰摂取が長期間にわたると、疲れが解消されずに強い疲労感や倦怠感を抱く恐れがあります。
精神症状におけるデメリット
カフェインの過剰摂取によって引き起こされるといわれている精神症状は、以下の通りです。
- 興奮
- 不安感の増大
- イライラ
- 不眠
こうしたリスクがあるため、カフェインの過剰摂取には注意しましょう。
飲み過ぎ注意! カフェインの1日における摂取目安量とは
1日あたりのカフェインの摂取目安量は以下の通りです。個人の体質や体格によって異なりますが、目安量を確認しましょう。
成人は「カップ約3杯」
健康な成人は男女ともに1日あたりのカフェイン摂取量を400mg程度にしましょう。コーヒーであればマグカップ約3杯です。
ただし、カフェインはコーヒーやココアのような飲み物だけではなく、チョコレートといった食べ物にも含まれています。総摂取量に注意しながら、カフェインを摂取してくださいね。
妊娠中の女性は「カップ約2杯まで」
妊娠中の女性はカフェインの血中濃度が下がりにくいと言われています。また、流産や早産のリスクが高まるため、1日あたりのカフェイン摂取量は300mg程度にしましょう。
コーヒーであれば、マグカップ約2杯です。
妊娠中の女性だけではなく、妊娠を予定している女性、妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性に関しても同様に、カフェインの摂取量に注意しましょう。
子どもは「カップ約1杯以下」
子どもはカフェインに対する感受性が高いため、成人よりも摂取量に注意が必要です。年齢に応じて、以下の量を1日あたりの摂取量の目安にしましょう。
- 4~6歳の子ども:最大45mg
- 7~9歳の子ども:最大62.5mg
- 10~12歳の子ども:最大85mg
カナダでは、13歳以上の子どもに関しては上限量を定めていないものの、1日あたり2.5mg/kgの摂取に留めておくのが望ましいといわれています。
仮に体重が40kgの場合、カフェインの目安量は最大100mgですね。
子どもは、コーラやチョコレートからカフェインを過剰摂取する可能性があるので注意しましょう。
コーヒーを飲みすぎた! カフェインを摂り過ぎた場合の対処法
注意していても、カフェインを摂り過ぎることはありますよね。もしくは、体調が悪い場合は少量のカフェインでも不調を感じることもあります。
その場合の対処法を2つ紹介します。
水分を摂ってカフェインの血中濃度を下げる
カフェインを過剰摂取したと気付いた時点で、水分を摂りましょう。水分を摂ることで、カフェインの血中濃度を下げることが期待できます。
尿の排出を促進する効果も期待できるので、カフェインを含まない飲み物や、果物を食べて水分を補給してください。
ただし、大量の水分を一度に摂取するのはおすすめできません。腎臓の処理機能が追いつかず、悪影響を及ぼす恐れがあります。少しずつ何度も補給しましょう。
カフェイン過多で不足しがちなミネラルを摂る
過剰なカフェインは、体内のカリウムやマグネシウムといったミネラルを体外に排出する働きをします。
ミネラルが減るとイライラや不安、心拍数の増加といった症状があらわれることがあるので、カフェインを過剰摂取した場合は水分だけではなくミネラルも補給しましょう。
とくに、カリウムには体内のナトリウムと水を尿として排出する働きがあります。排尿によってカフェインの血中濃度を下げることが期待できるので、カリウムを意識的に摂りましょう。
カリウムは海藻類や果物類、野菜類に多く含まれています。とくにきゅうりは水分もカリウムも豊富ですので、カフェインを過剰摂取した際におすすめです。
ココアを飲む場合もカフェイン量に注意を!
疲労感や頭痛を軽減したり、眠気覚まし効果が期待できたりと、カフェインにはうれしい効果がたくさんあります。
一方、カフェインを摂り過ぎると身体的にも精神的にも悪影響を及ぼす恐れがあります。カフェインを多く含む飲み物を飲む際には、適量を意識してくださいね。
監修・執筆者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
<Edit:編集部>