ウェルネスフード
2024年4月23日

「きゅうりはもっとも栄養がない野菜」は嘘!なぜそんな説が出たのか

夏野菜としても人気の「きゅうり」。よく「栄養がない」などと言われていますが、本当でしょうか? きゅうりの栄養と食べるメリット・デメリットとは。低カロリーのためダイエット食材としてもよく活用されますが……。

ボディメイクを食事面からサポートする「Muscle Deli(マッスルデリ)」の管理栄養士・瀧川みなみさんに聞いてみました。

Q.きゅうりをよく食べるのですが、「世界一栄養がない野菜」というウワサを聞きました。きゅうりには栄養が少ないのでしょうか? きゅうりダイエットも始めようかと思っているのですが……。 

A.きゅうりは「もっともカロリーが低い果実」というだけで、それ以外は当てはまりません。

まずは、一般的なきゅうり100gあたりの栄養成分から見てみましょう。

きゅうり1本(100g)あたり

  • エネルギー 13g
  • たんぱく質 1.0g
  • 脂質 0.1g
  • 炭水化物 3.0g
     -食物繊維 1.1g
  • カリウム 200g

比較のために、スーパーで通年手に入る他の野菜についても栄養成分を掲載します。

文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』より

低カロリーでカリウム、食物繊維が含まれている

きゅうりの95%は水分と言われています。上表からも分かる通り、きゅうりは野菜のなかでも重量あたりのカロリーが低いのが特徴です。

しかし、それに対してカリウムは他の野菜と同程度のカリウムが含まれていたり、食物繊維なども摂取できる点を考えると、「栄養がない」という一言で片付けるのは難しいかと思います。

ギネスに「Least calorific fruit(もっともカロリーが低い果実)」として登録されたことから誤解された?

実際、きゅうりは”Least calorific fruit(もっともカロリーが低い果実)”としてギネス世界記録に登録されています。

ただしそれは重量あたりのエネルギーが低いという点においてであり、それ以外の項目については当てはまりません。

きゅうりにはメリットがたくさん。塩分排出や食物繊維、ほてりを取るなど

塩分排出、食物繊維で腸内環境を整える

きゅうりを食べて健康増進するというものではありませんが、きゅうりに含まれるカリウムを摂取することで体内の余分な塩分の排出を促したり、食物繊維は腸内環境を整えることにも寄与します。

夏野菜なので暑さに強い体つくりにも有効

夏の時期は、食べることによってきゅうりの水分摂取により体のほてりを軽減するお手伝いもしてくれます。

低脂質でダイエット面にもおすすめ

美容の観点からは、低脂質のため、たくさん摂ってもニキビなど肌荒れの原因になりにくいことが挙げられます。

ダイエット面では、カロリーが低いためダイエット期間中でも量を気にせず食べられるのがうれしいポイントですね。パリパリとした食感もあるため、ある程度食べごたえも感じられるのではないでしょうか。

おいしいきゅうりの見分け方

きゅうりの旬は夏です。おいしい(新鮮な)きゅうりの見分け方は、表面にハリ・ツヤがある、太さが均一、ヘタがみずみずしい、緑色が濃い、イボが固くしっかりしているものです。

きゅうりの保存方法

きゅうりの保存方法について、乾燥・低温を避けるのが基本です。早めに食べきるのがベストですが、保存する場合は常温ではなく、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。

きゅうりは冷凍保存可能です。1本ずつよく洗い、水分をしっかり拭き取ってラップをして冷凍庫で保管しましょう。

使用する場合は流水解凍し、包丁で切れる硬さまで半解凍できたら、お好みの形状にカットして調理してください。解凍時に水分はある程度抜けるため、塩もみが必要な料理のときは時短になります。

執筆者プロフィール

瀧川みなみ(たきかわ・みなみ)
株式会社Muscle Deli管理栄養士、調理師。青山学院大学文学部卒業後、専門学校で調理師、食生活アドバイザー、栄養教諭を取得。専門学校卒業後は大手外食企業で働きながら管理栄養士を取得。接客、店舗管理、副料理長を務めたのち本社の商品企画・開発部門でデザートメニューの商品開発をおこなう。その後、クラウドレストランを運営するベンチャー企業に転職し、8ブランドの立ち上げを実現。より多くの人に向けて体・健康づくりの手伝いがしたいと思い、Muscle Deliに入社。商品開発、栄養指導、レシピやコラム作成等を担当。プライベートでは料理教室や食事に関するセミナーなどのイベントを主催。

マッスルデリ

記事協力
株式会社Muscle Deli
公式サイト https://muscledeli.co.jp/

<Text:編集部>