幸せホルモン「セロトニン」を増やす運動は?なぜ体を動かすとメンタルにいいのか (1/3)
心の健康に重要な役割を果たすホルモン「セロトニン」。幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンは、ストレスの軽減や幸福感の向上に大きく寄与します。セロトニンを効率的に分泌させるためには、日常生活に運動を取り入れるのも方法のひとつ。どんな運動がオススメなのか、また運動でセロトニンが分泌されるメカニズムとは。
セロトニンとはどんなホルモン?
セロトニンは、脳内で重要な役割を果たす神経伝達物質のひとつです。おもに感情の調整、睡眠の質の向上、食欲の制御、消化機能の調整など、私たちの体と心の多くの機能に関与しています。
セロトニンはどんな働きをする?
セロトニンの主な役割を見ていきます。
感情を安定させる
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分や感情の調整に重要です。セロトニン分泌のレベルが高いと、幸福感や安定した気分が保たれやすくなります。
同じ神経伝達物質のひとつに「ドーパミン」があります。名前を聞いたことがある人もいるのでは。ドーパミンが分泌されると身体の興奮を促すのに対し、セロトニンは、興奮を抑制する方向にはたらきます。
感情が沸き立つドーパミン的な幸福と、しんみりと感じるセロトニン的な幸福。セロトニン的な幸福を目指すことは、人生におけるQOL(生活の質)を高めることにつながります。
ストレスを軽減させる
セロトニンが十分に分泌されると、ストレスや不安を感じにくくなると言われています。逆に、セロトニンの不足はうつ病や不安障害のリスクを高めることがあります。
睡眠の質向上
セロトニンは、睡眠を促進するホルモンであるメラトニンの生成に関与しています。日中にセロトニンが十分に分泌されると、夜のメラトニン分泌が正常化し、質の良い睡眠が得られます。
食欲コントロールや消化機能のサポート
セロトニンは、腸にも多く存在し、消化活動をサポートしています。また、食欲のコントロールにも関与し、過食や食欲不振の予防に役立ちます。
セロトニンが不足するとどうなる?
セロトニンが不足すると、次のような症状が現れることがあります。
- 気分の落ち込みやうつ症状
- 不安やイライラが増す
- 睡眠の質の低下、不眠症
- 過食や食欲不振 など
こうした状態を避けるため、適度な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠、日光浴などでセロトニンの分泌を促す必要があります。
どれかひとつというより組み合わせて対策することが大切ですが、本記事では運動にフォーカスし、運動とセロトニンの関係性、オススメの運動を見ていきます。
なぜ運動がセロトニン分泌を促すのか
運動でセロトニン分泌が促進されるメカニズムとして、以下があります。
運動によりセロトニンの素「トリプトファン」が増加する
運動をすると、脳内でセロトニンの前駆体であるアミノ酸「トリプトファン」の濃度が増加します。これにより、セロトニンの合成が促進されます。
神経細胞が活性化する
運動は、脳の特定の部位、特に前頭前皮質や海馬といった感情や記憶に関わる部位を活性化します。これにより、セロトニンの合成と放出が増え、気分が改善されます。
ストレスホルモン「コルチゾール」が低下する
運動は、ストレスホルモン「コルチゾール」のレベルを低下させる効果があります。コルチゾールが減少することで、セロトニンの分泌が相対的に増加し、リラックスした気分をもたらします。
神経成長因子(BDNF)の増加
運動は、脳の神経成長因子であるBDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌を促進します。BDNFは神経細胞の成長と修復をサポートし、セロトニンを含む神経伝達経路の活性を高める効果があります。
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