“勝つための体づくり”をAIがサポート!食事トレーニングアプリ「food coach」とは (1/3)
AI(人工知能)の先端技術を搭載したスマートスピーカーや、体を動かしながら音楽を心地よく楽しむためのスポーツイヤホンを商品化してきた日本のオーディオブランド「オンキヨー」が、スポーツの名門・至学館大学とパートナーシップを組んで、今年の夏に画期的なサービス「food coach /フードコーチ」を発表します。
フードコーチとは、国内外でも初めての試みになる、スポーツ栄養に特化したAIを搭載する「食トレ(食事トレーニング)」アプリサービスです。従来のヘルスケアを目的としたアプリサービスと違って、アスリートの成績向上を目的に開発されたというフードコーチはどんなサービスなのでしょうか。開発に携わる至学館大学の杉島有希准教授、オンキヨースポーツの代表取締役社長 中島健城氏に詳細を訊ねてきました。
手もとのスマホにいつもスポーツ栄養士がいてくれるような感覚
▲今回は愛知県大府市の至学館大学キャンパスを訪問
フードコーチはiOS/Android対応のスマートフォンを使って利用するクラウドサービスです。IBMの拡張知能「Watson」をベースに開発されたクラウドAIにアプリから接続して、ユーザーはいつでも手元のスマホから自身の栄養バランスに関する状態を確認したり、さまざまな“食トレ”のアドバイスを参照できるようになります。
アプリの使い方はとてもシンプル。ユーザーはクラウドサーバーに収録されている10万件を超える食品・料理のデータから、自分が食べたものを選んでアプリに記録していきます。するとアプリが栄養素の過不足をグラフや点数評価を使って画面上で“見える化”してくれます。
▲左から、TOP画面(フードコーチアプリのトップ画面。摂取エネルギーの現在値やスコアが表示される)、プロフィール(登録したユーザーのプロフィールがスコア等にも反映される)、トレーニング登録(トレーニングの実践時に毎度その内容をアプリに記録する)
▲毎回の食事情報を登録する画面(一番右)では、一般/市販食品/外食の3つのカテゴリーに合計約10万種類の食事データが登録されているので、検索・登録。補食時の分量も想定して食事の量は0.1人前刻みで登録が可能
▲ユーザーの栄養素のステータスがアプリに記録されていく。グラフで視覚的に伝わりやすいところもこのアプリの特長
毎日3食の食事だけでなく、サプリメントや“おやつ”など補食の経過、体重や体脂肪量、除脂肪量などの身体情報、選手の競技・ポジションなどの情報も細かく、正確に登録しておけば評価の精度がますます高くなります。一定期間のデータがたまってくると、食トレの成果をAIが解析しながら、ユーザーにとってベストな食事トレーニングのメソッドをアドバイスしてくれるようになります。
アスリート・食トレプログラム「FOOD CAMP」と一緒に提供
フードコーチは今夏以降に各アプリストアからダウンロードできるようになりますが、オンキヨースポーツではこれを一般ユーザー向けとしてアプリ単体で提供するのではなく、BtoB向けのアスリート・食トレプログラム「FOOD CAMP」としてパッケージ提供するところから始めるそうです。
中島氏は「おそらく個人の方がアプリだけを手にされても、食事トレーニングを継続しながら習慣化して、そこから最大の効果を引き出す方法がわからないだろうと思います。当社では自己管理能力を高めるための基礎知識を身に付けることを目標とした3ヶ月、6ヶ月単位のサブスクリプションプログラム『FOOD CAMP』をご提供します。至学館大学の杉島准教授が代表を務めるスポーツ栄養サポートチーム/SNSTの協力を得て、フードコーチの有効な活用方法をしっかりとご案内して、皆様にとって使えるサービスに育てたいと考えています」と説明しています。
▲アプリサービスを開発したオンキヨースポーツ株式会社 代表取締役社長の中島健城氏
至学館大学のSNST/Sports Nutrition Support Teamは、アスリートの「食」を全面的にサポートする幅広い知識と経験を持つ、国内トップクラスの「スポーツ栄養」の専門家集団です。代表の杉島氏のほか、プロのスポーツ栄養士から学生スタッフまで取材時点では在籍・活躍するスタッフの数が約80名いらっしゃいました。
スポーツ栄養サポートチーム/SNSTは現在、至学館大学・高校体育系クラブはもちろん、全国のプロスポーツチームや個人のトップアスリートをサポートしています。また医療機関や健康増進施設、スポーツ関連企業とも提携しながら、地域単位のアマチュアスポーツ振興も、スポーツ栄養学の側面から積極的にサポートしています。
杉島氏が考えるフードコーチの可能性を伺いました。
「スポーツ栄養学はまだ比較的若い学問なので、当学のSNSTチームのような活動をしている機関も世界的にまだ多くはありません。2020年に東京五輪の開催が決まって、国内ではいまトップアスリートだけでなく、地域レベルの選手やジュニアクラスのアスリートにも専門的なスポーツ栄養のサポートを受けてみたいという声が広がっています。SNSTにも全国から問い合わせをいただくようになりましたが、なかなかその全てにお応えができず心苦しく思っていた頃、オンキヨースポーツ取締役であり、現至学館大学客員研究員である坂野道郎氏が2年前から進めていたフードコーチのプロジェクトと出会い、アプリの開発監修に着手することとなりました。その後オンキヨースポーツとサービスの具体化について産学連携で進めてまいりました。ユーザーの皆様が持っているスマートフォンとアプリを使うだけで、先端のスポーツ栄養学による食事トレーニングを全国のジュニア層まで広く活用できるところに可能性を感じています」