ヘルス&メンタル
2023年6月5日

あなたの“将来寝たきりになる危険度”は?セルフチェックしてみよう

 「ロコモ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。ロコモとは「ロコモティブ・シンドローム」の略で、日本語にすると「運動器症候群」と訳されます。運動器である足腰の骨・関節・筋肉が衰えることにより、寝たきりになる可能性が高まっている状態です。

 ロコモの原因となる三大運動器疾患は、「骨粗鬆症」「変形性膝関節症」「脊柱管狭窄症」と言われています。しかし、慢性的な運動不足なども大きな原因です。現在の日本は世界でも最高水準の平均寿命を誇っている一方、世界最悪の寝たきり大国でもあります。寝たきり期間は男性で平均約9年、女性で平均約12年と言われ、ユーロ圏と比較すると1.5~2倍の長さです。

 仕事や子育てを終え、いよいよこれから趣味や特技を満喫できるという時期に寝たきりになってしまう。これは、誰も望むことではないでしょう。そのため日本整形外科学会が提唱し、未然に防いでいこうとしているのです。

ロコモ度をセルフチェック

 コロナ禍において、外出自粛やICT化が進むことにより運動不足が加速度的に進行しています。後々の人生を楽しむためにも、この機会に自身の状態をチェックしてみてください。

 判定方法は「ロコモ度テスト」と呼ばれ、3種類あります。「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」の実技テストと、「ロコモ25」という身体状態・生活状況のチェックリストです。

立ち上がりテスト

 下肢の筋力の強さを判定します。40cm・30cm・20cm・10cmの高さに腰かけ、腕を胸で組み、手や反動を使わずに両脚または片脚(左右とも)で立ち上がり3秒保持できるかどうかを試します。

1. 高さ40cmの高さの台に腰かけ、両足で立ち上がれるかテスト。できなかったら「ロコモ度3」に該当します。

2. 次に40cmの高さで、片脚(左右とも)でできるかテスト。両脚ともできた人は台の高さを10cmずつ下げ、どちらかの脚ができなくなるまでテストしましょう。どちらかの脚でできなかった人は、両脚で10cmずつ高さを下げながらテストしていきます。

判定結果

  • ロコモ度1:機能の低下が始まっています
    片脚40cmはできないが、両脚20cmなら立ち上がれる
  • ロコモ度2:機能の低下が進行しています
    両脚20cmはできないが、両脚30cmなら立ち上がれる
  • ロコモ度3:支障をきたしています
    両脚30cmから立ち上がれない

2ステップテスト

 歩行能力を判定するテストで、歩行能力と歩幅には密接な関係があります。まずはできるだけ大股で二歩進み、その距離を計測します。「距離÷身長=2ステップ値」を求め、その数値で判断します。

判定結果

  • ロコモ度1:機能の低下が始まっています
    2ステップ値が1.1以上1.3未満
  • ロコモ度2:機能の低下が進行しています
    2ステップ値が0.9以上1.1未満
  • ロコモ度3:支障をきたしています
    2ステップ値が0.9未満

ロコモ25

 チェックリストに沿って5段階で回答し、その合計点を算出します。日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコモONLINE」にある『ロコモ25』のチェックリストに従い、回答を行います。

判定結果

  • ロコモ度1:機能の低下が始まっています
    7点以上16点未満
  • ロコモ度2:機能の低下が進行しています
    16点以上24点未満
  • ロコモ度3:支障をきたしています
    24点以上

 以上3つのテストを行い、もっとも悪いロコモ度があなたのロコモ度になります。なお、該当しなかった人は今のところロコモではありません。

ロコモを防ぐエクササイズ

 該当してしまった人も該当しなかった人も、今後のために以下のトレーニングをしていくとよいでしょう。

  1. 片脚立ち(1分×3セット)
  2. スクワット(5~6回×3セット)
  3. つま先立ち(10~20回×2~3セット)
  4. 片脚を前に踏み出しながらのスクワット(5~10回×2~3セット)

 ロコモ度テストを行うことで、自分自身の未来を予見しやすくなります。人生を長く楽しむためにも、今のうちからできることをしておきましょう。

・ロコモONLINE(日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト)
https://locomo-joa.jp/

<プロフィール>
赤堀達也(あかほり・たつや)
1975年・静岡県出身。奇抜な理論ながらも論理的な指導で小学校・中学校・大学でバスケのヘッドコーチを行い、体力テストが市内低水準校で県大会優勝するなど選手育成を得意とする。最高戦績は全国準優勝。
2019年度より旭川大学短期大学部准教授として、この理論を応用した幼児体育・健康の研究を行い北海道の子どもの体力向上を図る活動に取り組む。またパーソナルストレッチ・スポーツスタッキング・部活動改革にも取り組む。
[HP] https://mt-a.jimdo.com

<Text:赤堀達也/Photo:Getty Images>