ウェルネスフード
2021年12月14日

コーヒーは1日何杯まで?カフェインの摂りすぎで起こるデメリット (1/2)

 コーヒーに含まれる成分のひとつ、カフェイン。覚醒や眠気覚まし、脂肪燃焼などさまざまな効果が期待できます。カフェインに強い人、弱い人がいますが、その感受性は個人差が大きく、日本では1日の摂取許容量の設定がなされていません。

 しかしカフェインを摂りすぎると、カフェインに弱い人でなくてもさまざまな健康被害を引き起こすことがあります。

 今回はカフェインの過剰摂取で考えられる悪影響について、各専門家の意見をまとめていきます。

カフェインを摂りすぎるとどんな症状が起きる?

 カフェインを摂取しすぎると、中神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気といった体調不良を引き起こすことがあります。

 また、睡眠の質にも影響が出てきます。睡眠医療を専門とする精神科医で、早稲田大学准教授の西多昌規氏によると、やはり夜のカフェインは睡眠の質を落とす要因になるそう。

「カフェインは4~5時間ほど作用が持続するものなので、良質な睡眠を取りたいのであれば、夕方以降は飲まない方がいいです」
「カフェインを飲んでも関係ないと言う人が多いと思いますが、飲んでいる人の睡眠時の脳波を見てみると、明らかに眠りが浅くなっていることがわかります」

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 カフェインを毎日摂取していると体が慣れていきます。感受性が低下し、摂取しないと眠気や疲れを感じたり、集中力が続かない状態になることも。効かないと勘違いをしてたくさん摂取した場合、カフェイン依存症に陥る危険性もあります。

カフェインはどれくらい飲むと危険?

 カフェインの摂取に関しては、国際機関などから注意喚起がなされています。以下、海外の専門機関による主なリスク評価(食品安全委員会ファクトシートより転載)です。

※注1 乳児に健康リスクは生じない 
※注2 1回あたり摂取量約3mg/㎏体重以下(例:体重70㎏の成人で約200mg以下)であれば急性毒性の懸念は生じない

 管理栄養士の深野裕子さんはこう注意します。

「カフェインの感受性には個人差が大きく、健康におよぼす量を正確に評価することができないことが理由となり、日本では1日の摂取許容量の設定がなされていません。とはいえ上限がないわけではなく、1日のカフェイン摂取量は300mg/日(5mg/・体重)にとどめるべきとする報告(注1)もあるので、この辺を目安にしておくといいでしょう」

(注1:『日常生活の中におけるカフェイン摂取 -作用機序と安全性評価- 』栗原 久 東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号 (Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare) pp109-125 (2016,3))

コーヒーなら1日3杯が目安?

 どうやらカフェインの1日における摂取量は決まりがなく、個人によるとしか言えないのが現状のようです。それでも、1日あたり300mg程度に留めておくのが無難とのこと。

 300mgはどれくらいかというと、顆粒インスタントコーヒ―1杯(150ml)あたりのカフェイン量が約86mgということから、だいたい3杯程度と考えることができます。

食品中のカフェイン濃度

インスタントコーヒー(顆粒)

※インスタントコーヒー2g、熱湯140mlの場合

150ml・・・86mg
200ml・・・114mg
250ml・・・143mg

ドリップコーヒー(抽出液)

※コーヒー粉末10g、熱湯150mlの場合

150ml・・・90mg
200ml・・・120mg
250ml・・・150mg

紅茶

※茶葉5g、熱湯360ml、蒸らし1.5~4分

150ml・・・45mg
200ml・・・60mg
250ml・・・75mg

2019年における日本食品標準成分表2015年度版(七訂)のデータ更新 より作成

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