
ダイエット中に朝食を食べるメリットとは。痩せたい人におすすめのメニューはコレ[医師監修]
- 健康
- 2023年2月3日
朝食は毎日とれていますか? ダイエット中だからと朝食を抜いていないでしょうか。実は、朝食を抜いてダイエットを考えるのは大きな間違いです。この記事では、朝食がダイエット中に重要である理由と、おすすめのメニューや食材をご紹介します。
朝の食事がダイエットに重要な3つの理由
朝食をとらないのは、ダイエット中だからというだけでなく「朝の準備が忙しいから」「食欲がないから」といった方もいるかもしれません。しかし、健康的なダイエットにはしっかりと朝食を食べることがとても大切です。
その理由は、朝食に次のような利点があるからです。
1. 代謝がUPする
朝食は一日を元気に過ごす原動力となります。睡眠中もエネルギーは消費されているので、朝起きたばかりのからだはエネルギー不足になっています。
朝食をとれば体に栄養が行き渡るので、エネルギーが満たされ体温も上がり、代謝にもよい影響を与えます。代謝が上がれば脂肪を燃焼しやすくなるので、痩せやすい体にも繋がります。
2. 体内時計が整う
朝食は「体内時計」を整えるスイッチです。私たちの体には体内時計が存在しており、ほぼすべての細胞に備わっています。朝になれば目が覚めて、昼になればお腹が減り、夜になれば眠くなる……。このような、体に備わっている一連の生活リズムを調整しているのです。
体内時計がズレてしまうと、健康上さまざまな問題を引き起こします。なかでも、睡眠不足はダイエットによくありません。睡眠時間が十分にとれていないと、食欲を抑えるホルモンの分泌が減り、食欲を高めるホルモンの分泌が増えてしまうことがわかっているからです。
さらに、褐色脂肪細胞の体内時計が乱れると太りやすくなることも、金沢大学医薬保健研究域医学系の安藤仁教授らの共同研究グループが発表しています。
体内時計を整えるためには朝食が重要です。全国健康保険協会では、体内時計と朝食の関係を次のように述べています。
「朝食で、体内時計を合わせましょう
人間の体内時計は1日25時間の周期をもっており、24時間周期の地球のリズムとは1時間の誤差が生じています。この体内時計のリズムをリセットする、時間合わせのためのスイッチが「太陽の光」と「朝食」です。朝食には<からだのリズムを整える><体温を上げる><脳にエネルギーを補給する>役目があり、脳とからだの目覚まし時計といわれています。」
(引用元: 全国健康保険協会 「11月 朝食と、旬の素材の大切さ」)
上記からも、朝食が体内時計を整えるのに重要であることがわかります。そして、体内時計を整えることは太りにくい体づくりにつながるのです。
3.血糖値を安定させる
ダイエットには、血糖値のコントロールも重要です。私たちの体には、血糖が一気に上昇するとインスリンが過剰分泌され、糖を脂肪に変えて蓄積するというメカニズムがあります。
朝食を抜くと前日から空腹状態が10時間以上も続くため、体内の血糖値は極端に下がっています。ここで昼食や夕食をとれば、血糖値は急激に上昇し、インスリンの過剰分泌により、脂肪を蓄えやすくなってしまうのです。
また、長時間の空腹は早食いや食べ過ぎを招いてしまうことも考えられます。
朝食をとることで血糖値が安定するということは、カナダのトロント大学、ジェンキンス博士によって発表された理論「セカンドミール効果」でも発表されています。1日のうちで最初にとった食事が、2回目の食後血糖値にも影響を与えるというものです。
朝食がダイエットにいかに重要か、血糖値の視点から考えても理解できますね。
痩せる朝食ってどんなメニュー? おすすめの食材やポイント
ダイエット中におすすめする朝食の食材やメニューをご紹介する前に、理想的な朝食の摂取カロリーについて見てみましょう。
1日の摂取カロリーの目安は活動量や年齢、性別などによって異なります。厚生労働省の発表する日本人の食事摂取基準(2020年版)では、体重あたりの総エネルギー必要量を成人ではおおむね30〜40kcal/kg 体重/日の範囲だとしています。
また、推奨されている朝・昼・夕の3食の比率は諸説ありますが、女子栄養大学医化学研究室の香川靖雄らの研究では「3:3:4」を理想としています。
以上のことからダイエット中の朝食は、500〜600kcal前後を目安にとるとよいでしょう。
それでは、和食派の方とパン派の方それぞれ分けて、ダイエット中のおすすめメニューをご紹介します。
和食派の理想メニュー
朝は和食派だという方は、一汁三菜がきちんとそろった「旅館のような定食」がダイエットに最適です。
味噌汁、白飯、魚、卵、納豆、おひたしなどの野菜を朝からしっかり食べられると最高です。どんな食品を選んだとしても、味はあまり濃過ぎないように心がけましょう。
朝からきちんと準備するのは大変かもしれませんが、白飯にしらすを加えたり、おかずに冷奴を選ぶなど簡単なもので十分です。
味噌汁や卵焼きなど、手のかかるものは前日から準備しておくのもよいでしょう。ポイントは高タンパク・低カロリーを意識することです。
和食派におすすめのおかず
- ネバネバ食材(納豆やとろろ、オクラ)
- 大豆製品(豆腐、納豆、きなこなど)
- 卵(ゆで卵、卵焼きなど)
- 魚類(焼き鮭、ツナなど)や、肉類(ササミ、赤身中心の豚や牛など)
パン派の理想メニュー
朝はパン派、という方には「全粒粉のパン」や「ライ麦パン」など噛み応えのあるものをおすすめします。
パンは軽い口当たりなので、おなかにたまりにくいうえにカロリーが高いのが難点です。なるべくかたいパンを選んで満足度を上げましょう。
主食をパンにするとタンパク質が不足しがちになるので、合わせるおかずはタンパク質がとれるものを選びましょう。
パン派におすすめのおかず
- ハムエッグ
- チーズ
- ヘルシーなサラダ
- フルーツ入りヨーグルトなど
バランスよく食材を加えて、なるべく多くの栄養素をとれるようにしましょう。
昼・夜の食事もダイエットを意識しよう
朝食に気を使えば、あとは何を食べてもいいというわけではありません。ダイエット中であることを昼食や夕食でも意識し、栄養バランスや摂取カロリーを1日のトータルで考えましょう。
昼食の摂取カロリーの目安
昼食の目安は、朝食と同じ500〜600kcalです。昼食も午後の仕事や勉強の原動力になるので、推奨されるカロリー範囲内でしっかり食べましょう。
朝が和食だったら野菜たっぷりのサンドイッチ、パン食だったら魚料理の定食など、工夫して選びましょう。
夕食の摂取カロリーの目安
夕食は、800kcal前後を目安にメニューを選びます。現代人の生活スタイルからどうしても夕食に食事量が偏りがちになりますが、夜にがっつり食べてしまうと当然太りやすくなってしまいますので注意しましょう。
一日の疲れから好きなものを食べたくなってしまいますが、ダイエット中の夕食では我慢です!
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<監修者プロフィール>
木村眞樹子(きむら・まきこ)
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならないからだをつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットをいかしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/
<Text:編集部>