スクワットの効果が出なくなった!停滞期にチェックすべき5つのポイント (1/2)
筋トレをある程度の期間続けていると、おもしろいように自己記録を更新できる時期があります。初心者レベルから中~上級者へと移っていくこの時期は、記録だけではなく体の変化も実感できるため、モチベーションも上がるでしょう。
ところが、そのうちなかなか記録が伸びなくなる停滞期がやってきます。残念ながら、筋トレの記録は永遠に右肩上がりで上がり続けるものではありません。
停滞期には、必ず原因があります。そして、その原因は人によってさまざまです。ひたすら回数や重量を増やして、根性で停滞期を乗り切る手もありますが、できれば合理的で無理のない方法を選びたいものです。
今回は下半身を鍛える代表的な種目であるスクワットを一例として、筋トレの記録が伸び悩み始めた人に、弱点の見つけ方とその対策をご紹介します。
1.臀部とハムストリングスは使えているか
スクワットは、複数の関節を動員して行う複合関節動作です。そのため、鍛えられる筋肉群も多岐に渡ります。
メインで鍛えられる部位は臀部(でんぶ)、ハムストリングス、大腿四頭筋。それ以外にも、ふくらはぎ、腰、背中が挙げられます。
これらの筋肉群は、均等に強くなるわけではありません。その人の体型あるいはフォームの違いによって、あまり有効に使えていない箇所ができてしまうことはよくあります。そのようなアンバランスさは弱点になるだけではなく、怪我の原因にもなりかねません。
世界陸上400mハードルで2度の銅メダルを獲得した、元プロ陸上選手の為末大さんは、著書『日本人の足を速くする』(著者:為末大/出版社:新潮社)の中で、日本人がスクワットをやり過ぎると膝上の筋肉のみが発達してしまうから、むしろやらない方がよいと述べています。
速く走るためには内腿や臀部の筋肉の方が大切なので、スクワットとは別のトレーニングを選ぶべきだとしているのです。本来なら、それらはすべてスクワットで鍛えられる筋肉群となります。しかし為末さんによると、そうならないケースが多いということです。
為末さんが言うように、そのことが日本人の特有の傾向なのかどうかはわかりません(筆者はアメリカ人アスリートにもよくそうした人を見かけますので)。スクワットをよく行う人の中には、体の前面にある大腿四頭筋だけが発達してしまい、体の後ろ側にある臀部やハムストリングスがあまり鍛えられていない人が少なからずいます。
体の裏側は鏡では見えませんので、よほど注意しないと発見しにくい弱点でもあるでしょう。
2.スクワットの効果を上げるために必要な筋肉を鍛える
デッドリフトを行っていない人が臀部やハムストリングスを意識して鍛えるには、以下のような筋トレ種目が効果的です。
グルート・ブリッジ
- 足を腰幅に広げて仰向けになる
- 両腕を横に伸ばして手のひらも床につけ、膝から肩が一直線になるまで腰を上げる
- 数秒間停止した後、ゆっくり元の体勢に戻る
鍛える部位:臀部
回数の目安:10~12回
ヒップ・スラスト
ベンチに肩を乗せ、バーベルを用いてグルート・ブリッジと同じ動作を行います。
鍛える部位:臀部
回数の目安:6~10回を3~5セット
ルーマニアン・デッドリフト
- 上半身を前方に倒すと同時に、片足を後方に上げる
- 上半身が地面と平行になったら、一旦停止してバランスをとる
鍛える部位:ハムストリングス
回数の目安:15回5セット
3.デッドリフトを行い、1RM(最大挙上重量)を比較してみる
もしデッドリフトも行っていたら、バーベルスクワットと「1RM(最大挙上重量)」を比較してみましょう。
大雑把に言えば、デッドリフトはバーベルスクワットより25~30%ぐらいは重い重量を挙げられる種目です。
仮にバーベルスクワットの1RMが100キロだとしたら、デッドリフトでは125キロ以上は挙がるはずです。もしそうでないとしたら、臀部やハムストリングスの筋力が大腿四頭筋より相対的に弱いのだと判断するべきでしょう。
その場合は、デッドリフトにもっと取り組むことで、結果としてスクワットの記録も伸ばせるかもしれません。
4.体幹の筋力を鍛える
スクワットに脚の筋力が重要なことは言うまでもありません。しかし、姿勢を維持する体幹の強さも大きな要素になります。
肩に担いだバーベルの重さに体幹が耐えきれず背中が折れ曲がってしまうと、立ち上がることは難しくなるほか、腰や背中の故障にも繋がることもあるのです。
スクワットを続けることで、体幹も自然に鍛えられていきますが、もし体幹部分が弱いと感じる人は、以下の体幹トレーニングを行うとよいでしょう。
ホロー・ロック
ホロー・ロック。仰向けになり両腕と両足を伸ばしたままロックし、腹筋に力を入れて前後にゆっくりと動く。
バック・エクステンション(スーパーマン・ホールド)
バック・エクステンション。うつ伏せの状態から、両腕と両足を地面から浮かせて静止する。
オーバーヘッド・スクワット
スクワット動作をしつつ体幹を鍛えるには、オーバーヘッド・スクワットも非常に有効なエクササイズです。
バーベルを広く握り、頭上に固定したままで行うスクワット。肘を伸ばした状態でロックし、脇の裏を正面に向ける。バーベルの代わりに塩ビパイプでも代用可能。
体幹が強いか弱いかは、見た目とは関係がない
もしあなたがシックスパックに分割された腹筋を持っていたとしても、それだけで体幹の筋力が十分にあるとは限りません。
これは、逆もまた然りです。ぽっちゃりとして見た目がよくないお腹の持ち主でも、きちんと姿勢を支えることができる人もいます。なぜなら、腹筋が割れて見えるかどうかは、筋肉より脂肪の厚さによって左右されるものだからです。
体幹の強さは、はっきりとした数字で測定しにくいものです。しかし、腹筋起こし(シットアップ)を行ったとき、お腹より先に脚の付け根が疲れる人や、腰が痛くなる人は、腹筋を有効に使えていないことを意味します。