ヘルス&メンタル
2024年8月8日
「相手を思いやり、和を重んじる日本人」…のはずが、なぜ誹謗中傷が相次ぐのか?その心理と対処法 (2/3)
(3)迷惑を掛けてはいけない
前項で、和を乱すマナー違反は叩いてもいいと捉える傾向を指摘しました。
このマナーの中には、「人に迷惑を掛けてはいけない」も含まれます。そして、この発言をする場面を精査すると、次の2つの捉え方があることがわかります。
1.(発言者本人が)私は周囲に迷惑を掛けてはいけない
2.(マナー違反をした人に対して)あなたは周囲に迷惑をかけた
誹謗中傷が起きるのは、圧倒的に後者の場面です。
スポーツの場合は「これだけ応援したのに裏切られた」「勝つ寸前だったのに、台無しにした」という心理が働きます。
期待や盛り上がった雰囲気と落胆する気持ちとのギャップの大きさが、誹謗中傷の大きさに比例します。そして、ネガティブな感情の矛先が責任追及へと向かうのでしょう。
同時に「裏切られた自分は被害者だ」という被害者意識も加わるようです。この場合、加害者としての意識は薄れます。
(4)マウントと切磋琢磨の混同
誹謗中傷の中には、マウントを取りたい心理も含まれます。
「人に勝ちたい、負けたくない」心理は誰しも持つものです。向上心が人を成長させます。ただ、本来求められるのは、切磋琢磨です。
スケートボードの選手たちが、競技を終えた後、お互いハグをし健闘を称え合うシーン。これが切磋琢磨です。
これに対してマウントは、ストレスの発散だったり、弱い者いじめだったり、単なる「いじめ」と同じです。いじめの場合、鍛錬は不要です。相手の弱点・欠点を叩けばいいだけだからです。
向上心や鍛錬を必要としない点、これが切磋琢磨とマウントとの大きな違いです。
このように考えると、誹謗中傷を繰り返す人の中には、自己肯定感や自尊感情が低い人が多いことがわかります。自分にYesと言えない人は、他者にもYesとは言えないからです。