インタビュー
2019年2月12日

空手の経験が僕にとってキーポイント。柔軟性・バランス力が野球に生かされました。元プロ野球選手・田中浩康(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #20 (1/3)

 スポーツ界の第一線で活躍しているアスリートに、幼少期の習い事について訊く連載。自身の経験を振り返っていただき、当時の習い事がどのようにその後のプレーに活かされたか、今の自分にどう影響しているかを伺います。

 小学生のころから空手と野球を始め、陸上大会にも借り出されて出場していたという田中浩康さん。空手の経験は野球に大いに役立ったと語ります。現役の間もオフシーズンに陶芸やクラシックバレエなど野球と関連のない分野にチャレンジし、トレーニングに生かしていました。その理由とは?

前編:野球は4番ピッチャー、空手や陸上でも活躍したスポーツ万能少年。でも中1でプロの夢は断念。元プロ野球選手・田中浩康(前編)

空手で左右のバランスを整えることでけがを予防

――子どものころ野球以外にも空手や陸上も得意だったそうですが、一般的に親御さんとしては子どものさまざまな習い事、スポーツから何をメインとして選んでいくか難しいところです。

今は子どもの教育のためにはいろいろな経験をさせたほうがいいという考えがだいぶ広まってきているように思います。複数の習い事とどう付き合うか、やはり本人がそれを好きであるかどうかが一番大事ではないでしょうか。なんでもある程度続けていくと一度はやめたくなるときがくるでしょう。それでもやっぱり続けていく、つらいときも乗り越えていくという気持ちになれるのは、好きだから。本人の意志を尊重することが第一だと思います。

――やはり前提としていろいろな習い事やスポーツを経験することは必要ですか。

それはそうですね。いろいろなスポーツを経験したほうがいいというのは、自分自身、実感しています。体の使い方は、種目が違っても共通する部分がとても多いんです。さまざまなスポーツを経験して体の使い方を身につけておくと、将来、ひとつのスポーツにしぼったとしても必ず役に立ちます。

たとえば僕の場合、空手が野球に大いに役立ちました。空手は道具を使わず体だけで行うスポーツ。身のこなし、柔軟性、バランスが効果的に身につきます。空手には、技の美しさを競う「形(かた)」と、2人1組で技を掛け合う「組手」の2つの種目があり、僕は特に「形」が好きだったのですが、体幹が鍛えられて野球のための身体づくりにもつながりました。

野球は、投げるのも打つのも利き腕、利き足、身体の一方方向を重点的に使うスポーツなので、野球だけ行っていると体のバランスに偏りが出てケガにつながりやすい。野球とは違う角度からのトレーニングによって左右のバランスを整え、全体的にレベルを上げていく。そういう発想が必要。その点、空手は左右均等に鍛えられる。精神的にも人前で演技をすることは最初は苦手でしたが、度胸がつきました。今思えば、僕にとって習い事では空手がキーでしたね。

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