インタビュー
2017年10月30日

「トレイルは走ることが全てではない」。トレイルランニングの楽しみ方を SALOMONアスリート反中祐介に聞いてみた (1/3)

 大自然の中を駆け巡るトレイルランニング。マラソン経験を経て、「次はトレイルランニングに挑戦してみようか」と考えている方は多いでしょう。私もいくつかトレイルレースに出場したことがあり、トレーニングでも山へ走りにいくことがあります。

 しかしトレイルランニングをロードレースの延長として考えると、思わぬトラブルに遭うことも。記録を出すことはもちろん、山を楽しむためには事前の知識と準備が欠かせません。そこで今回はトレイルランニングの楽しみ方について、トレイルランナーの反中祐介さんにお話を伺いました。

トレイルランニングの経験はランニングコーチになってから

 反中さんは北海道札幌市にある『サロモンストア サッポロ エクスペリエンス ベース』にショップスタッフとして勤務しながら、SALOMONアスリートとして各種大会へ出場するトレイルランナー。数々の入賞・優勝経験を持ち、未だ北海道では負け無しという実績を誇ります(2017年10月17日現在)。

 もともと中学時代から陸上競技を始め、高校3年まで中長距離の選手として活躍。大学では同好会に所属しながら、ランニングコーチとしても活動してきました。その際、初めてトレイルランニングのレースを経験したそうです。

「陸上競技やマラソンの経験があったので、行ける気しかしていませんでした。本当に、知らないって怖いですね。レース展開はコースロスト等を考えて、道を知っていそうなトップランナーについていったんですよ。しかし約30km地点からはついていけなくなり、ついに離れて一人きり。気持ちが切れ、足もブルブルと動かない状態になりました。正直に言って、最初のトレイルは怖かったです」

 そして大学卒業後は、すぐにSALOMONアメアスポーツジャパン株式会社に入社。以降はSALOMONのショップスタッフとして勤務しています。しかし初トレイルレースから暫くは走れておらず、トレイル自体からも遠ざかっていたとのこと。そんな中、ブース出展を予定していたトレイルレースの前日、上司からそのレースを走るよう勧められたと言います。

 レース当日は突然のこととあって、足元は通常のランニングシューズ。バックパックのみ手配して、ペットボトル2本にエナジージェルを2つ持って走ったとのこと。しかも60kmという長丁場で、このレースでも苦しい体験があったようです。

「まずランニングシューズを履いていたので、まったくグリップしないんですよね。とにかく、全て力ずくで走っている感じでした。途中まではいけている気がしていたものの、途中から動けない状態に。それまでトレイル=走力と思っていたのですが、全然違いましたね」

 経験こそあったものの、改めてトレイルレースの厳しさを痛感した反中さん。しかしこれが、むしろ先へと進む原動力となったようです。

「負けず嫌いなので、悔しかったですね。どうにかトレイルランニングを攻略したいという思いで、どうすれば走れるか考え、トレーニングしました。それから結果とともにトレイルランニングが楽しくなり、現在は月1〜2本ほどのレースに出場しています」

 イベント等ではコーチを担うこともあるとのこと。ご自身が選手として走っているからこそ、生の声を指導へ活かせることは、仕事のうえでもプラスになっているようです。

トレイルでは何より“気持ちの余裕”が大切

 ランニングといえば走るスポーツ。トレイルレースでも、皆さん必死に息を切らしながら走っている姿を目にします。しかし反中さんによれば、トレイルランニングは必ずしも走ることが全てではないとのこと。いったい、どういうことなのでしょうか。

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