インタビュー
2017年10月30日

NGT48・加藤美南「バトントワリングは自分を追い込める場所。その存在があってうれしくて頑張れた」(前編)│アイドルと、スポーツと、青春と。#5 (2/3)

 まずは体力づくりのために体育館を10周走るところから始まります。それから縄跳びをして、バレエ、ヨガ、ピラティスと続けます。

——バレエやヨガ、ピラティスの練習もあるんですね。

 バトントワリングには、バレエの動きが入っているので、それをしっかりと習う必要があるんです。ヨガとピラティスはバランス感覚を養うために。それぞれ専門の先生がいて、徹底的に教えこまれました。たとえば手を使わずに体でバトンを転がしたり。

——それに加えてアクロバットの練習も必要ですよね?
 そうですね。実はスクールに入って初めて習ったのが側転だったんですよ。それができたと思ったら、次は側宙で(笑)。「いきなり?」と思ったんですけど、先生に意見することはできないので、とりあえずマットの上で練習を始めたんです。そしたら今度は「本番もマットの上でやるの?」って怒られて。それから床の上で練習するようになりました。

——怖くなかったんですか?

 最初はすごく怖かったです。実際、何回も転びましたし、アザになったりして……でも先生の方が怖いので(笑)。

——どのくらいでできるようになったんですか?

 側転を習ってから1週間くらいですかね。あんまりアクロバットに時間をかけちゃいけないんですよ。練習のメインはバトンなので。

——バレエやアクロバットの動きに加えて、バトンの技術も必要だと非常に複雑で高度な競技ですよね。

 そうなんですよ!

——それだけ難しい動きを練習していると、大きなケガも多そうです。

 そんなに大きなケガはなかったような……。あ、一回だけありましたね。バトンを上に投げてる間に側宙をしていたら、降ってきたバトンが頭に当たって割れちゃって。さすがに救急車で運ばれて縫ってもらいました。

——練習を見学して「楽しそう」と思っただけなのに、そこまで頑張れた理由は何だったのでしょうか?

 最初は「楽しそう」っていう気持ちだけだったんですけど、次第に自分を追い込める場所があるのがうれしくなったんです。頑張ればその分だけ得るものがありますし、何も考えずに打ち込めるっていう。だから、友だちと遊ぶ時間とかはなかったですけど、ストレスは全然なかったです。むしろ、今の方がストレスを感じるくらい(笑)。

——お仕事の場合は、頑張れば絶対に結果が出るというわけではないですもんね。

 そうなんです。練習してる技が初めて決まった瞬間とかはすごく楽しいですし、その感覚は忘れないんです。もちろん、その1回までが辛いんですけど、練習してできるようになれば10回中10回は成功できるので、じゃあ次は100回やってみよう、それができるまで帰らないとか。自分で考えて目標を立てていくことができるんです。

——先生に言われたから、ではなく自主的に練習していたんですね。

 そうやって自分で考えて、努力できる場があるのは幸せでした。両親は深く考えてなかったかもしれないですが、バトントワリングをやったことで精神的にも鍛えられましたね。

小学4年生で達成した団体での全国大会出場

——団体で全国大会に出場したのは、いつ頃ですか?

 小学校5年生のときですね。4年生から団体で全国に行くことを目標にしていたので、すごく嬉しかったです。

——団体では何人で演技するんですか?

 20人くらいです。

——48グループの劇場公演では16人が踊っていますが、それよりも多い人数で合わせるのは大変そうです。

 そうですね。みんなで演技を合わせるのはすごく難しかったのを覚えています。小学生の頃ってあまり周りが見えないですし、自分中心で物事を考えちゃうじゃないですか。だから、気持ちを合わせていくには時間がかかるんですよ。それにとにかく練習が厳しくて。

——どのような内容の練習だったんですか?

 3分くらいの曲に合わせて通しで演技をするんですけど、誰かがバトンを落としたりすると最初からやり直しで、しかも体育館全体に響く大声で怒られるんです。だから、プレッシャーが半端ないんですよ。

——自分だけ落としちゃったら、非常に気まずいですね。

 気まずいですね、本当に。それに加えてもっとできるのにっていう気持ちが合わさって。泣きながら練習していました。

——長いときだと1、2時間はかかったりするんでしょうか?

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