• Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • YouTube

挫折しているのはあなただけではない。走るのに飽きたり、やめてしまった人がランニングを再開する方法

 スポーツ愛好者向けのSNS「STRAVA(ストラバ)」が、サービス利用者のビッグデータを分析して導き出した2020年の“ワークアウト挫折デー”。新年に誓いを立てて始めたワークアウトに挫折する人がもっとも多くなる日は、1月の第3週日曜日(日本では2020年1月19日)だと予測しました。

関連記事:2020年の“ワークアウト挫折デー”は「1月19日」が濃厚?STRAVA利用者のビッグデータから分析

 新年をきっかけに走り始めたランナーの皆さんは、この「魔の日」を無事乗り越えて今でも元気で走り続けているでしょうか。もし挫折していても心配はいりませんし、恥じることもありません。なぜなら、挫折しているのはあなただけではないからです。

1月がもっとも忙しく、2月はヒマ

 STRAVAは8億件以上のデータを解析してこの日を挫折デーと予測したそうですが、筆者が属するフィットネス業界では、以前から1年のうちで1月がもっとも忙しく、2月はややヒマになるのが通例でした。今年こそ運動を習慣にしようと決心し、ジムに入会する人が増えるほか、ジムから足が遠のいていた人が帰ってくるのが1月。その熱意が冷めて、ジムに来なくなる人が増えるのが2月なのです。

 ランナーにも同じことが起きていても不思議ではありません。怪我や体調不良、モチベーションの低下。走らなくなった(あるいは走れなくなった)原因は人によってさまざまだと思いますが、筆者自身も過去に何回もランニングに挫折し、そして再開したことがあるランナーです。そしてトレーナーとしても、これまで数多くのランナーに接してきました。そうした経験から、いくつかのアドバイスをまとめてみます。

休んでいる間に何を失ったか? 現在の自分を直視する

 ランニングを再開する人がもっとも犯しやすい失敗は、以前の自分と同レベルの走力を基準に、同じ距離やペースで走ろうとすること。以前は10キロを1時間で走れる走力があったとしても、走らなかった間に走力が落ちていることは認めなくてはいけません。再開した日から、いきなり10キロを走ろうとするのは無謀です。

 まずは走らなかった期間で、自分が何を失ったか把握することが重要です。走ることをやめると体内の血液量とミトコンドリアが減少し、乳酸性閾値(血液中に乳酸が貯まり始める運動強度)も下がります。これは、つまり心肺能力が下がってしまうということ。簡単に言えば、同じように走ろうとしても、以前と比べて息が上がりやすくなっているのです。

 心肺能力を測定する指標のひとつに「VO2Max(最大酸素摂取量)」がありますが、この値は何もせず維持できるものではありません。運動せずにいると落ちてしまうのです。そして脚の筋力も、心肺能力と同じように落ちてしまいます。

最近よく耳にするようになった「VO2MAX」という言葉。これは「最大酸素摂取量」を意味し、1分間で体重1kgあたり体内に取り込める酸素量の最大値(単位はmL)を表します。酸素は体内におけるエネルギー生成に欠かせません。より多くの酸素を取り込めれば、それだけ多くのエネルギーが生み出せるということ。つまりVO2MAXは、長時間にわたって走り続けるうえで非常に大切な数値なのです。

ランニング/マラソンをもっと効果的に。知っておきたい「心拍トレーニング」の基礎知識とは より

 当たり前のことですが、走らなかった期間が長くなれば長くなるほど、心肺能力と筋力が劣化する度合いは大きくなります。そして、回復までの期間も長くなる点を覚えておきましょう。

いきなり走り出さない。まずは歩いてみる

 以前は30分間走り続けていた人なら、まずはそれと同じ時間だけ歩くことができるか試してみてください。とくに、ランニングで怪我をした人は、きちんと治っているか見極めなくてはなりません。もし歩いて痛みがぶり返すようであれば、残念ながらまだ走ることはできないでしょう。治療とリハビリが最優先になります。

短時間のウォーキングとランニングを交互に繰り返す

 もし歩くことに問題がなければ、走り始めても大丈夫です。とはいえ、いきなり30分間のジョグなどはしないほうが賢明でしょう。5分間歩き、次に5分間走る。このサイクルを3回繰り返すと、トータルで30分間になります。これをこなせるようになったら、徐々に走る時間の割合を増やしていきます(例:3分歩いて7分走る)。そうして30分間を通して走り続けられるようになったら、次の段階へと進みましょう。・

走行距離は少しずつ伸ばす

 ランニングに復帰しても、いきなり以前と同じ走行距離に挑んではいけません。自分が回復途中にあることを忘れないようにしましょう。もし以前の週間走行距離を覚えていれば、2週間休んだ人はその70%、1か月休んだ人は50%。それ以上休んだ人は、初心から始めるぐらいの距離をターゲットにすることをおすすめします。そして、その距離を毎週10%ずつ増やしていきましょう。けっして急激に増やしてはいけません。

リスク回避のためのコース選びを行う

 近くに陸上トラックがあれば最適ですが、そうでなくても1キロ以下の周回コースがあれば、まずはそこをコースに選ぶとよいでしょう。いきなり遠くまで走ろうとすると、何かトラブルがあったときにダメージが大きくなるからです。また、思わず走り過ぎてしまうことを防ぐ意味でも、短めの周回コースは適しています。同じ理由で、室内のトレッドミルも便利です。

もちろんトラックだけでなく、近所の公園などでも良いでしょう。公園には木々があり、木陰に水分を置いておけばトラックと同じように給水・休憩環境が整います。あるいは自宅を拠点として、見通しの良い歩道コースを作ってみる。私は自宅周辺で、おおよそ400m・600m・1000m・1500mの距離が取れるコースを見つけています。

ランニングの練習に「トラックの周回コース」がおすすめである理由 より

走るために、あえて走らないトレーニングをする

 定期的にトレーニングを行うことは、走力と心肺能力を高めるために有効かつ必須です。しかし、それが走ることである必要はありません。怪我や飽きを防ぐためには、むしろ走る以外の運動を行う日を週に2~3回設けることをおすすめします。

 「何があっても走るのだ」という意気込みを否定はしませんが、継続へのハードルが高くなることは間違いないでしょう。室内トレーニングもメニューに組み込むことで、長い目で見れば無理なく走り続けることができるのではないでしょうか。

「断酒するのは簡単なことだ。私はすでに100回以上やってきた」

 アメリカの小説家マーク・トウェインの言葉です(※諸説あり)。禁煙や禁酒にテクニックがあるように、一度やめてしまったランニングを再開して長続きさせるためには、ある種の工夫が必要です。とくに怪我でランニングから離れた人は、再発しないよう細心の注意を払う必要があるでしょう。

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
カリフォルニア在住。公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、コーチング及びスポーツ経営学修士(コンコルディア大学)、CrossFit L1 公認トレーナー、TVT高校クロスカントリー部監督、ラグナヒルズ高校野球部コーチ。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
Facebook: https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛/Photo:Getty Images>

ランキング
Ranking

  • 最新

オススメ記事
Special

オススメ連載
Series

注目キーワード