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「近所に金メダリストが引っ越して来たら……」。小林まこと先生が語る『JJM 女子柔道部物語』が生まれた奇跡(後編)【熱血!スポーツ漫画制作秘話 #1】 (2/3)

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恵本:先生が漫画の話をされるようになったとき、全くピンとこなかったんですよ。私なんて一般人ですし……金メダリストの部分は封印してたので。

小林:一般人じゃないでしょ(笑)。

恵本:「1話は世界選手権での敗退のシーンから始まる」という冒頭のストーリーを聞いて衝撃でした。実現できるなら素敵だなと、思うようになったんですよね。

小林:それで絵を描いてくれる人もみつけて、ちょっとキャラも作ってもらったけど、まあまあなんですよ。うまいんですけど、なんか違うなーと思って。でも俺が描くのも本当にイヤだったので(笑)。だってどれだけしんどいか十分わかってるしね(笑)。

恵本:先生から漫画を描く大変さを聞いていたので、もし再開することで身体を壊したら私のせいだと思って……。

小林:そんなときにある日メッセンジャーで「まあ先生の健康が第一なんで、無理しないでくださいねー」って送ってきたんだよね。ああ、優しいメールがきたなと思っていたら、その30分後に「やっぱ先生描いてください!」ってきてね。さっきの優しい言葉はなんだったんだよって(笑)。

恵本:でも先生しか描けないんですよ。もちろん絵もそうだけど、自分の考えも理解してくれて、『青春少年マガジン』を読んだときに、ものすごく共感して、「あれ、なんか私と一緒だ」っていう部分がとても多くて、そういうところも先生ならきっとわかってくれると思ったんです。

小林:でもそうやって本人から直接言われたらね、俺が描くしかないじゃない。やっぱりこのおもしろい話は残さないといけないし、これも俺の使命だなと思ってね。もし恵本さんがいなかったら、今頃CDが5枚目くらいは出てたよ(笑)。

--そして原作:恵本裕子、脚色・構成・作画:小林まことというコンビで制作が始まるのですが、ふだんはどのような形で作品作りを進められているんですか?

小林:まず最初に恵本さんに思いつく限り、どんな些細なことでもメモ書きのように書き残すということをお願いしました。それをもとにいろいろ話を聞いて、漫画に落とし込んでいきますけど、基本のエピソードは全て恵本さんの実体験です。主人公の神楽えもの性格も、まんま恵本さん(笑)。

恵本:実話よりはだいぶ膨らませていただいていますけどね(笑)。

小林:ベースとしての恵本裕子の柔道人生というのはありますけど、あくまでもフィクション、娯楽作品だからね。でも恵本さんはアイディアマンだよね。ぶりっ子キャラとか作ってきたり、あと男子生徒がブラジャーを見てたところ、あれ、俺が考えたと思ってるでしょ? 全部恵本さんだから(笑)。ノリノリで書いてきたよね。

恵本:最初は漫画になったときに「わぁ、私が漫画になった!」って思いましたけど、1年経って作品として、神楽えもっていうキャラクターとして見てますからね、今は。

小林:もう作家だよね、心がけが。恵本さんたぶん漫画描けるよ(笑)。作り方もわかっちゃってるからね。

恵本:無理ですよ(笑)。でも自分が通ってた高校とかに取材に行くと、まさか自分の高校時代のことを『柔道部物語』の先生に描いてもらえるなんて思わなかったですよね……。

小林:贅沢な漫画だよ。金メダリストが原作者で、北田さんにもアドバイザーになってもらって。こないだなんて試合のシーンを描くのに、ここで恵本さんと北田さんが柔道衣着て実演してくれるんだから。本物がやってくれるんだもん。

北田:『柔道部物語』という作品は柔道界の多くの世界チャンピオンが見てバイブルだっていうくらい技術的、精神的にもリアルに描かれているので、今回『JJM』に我々が携わるとなったときに、読者の心が揺さぶられるような本物を先生に伝えなければいけないという責任感もありますよね。

小林:そう言っていただけるのが、またこれ以上ない贅沢な話ですよ。

▲恵本さんに投げられる小林先生

恵本裕子の中にある“真実”

--ここからはまた小林先生にお話を伺いたいのですが、モデルとなる人物の歴史があるので、話の大筋は決まっていると思うのですが、クライマックスに到るまではだいぶ時間がかかりそうですね。

8年で史上最短、日本女子柔道史上初のオリンピック金メダリストのストーリー……。だけど、(神楽えもは)まだ入部して半年も経ってないですからね(笑)。ただ、恵本さん自身や、恵本さんに起こった事実を追っていけば、ある程度の”真実”が見えて来るんじゃないかなと思ってるんです。

--それは当時の柔道界を取り巻く中で、我々が知り得ていない何かということですか?

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