インタビュー
2025年2月3日

背負投を武器に強くなる主人公に自分を重ねて。柔道・野村忠宏『柔道部物語』【私のバイブル #1(前編)】 (1/3)

 超一流のアスリートも、小さい頃はマンガの主人公に憧れ、未来を夢見る少年でした。この企画では、そんなアスリートたちに自身が影響を受けたマンガを紹介していただきます。記念すべき第1回は、オリンピックで3大会連続金メダルを獲得した、柔道家の野村忠宏さんです。

主人公を自分に照らし合わせて

― まず野村さんと『柔道部物語』の出会いから教えてください。連載開始当時(1985年)はまだ11歳でしたので、青年誌(ヤングマガジンにて連載)を読むには少し早いのかなというところですが。

小林まこと先生の作品とは、『1・2の三四郎』が初めての出会いですね。あれが小学生の頃で、そこで柔道も扱われていたんですよ。次に『柔道部物語』なので(奥付をみながら)1巻の発売が1987年なので、ちょうど中1のときですよね。先輩や同級生が買ったものが柔道部の部室に置いてあったというのがスタートですね。


― 野村さんが最初にこの作品に魅力を感じたのはどの辺りにあったのでしょうか?

主人公の三五十五(さんご・じゅうご)が弱かったということですね。私は3歳から柔道をやっていましたが厳しい稽古もしてなかったし、体も小さくて、いつも投げられて、負けてという選手でした。

弱い三五が背負投を武器に強くなっていくという過程を、当時弱かった、背負投を得意技……というには試合で通用する技でもなかったのですが、その技を磨いて強くなりたいと思う自分に照らし合わせて読んでいたんです。

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