ごま油の“まさかの効果”、人の記憶に影響するらしい【研究結果】 (2/2)
香りが漂う空間で他者と一緒に食事を行った後、食事中に他者が話した内容を思い出す“想起実験”の結果を比較したところ、ごま油群において想起される情報の数(=記憶した数)が最も多く、「ごま油の香り発生中、その間に生じた事象の記憶の定着が促される」という仮説を支持する結果が得られました。この結果は、ごま油の香りが食事中の参加者の発話内容の記憶定着を促した可能性を示しています。
この結果をもたらした要素の一つとして、「グレリン」と呼ばれるホルモンの影響が考えられます。グレリンは空腹時に主に胃から放出され、人間の食欲制御を担う重要なホルモンです。人間は食品を摂取した際に、匂いや見た目などの “手がかり”を関連付けて記憶・学習することが知られており、グレリンは記憶を司る脳部位の一つである海馬に作用することで、この記憶・学習のプロセスに大きく関与していると考えられています(注4)。
これらの報告を踏まえると、高カロリーを有する油脂類の中でも食欲を増進する香りを有するごま油は、人間の記憶形成により強く影響を及ぼすと考えられます。
▼食事後の早期実験における記憶の平均想起数
注4 [Hsu, T. M., Suarez, A. N., & Kanoski, S. E. (2016). Ghrelin: A link between memory and ingestive behavior. Physiology & Behavior, 162, 10–17.]
実験について
対象
20~59歳の男女45名
実験の流れ
実験の様子
▲調理に使用した食材及び器具。調理方法は事前実験の結果を踏まえ、油の香りが空間中に効果的に漂う条件(油の温度、香りの拡散に要する時間等)を採用し、全条件で同様の方法で調理した。
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<Edit:編集部/調査結果引用:竹本油脂株式会社・株式会社NTTデータ経営研究所>