スクワット
フィットネス
2025年9月25日

「スクワットで腹筋が割れる」って、ホント?腹筋割れ最短ルートを聞いた

最強の筋トレと言われているスクワット。まさか腹筋まで割れちゃうってホントですか?スポーツドクター・樋口 直彦先生に聞きました。

Q.スクワットで腹筋が割れるってホント?

A.スクワットと組み合わせるのはとても効果的ですが、スクワットだけで腹筋が割れるわけではありません。

「腹筋を割るには、『お腹の上にある脂肪を落とすこと』と『腹筋を鍛えてラインを際立たせること』の両方が必要です。

太もものような大きな筋肉を使うスクワットは、効率的に脂肪を燃やし、筋肉量を増やして基礎代謝を高めるため、腹筋を割りたい人にとっては有効なトレーニング種目のひとつと言えます」

スクワットで腹筋が割れると言われる理由と、スクワットで腹筋を割る最短ルートについて、樋口先生監修のもと、解説します。

「スクワットで腹筋が割れる」と言われる3つの理由

スクワットは下半身のトレーニングというイメージが強いですが、実際には腹筋にも大きな刺激が入ります。「スクワットで腹筋が割れる」と言われるの理由を、3つのポイントから解説します。

体幹(腹直筋・腹斜筋・腹横筋)を使うから

体幹

スクワットでは、背中をまっすぐに保ち、姿勢を崩さないようにするために腹筋や背筋が働きます。特に、腹直筋や腹斜筋に加えてインナーマッスルである腹横筋も動員されるため、体幹全体を自然と鍛えることができます。これにより、スクワットは脚のトレーニングでありながら、腹筋にも効果が及ぶのです。

消費カロリーが高く脂肪燃焼を助けるから

腹筋を割るためには、筋肉を鍛えるだけでなく体脂肪を減らすことが不可欠です。スクワットは太ももやお尻といった大きな筋肉を動かすため、消費カロリーが高く、脂肪燃焼をサポートします。結果としてお腹の脂肪も落ちやすくなり、腹筋が浮き出やすくなります。

筋肉量が増え基礎代謝が上がるから

スクワットで下半身の大きな筋肉を鍛えると、筋肉量が増えて基礎代謝が向上します。基礎代謝が上がることで1日の消費エネルギー量が増え、太りにくく痩せやすい体質に近づきます。その結果、腹筋を覆っている脂肪が落ちやすくなり、シックスパックが見えやすくなるのです。

腹筋を割るための最短ルートは4ステップ

腹筋は「スクワットをすれば勝手に割れる」という単純なものではありません。体脂肪の管理や食事、他のトレーニングとの組み合わせが大切です。最短で腹筋を割るために押さえておきたいポイントを4ステップにわけて解説します。

ステップ1 体脂肪率を男性15%、女性20%程度まで下げる

体脂肪率ごとに見た腹筋

▲編集部が作成したイメージ画像
注:実際に体脂肪率と腹筋を照らし合わせたものではなく、あくまでイメージ図となります

腹筋は誰でももともと割れていますが、脂肪に覆われていると見えません。目安として、男性は体脂肪率15%以下、女性は20%程度で、腹筋のラインが浮き上がりやすくなります。

まずは自分の体脂肪率を把握し、どのくらい減らす必要があるかを確認しましょう。

腹筋が割れる体脂肪率は何%?男女別の目標値と落とし方

ステップ2 食事管理で脂肪を減らす

腹筋を割るには食事のコントロールが欠かせません。糖質や脂質を摂りすぎないように調整し、タンパク質をしっかり摂ることが重要です。

スクワットなどの筋トレで筋肉を増やしながら、食事で余分なカロリーを抑えることで、効率的に脂肪が落ちて腹筋が見えてきます。

腹筋を割るには食事が9割!タンパク質の食事メニューと摂取タイミング

ステップ3 筋トレを組み合わせて行う

スクワットは代謝を上げるのに効果的ですが、腹筋の輪郭をはっきり出すには直接的な腹筋種目も必要です。レッグレイズやプランクなどを取り入れることで、体幹が引き締まり、腹筋のラインが際立ってきます。スクワットと腹筋種目を組み合わせることが最短ルートです。

ステップ4 有酸素運動を取り入れる

脂肪をさらに落とすには有酸素運動も有効です。ランニングやバイク、HIITなどを週2〜3回取り入れると、スクワットで高まった代謝と相まって脂肪燃焼が加速します。筋トレと有酸素をうまく組み合わせることで、腹筋が出やすい身体へと近づけます。

【16分で600kcal消費】効率的に体脂肪を減らすならHIITトレーニング!

スクワットで腹筋に効かせるコツ

同じスクワットでも、ちょっとした意識の違いで腹筋への効果は大きく変わります。腹筋をしっかり使うためのコツを紹介します。

腹圧を意識して行う

お腹に軽く力を入れて腹圧をかけることで、体幹が安定し腹筋に刺激が伝わりやすくなります。

背中を丸めず、姿勢をまっすぐに保つ

猫背になると腹筋より腰に負担がかかります。胸を張り、背中を一直線にするのがポイントです。

しゃがむときにお腹をへこませる意識を持つ

「お腹を引き締めながら、お尻を引き下ろす」イメージで動くと、腹筋が自然と働きます。

呼吸を止めずにリズムをつける

下ろすときに息を吸い、立ち上がるときに吐く。正しい呼吸を意識すると、腹筋が効きやすくなります。

腹筋に効くおすすめスクワットメニュー5選

スクワットにはさまざまなバリエーションがあり、選び方によって腹筋への刺激や脂肪燃焼効果が変わります。腹筋を割りたい人におすすめのメニューを5つ紹介します。初心者から上級者まで段階的に取り入れられる内容です。

1.ノーマルスクワット

最も基本的なスクワットです。背中をまっすぐに保ち、腹筋に力を入れながら行うことで体幹が鍛えられます。初心者はまずノーマルスクワットから始め、フォームを固めましょう。

正しいやり方

1.足を腰幅に開き、つま先は膝と同じ向きにする
2.お尻を後ろへ突き出すように、股関節から折り曲げる
3.太ももが床と平行になるまで下ろしたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る

足を腰幅に開き、立つ。つま先は膝と同じ向きにする 股関節からしゃがむ

肩甲骨を寄せて下げ、自然な背筋を保ちます。膝がつま先よりも前に出ないよう注意!

実施回数

10回×3セット

ポイント

・膝をつま先より前に出さない
・膝から動くのではなく、股関節から動く意識で

鍛えられる筋肉(場所)

・お尻(大臀筋)
・太ももの前側(大腿四頭筋)
・太ももの裏(ハムストリングス)
・ふくらはぎ(ひふく筋・ヒラメ筋)
・背中(脊柱起立筋)

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▼スクワットで膝が痛い時は、フォームを見直してみて
スクワットのNGポイント3選。膝の位置には要注意

2.ワイドスクワット

足を広めに開いて行うスクワットで、内ももや体幹にも強い刺激が入ります。お腹をへこませるように腹圧を意識すると、腹筋がしっかり使われます。

正しいやり方

1.両脚を肩幅よりも広く開いて外ハの字にして立つ(スタートポジション)

2.太ももと膝が平行になるように体を下げる

3.膝を伸ばして、スタートポジションの体勢に戻る

実施時間

30秒×3セット

トレーニングのポイント

・膝が内側に入らないようにする
・つま先よりも膝が前に出ないように注意する
・背中が丸まらないように背すじを伸ばす

鍛えられる部位

・大腿四頭筋
・大臀筋
・腸腰筋 etc…

期待できる効果

・下半身の筋力アップ
・基礎代謝の向上
・体力アップ

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3.ブルガリアンスクワット

片足を後ろに置いて行うスクワットです。バランスを取るために腹筋や背筋が強く働き、体幹を効率的に鍛えられます。慣れてきたらダンベルを持つと強度が上がります。

正しいやり方

ベンチや椅子などに後ろ向きで立ち、片足の先を乗せて行います。

1.イスから60~90cm離れ、後ろ向きで立つ

2.イスに足先か足の甲を乗せ、反対側の脚は前に出す

イスに片足のつま先を乗せる

3.背筋を伸ばし、ゆっくりと前方の脚を曲げていく

4.90度まで曲げたら、元の姿勢に戻す

床と太ももが平行になるよう腰を落とす

スクワット同様、膝はつま先より前に出さない

実施回数の目安

左右 各10回×3セット

効果を高めるポイント

・背中(背筋)は曲げない
・頭から腰までまっすぐになるよう意識
・膝を曲げすぎない
・膝はつま先より前に出さない

 鍛えられる筋肉部位

ブルガリアンスクワットは、下半身の筋肉を鍛えることができます。

下半身の筋肉・大臀筋、中臀筋(お尻)
・大腿四頭筋(太もも)
・ハムストリングス(裏もも)
・内転筋(内もも)

スクワットよりバランスがとりにくいフォームのため、ぐらつかないように腹筋を使います。これによりお腹まわりの筋肉強化も期待できます。

\動画で動きをチェック/

4.ジャンピングスクワット

立ち上がるときにジャンプを加えることで瞬発力が鍛えられ、消費カロリーも増えます。脂肪燃焼効果が高く、腹筋を見せたい人におすすめの高強度メニューです。

正しいやり方

1. 肩幅より広めに足を開く。

2. 膝の角度が90度になるように腰を落とす。

3. 腕を振りながらジャンプする。

▲つま先で地面を押し上げてジャンプ。足裏全体で着地する。

実施回数

15回×3セット

ポイント

・下半身だけでなく、背中にも力を入れる
・呼吸を止めない
・目線は前へ向ける

鍛えられる筋肉(場所)

・大腿四頭筋
・脊柱起立筋
・大臀筋
・ハムストリング etc…

\動画で動きをチェック/

5.耐久スクワット

ゆっくりとした動作でスクワットを行い、下げた位置で数秒間キープする方法です。筋肉への緊張が長く続くことで腹筋を含む体幹に強い刺激が入り、引き締め効果が高まります。軽い負荷でも効きやすいため、自宅トレーニングにも適しています。

正しいやり方

1.足をハの字に開く

2.腰を深く落としてその状態でキープ

実施回数

30秒×3セット

効果を高めるポイント

・膝がつま先よりも前に出ないように
・背筋は丸めずに伸ばす

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スクワット×腹筋のよくある疑問Q&A

スクワットと腹筋の関係については、多くの人が同じような疑問を抱えています。ここでは、代表的な質問に答えていきます。

スクワットでお腹はへこむ?

スクワットは下半身の大きな筋肉を使うため消費カロリーが高く、脂肪燃焼を助けます。直接お腹だけをへこませる運動ではありませんが、継続することで全身の脂肪が減り、お腹周りも引き締まりやすくなります。

1日30回スクワットをしたらどんな効果があるの?

初心者なら、1日30回でも十分に効果があります。下半身や体幹に刺激が入り、筋力アップや代謝向上につながります。さらに腹筋や背筋といった体幹も同時に使うため、姿勢の改善や体の安定性アップにも効果的です。毎日の習慣にすれば、引き締まった体づくりや疲れにくい身体づくりに役立ちます。

ただし、1か月ほど続けて「楽にできる」と感じたら、負荷を上げるタイミングです。回数を増やしたり、ダンベルを持ったり、耐久スクワットに切り替えるなど工夫することで、効果を持続できます。

スクワットは腹筋に効きますか?

はい、効きます。姿勢を安定させるために腹直筋や腹斜筋、腹横筋が自然と働きます。ただし腹筋種目ほど直接的な刺激ではないため、腹筋を割るにはプランクやレッグレイズなどの補助種目も併用しましょう。

腹筋は何日で割れる?

個人差が大きく、一概に「何日で」とは言えません。体脂肪率が男性で15%以下、女性で20%程度になると腹筋が見えやすくなります。筋トレ・食事・有酸素運動を組み合わせれば、数か月で変化を感じる人もいます。

「スクワット=腹筋33倍の痩せ効果」って本当?

ネット上で「スクワット1回=腹筋30回分の効果」といった表現を見かけますが、科学的根拠はありません。そもそも鍛えられる部位や負荷のかかり方が異なるため、単純に数値で比較することはできません。

では、なぜそう言われるのか。スクワットは下半身に集まった身体の約7割の筋肉を同時に動かす全身運動です。一方、腹筋運動はお腹まわりの限られた筋肉しか使わないため、消費カロリーや負荷の大きさで比較するとスクワットの方が圧倒的に効率的になります。

その結果、「腹筋運動を大量にやるよりもスクワットの方が効果が高い」という意味で、誇張的に「33倍」と表現されているようです。正確に33倍の効果があるわけではありませんが、スクワットが腹筋を含む全身に効率よく作用する優秀なトレーニングであることは間違いないと言えます。

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監修者プロフィール

なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック
院長 樋口 直彦 先生

なか整形外科樋口 直彦帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグ「サントリーサンバーズ」のチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。

<Edit:編集部>