フィットネス
2021年10月14日

懸垂(チンニング)トレーニングのやり方│背中、腕、腹筋を鍛える (2/2)

【3】「バタフライ」は2拍子。全身を使った回転運動

 バタフライ式の懸垂は、よりダイナミックかつスピーディーに。キッピングは腕を伸ばしてから体を前後に揺すり、1・2・3のタイミングで体を持ち上げます。これに対してバラフライでは、1・2のタイミングです。腕を伸ばすと同時に、両足を蹴り上げる動きを利用して体を持ち上げます。ほとんど、全身を使った回転運動と呼んでいいかもしれません。

 バタフライの動きを会得すれば、これがもっとも速く懸垂を行える方法となります。クロスフィットの競技アスリートになれば、1秒に1回ほどのペースで何十回も連続してバラフライ式の懸垂を行える人も珍しくありません。

【4】「Toe-To-Bar」で腹筋を鍛える

 ここからは鉄棒を使ったオススメのワークアウトもご紹介しましょう。バーにぶら下がり、両足を持ち上げてつま先でバーにタッチ。それを繰り返すのが「Toe-To-Bar」(トー・トゥー・バー)です。

 これは、懸垂の「キッピング」のコツを使います。腹筋に効くワークアウトですが、バーにぶら下がって行うため握力も同時に鍛えられるでしょう。Toe-To-Barも回数を増やしたりスピードを上げたり、あるいはその両方を目指すことでトレーニング強度を高めていきます。

【5】全身の瞬発力と連動力が問われる「マッスルアップ」

 鉄棒を使ったクロスフィットのワークアウトで、もとも高難易度なのがマッスルアップ。バーからぶら下がった状態から、一気に上半身全体をバーの上に持ち上げます。懸垂とディップを連続して行うわけですが、これができるようになればクロスフィッターとして一人前。公園でやって見せれば、近くに体操選手がいない限り、その場のヒーローになれること間違いありません。

懸垂をはじめとした鉄棒系ワークアウトのとり入れ方

 鉄棒や懸垂バーを使ったワークアウトは、自分の体重以上の負荷がかかりません。よほど多くの回数をこなさない限り、さほど筋肉痛になるほどのダメージを負うことはないでしょう。もちろん、例えば「懸垂200回」なんてメニューを組めばその限りではありません(クロスフィットには実際にそんなメニューがあります)。

 ですから鉄棒系のワークアウトは、実際のところ毎日でも取り組んで構いません。しかし慣れないうちは筋肉痛より先に手の皮がむけてしまい、続けられなくなるケースが多いでしょう。手の皮は手袋やストラップで保護できますが、それより素手で短時間のトレーニングを繰り返し、手のひらにマメが常在しているような状態になればベストです。

関連記事:懸垂(チンニング)ができないのはなぜ?原因と練習方法をトレーナーが解説

今回のトレーニング動画をおさらい

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛/Photo:Getty Images>

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