フィットネス
2020年11月11日

整体師が教える「スマホ首・巻き肩・疲れ目」の原因と姿勢改善ストレッチ (1/2)

 現代人にとってなくてはならない存在・スマートフォン(以下、スマホ)。スマホの出現により、これまででは考えられなかった姿勢トラブルが発生しています。代表例が「スマホ首」(スマホを使用しているときの首の疲れ)、「スマホ巻き肩」(スマホを使用するとき、猫背になってしまう状態)、「スマホ目」(スマホを使うことによって起こる目のかすみやぼやけ)です。

 今回はその症状と解消法を、整体師で体質改善サロン「和紅屋」の院長を務める赤井隆紀さんに伺いました。

まずはスマホに触れるときの姿勢をチェック

 「スマホ首」、「スマホ巻き肩」が起きる原因は、悪い姿勢を長時間続けることです。また「スマホ目」も、スマホのディスプレイに目に近づけてしまう姿勢が大きな要因となっています。

スマホを使うときにありがちなNG姿勢

 座った状態なら、浅く腰掛け、うつむくようにスマホを覗き込む状態です。さらに、ベッドに寝そべったり、無理な姿勢のまま腕を前に伸ばしてスマホを使うと、肩や首にさらなる負担が掛かります。

▲浅く腰掛け、うつむくような姿勢は×

スマホを使うときの理想的な姿勢

 一方、スマホを使う際の理想的な姿勢は、まっすぐに腰掛け、背筋を伸ばし、あごを上げた状態で上目遣いにスマホを見るという姿勢です。スマホを持っていない方の手のひらを、スマホを持つ手で抱え込むようにすると、負担がさらに減ります。さらに、スマホは30センチ以上、離して見ることが理想的です。

▲スマホは30センチ以上、離して見る

肩こり、頭痛、倦怠感など不調の原因になる「スマホ首」

 スマホを使いすぎると、首が前に突き出た状態になってしまいます。人間の首の重さは50キロの体重の人なら5キロほど。スイカ1個分、もしくは大人が使うボーリングボール1個分です。頭をボーリングボールとすると、理想的な姿勢では、ボーリングボールを体の真上に乗せて体全体で支える状態になります。ですが、悪い姿勢では、ボーリングボールが体のラインから前に乗り出してしまっている状態になり、頭を支える首にさらなる負担がかかります

▲首が前に突き出している

 首の頸椎(けいつい)は自律神経に影響を及ぼし、自律神経が乱れると体の器官にさまざまな悪影響が出てしまいます。自律神経のスタート地点は首です。首が前に突き出た状態を長時間続けると、肩こり、慢性の頭痛、倦怠感をはじめ、体全体に不調が起こってしまいます。

呼吸が苦しくなり、代謝にも悪影響を与える「スマホ巻き肩」

 「スマホ巻き肩」は、肩口から背中にかけて肋骨(ろっこつ)の外側を覆っている左右の肩胛骨(けんこうこつ)が、肋骨を巻く形でそれぞれ前にせり出してしまい、両肩が前に出てしまう状態です。下写真の「悪い姿勢」と「理想的な姿勢」を比べると、「悪い姿勢」では両肩が前にせり出してしまっていることが分かります。

▲左が「理想的な姿勢」、右が「悪い姿勢」

 「スマホ巻き肩」は、肩こりや首の疲れの原因になります。また、胸が圧迫されて腹式呼吸ができなくなり、胸で呼吸を続ける状態に。胸で呼吸をすると、腹式呼吸よりも疲れやすくなるんです。さらに10分以上、「スマホ巻き肩」の状態を続けていると血流も悪くなってしまします。女性の場合は、胸が垂れやすくなり、代謝も悪くなることも。

 悪い姿勢は1~2分であれば、さほど影響はないそうですが、10分以上続けると、続けた分の時間に比例して、どんどん体に悪影響を及ぼします。スマホをいじっているときは意識がスマホの画面の中に集中しているため、体の異常に気づきにくくなり、その分、後でどっと体調が悪くなることもあるので気をつけたいですね。

遠くのものがぼやけて見えなくなる「スマホ目」

 人類が狩猟生活を送っていたときは、遠くの獲物を見ることが多く、近くのものを長時間のぞき込むことはほとんどなかったと考えられています。しかし、現代では間近なものを見続けるため、ピントを合わせるための毛様体筋(もうようたいきん)が過度に緊張し、近視になりやすくなります。

 「スマホ目」は、長時間スマホを続けることで、間近のものをのぞき込むことが普通だと認識してしまうことによって起こる現象です。「スマホ目」が続くと、遠くのものがぼやけて見えてしまいます。

 たとえば、最初3メートル離れた場所を見て、次にスマホを10分間続け、再び3メートル先を見ると、見えていたはずのものがぼやけて見えなくなってしまいます。通常は、ぼやけた状態は自然に戻るのですが、長時間スマホを続けることで目の焦点を合わせるための筋肉が働かなくなってしまいます。

 「スマホ目」は、疲れがたまる原因になります。3メートル離れた場所のものが見えなくなってしまったら、危険が迫っても察知できない状態になり、事故に巻き込まれ可能性も高くなりなります。

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