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2024年6月4日

朝食は「パン」より「ごはん」のほうが幸福度が高くなる?吉野家の興味深い研究 (2/2)

試験結果の概要とポイント

1. 朝食の「質」で脳活動と自律神経活動がどう変わるかを調べるために、20代から50代の男性50人を対象に全8週間のランダム化クロスオーバー試験を行いました。

2. 吉野家の朝定食を摂取した人は、市販のパン食を摂取した人に比べ、認知課題実施時の「脳血流量」が統計的有意に増加し、脳活動が活性化することを確認しました。

3. また、吉野家の朝定食を摂取した人は、朝食摂取前に比べ摂取後に「心拍数」が統計的有意に増加することを確認しました。これは自律神経における交感神経が優位になることを示し、脳を含む身体の臓器の働きが活発になることを示すものです。

試験実施方法

今回の試験では、朝食摂取習慣のある健康な20代から50代で、日中活動をする右利きの男性50名を吉野家の朝定食3種類を食べる人の群(試験食群)、朝定食の半分程度のたんぱく質量で、熱量が同程度のパン食を食べる人の群(対照食群)の2群に分け、それぞれ全8週間のランダム化クロスオーバー試験を行いました。

ランダム化クロスオーバー試験とは、被験者をそれぞれランダムに選定した試験食群と対照食群に対して、2週間のウォッシュアウト(朝食なし)期間をはさみ、交互に介入試験を行い、介入条件以外の影響を最小化して結果を比較する厳密性の高い試験手順です。

試験および計測項目としては、認知機能試験、NIRSによる脳活動計測、自律神経活動計測、およびアンケートによる主観評価を行いました。

主な試験結果

(1)試験食群は対照食群に比べ、認知課題実施時の脳血流量が統計的有意に増加し、  脳活動が活性化することを確認しました。

図表1 試験食群と対照食群との脳血流変化量(RVIP認知課題実施時)の比較

吉野家の朝定食を食べた試験食群は対照食群に比べ、認知課題(RVIP)を実施時の脳血流変化量が統計的有意に増加しました(図表1)。

認知課題を行うことで脳活動が活性化(賦活)すると、脳の前頭葉にある背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)の「脳血流」が増加することが知られています。今回の試験でも「試験食群」で認知課題実施中に背外側前頭前野の脳血流が増加していることが確認されています(図表2)。

図表2 RVIP認知課題中の脳活動状態の例(WOTによる解析)

(2) 試験食群は対照食群に比べ、摂取後の「心拍数」が統計的有意に大きくなることを確認しました。

試験食群および対照食群ともに、朝食摂取前に比べ摂取後に「心拍数」が統計的有意に増加することを確認しました。さらに試験食群は対照食群に比べて、心拍数の増加量の差が統計的有意に大きくなったことを確認しました(図表3)。

朝食摂取介入時に心拍数が増加するのは、自律神経における交感神経が優位になることを示し、脳を含む身体の臓器の働きが活発になることを示すものです。

図表3 朝食摂取介入前後の心拍数の変化

本研究成果は、5月26日(日)に福岡県福岡市で開催された第78回日本栄養・食糧学会大会において発表されました。

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<Edit:編集部>

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