水ダイエットはなぜ痩せる?効果的なやり方、飲む量[薬剤師監修]
水をたくさん飲むと痩せるというのは、昔から囁かれています。美容賢者や芸能人も、ミネラルウォーターをたくさん飲むという話はよく聞きます。水はダイエットにどんなメリットを与えるのでしょうか。飲み方、1日の摂取目安量、デメリットなどを、あんしん漢方薬剤師・中田早苗さんが解説します。
<このページの内容>
水ダイエットとはどんなダイエットなのか
水ダイエットとは、水分を積極的に摂取することで代謝をよくし、体内の老廃物の排出を促すダイエット方法です。
ただし、水を飲めばすぐ痩せるというわけではありません。また、食事と水を置き換えるようなダイエット方法でもありません。
水を適切に摂取することで、基礎代謝の向上や老廃物排出などを始めとしたさまざまなメリットを得られるたとして、昔から試している人が多いダイエット方法です。
なぜ痩せる? 水ダイエットで期待できる4つの効果
ここからは、水ダイエットで期待できる効果を4つ解説します。
基礎代謝の向上
基礎代謝とは、生命維持に必要なエネルギー消費のことです。基礎代謝が低いと、脂肪が蓄積しやすくなり、肥満や生活習慣病のリスクが高まります。
水を摂取することで、体が冷えた体温を戻そうと血行が促進され、基礎代謝が少しだけ向上します。この過程で脂肪がエネルギーとして燃焼され、ダイエット効果を期待できるのです。
老廃物を体外へ排出する
腸内にたまった老廃物などの不要なものを体外へ排出する効果も期待できます。
体内の水分が足りないと便が固くなり、便秘の原因になる場合もあります。便秘になると腸内に増えやすくなるのが悪玉菌です。悪玉菌が増加すると腸内環境が悪化し、肌荒れや免疫機能の低下などを引き起こします。
水分をしっかり摂取することで、排便がスムーズになり、きちんと老廃物を排出できます。また、水分を摂取すればその分尿の量が増えるため、体内の老廃物を尿としても排出しやすくなるのです。
血流の改善
血液の約80%は水分で構成されているため、水分不足は血流の滞りを引き起こします。十分な水分を摂取すると、血液がサラサラになり、血行が改善されます。
血行が良くなると、血液中の老廃物が体外に排出されやすくなり、むくみの予防にもつながります。また、栄養や酸素がスムーズに運ばれ、肌のターンオーバーも促進されるため、美肌効果も期待できます。
食べ過ぎの予防
食事の前に水分を摂取することで、ある程度胃が膨れ、必要以上の食べ過ぎを予防できます。食事量が減れば、その分摂取カロリーを少なくできます。
ただし、食事の直前に水を大量に飲むと胃の消化液が薄まり、胃に負担がかかってしまうため注意が必要です。食事の30分前を目安に飲むようにしましょう。
水ダイエットのやり方と飲む量、タイミング
水ダイエットのやり方はとても簡単です。
コップ1杯の水を、1日6回くらい、ゆっくりと摂取しましょう。水道水でも大丈夫です。ミネラルウォーターを飲む場合、硬水でも軟水でもどちらでも構いません。
ただし、胃に負担がかかるため、大量の水を一気飲みするのは避けましょう。水分は1日1.2リットル程度、多くても2.0リットルまでにしましょう。
- 1日の水分摂取の目安量は「約1.2リットル」
人間の体の約6割は水分でできており、たとえば体重60kgの人は36kg分が水分です。一般的に、尿や便から約1.6リットル、呼吸や汗から約0.9リットル、合計で1日に約2.5リットルの水分が失われます。
失われる水分を補給するためには、食事から摂取できる水分約1.0リットル、体内で作られる水分(代謝水)約0.3リットルを除く、「約1.2リットル」を飲み水として摂取する必要があります(※)。
ただし、暑い時期や運動で汗をたくさんかいた場合は、その分多く水分を摂取しなければなりません。状況にあわせて水分摂取量を調整しましょう。
<参考文献>
※ 国土交通省「「健康のため水を飲もう」 推進運動」
いつ飲むのがいい? 水を飲むタイミング
こまめに飲むといっても、具体的にいつ飲むとよいでしょうか。目安として、水分不足になりやすい以下のタイミングがおすすめです。
- 起床時
- 就寝前
- 食事30分前
- 入浴前後
- 運動前後
- 飲酒時
上記のなかでも起床時や入浴後、運動後は汗をかいているため、とくに体内の水分量が減っているタイミングです。不足した水分を補い、体内の水分量を保てるように意識しましょう。
水道水とミネラルウォーター、どっちがいい?
水道水でもミネラルウォーターでもどちらでも問題ありません。水を選ぶ際には、飲みやすさを基準にしましょう。
水道水の風味が気になる場合は、浄水器を使ったり一度沸騰させたりすると残留塩素を除去でき、風味を改善できるでしょう。
ミネラルウォーターは軟水や硬水などの種類がありますが、自分にとって飲みやすいと感じるもので問題ありません。
甘味料が含まれていないものであれば、炭酸水もおすすめです。ただし、腸内の内容物を移動させるぜん動運動を促進しすぎる場合もあるので、適度な量にとどめておきましょう。
水ダイエットの効果を出すためのルール
ここからは、水ダイエットのポイントを3つ紹介します。
こまめに水を飲む
水ダイエットは、とにかくこまめに水を飲むのがコツです。体内の水分が不足しがちなときを見計らって、水分のこまめな摂取を心がけてください。
一度に大量の水を飲むと、胃に負担がかかってお腹が痛くなる可能性があります。また、一時的に体内の水分量が増えることでうまく吸収されないまま、すぐに尿として排出されてしまいます。
コップ1杯程度の水を、1日6回に分けてこまめに摂取するよう心がけましょう。
常温や白湯を飲む
水ダイエットで飲む水の温度は、常温(20~35度)が適切です。就寝前の場合は、体を冷やさないためにも、白湯くらいの温度でもいいでしょう。
冷たい水を飲むと、胃へ負担がかかったり体を冷やしたりするだけではなく、血液の温度も下がってしまいます。これにより、血流が悪くなって代謝が落ち、脂肪の蓄積やむくみなどにつながりかねません。
とくに、運動後や暑い時期は冷たい飲み物が欲しくなりますが、冷たすぎる水は避けて常温のものを飲むようにしましょう。
毎日継続する
どんなことでもそうですが、水ダイエットも、継続することで変化が期待できるダイエット方法です。即効性を求めるのではなく、根気強く続けることが大切です。
運動と食事コントロールを行うと、結果がより早く出ることは言うまでもありません。
また、水を飲むことはダイエットだけではなく健康維持にも役立ちます。水ダイエットで体重が減ったら終わりではなく、普段の生活習慣のひとつとしてこまめな水分摂取を意識付けましょう。
水ダイエットの注意点やデメリットとは
過剰摂取すると「水中毒」の危険性
水分の摂取し過ぎはかえって不健康の原因になります。水ダイエットは、飲めば飲むほど効果が得られるわけではありません。
また、あまりにも過剰摂取すると「水中毒」になる危険性もあるので注意しましょう。
水中毒とは、大量の水分を一度に摂取したり1日に3L以上の水分を摂取したりしたことが原因で、血中のナトリウム濃度が急激に低下し発症するものです。めまいや頭痛、下痢などの症状を引き起こすおそれがあります。
水中毒を予防するには、水分はこまめに補給するほか、激しい運動をして汗をたくさんかいた後は水ではなくスポーツドリンクなどのナトリウムを含む電解質飲料水での水分補給をしましょう。
監修・執筆者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
<Edit:編集部>