熱中症対策のために覚えておきたい。応急キットを活用した“もしものとき”の対処法 (3/3)
熱中症の症状別にみる応急処置の方法とは?
これらの熱中症応急キットを見ると、身の回りにあるものでも熱中症の応急処置もできそうです。そこで、熱中症応急キットの使い方にもあった応急法を、症状別に紹介したいと思います。
【めまいや冷や汗、一時的な失神】
日陰やエアコンの効いた部屋など、日差しを避けて涼しい場所に移動します。首や脇、太ももなどを冷却剤か冷やしたタオルなどで冷やし、足を高くして休んでください。
【手足のけいれんによる筋肉痛などの熱けいれん】
大量の汗をかいた後、水分だけをとり、塩分をとらないと起こります。1リットルの水に9g程度の食塩を溶かした生理食塩水を作り、それを飲むことで体から失われた塩分を補います。
【だるさ、嘔吐や頭痛】
大量に汗をかいたことによる、重症の脱水症状が原因となる熱疲労が疑われます。塩分を含んだ水もしくはスポーツドリンクを飲ませてください。また、脳に血液が回りにくくなっているため、足を頭より高い位置にあげて休ませます。
【体温が高い、呼びかけても応答しない、意識の障害がみられる】
命の危険がある重症の熱中症のひとつ、熱射病が疑われます。すぐに救急車を呼んでください。救急車が到着するまでの間は、首や脇の下、太ももの付け根の部分などに冷却剤を当て、うちわや扇子であおぐなどして、異常に高くなった体温を下げます。
熱中症が疑われるものの、意識もある時は応急処置で対応します。一方、意識がない、自力での回復が難しい、体調が悪化した時などは、ただちに救急車を呼ぶか病院に行くようにしましょう。このような状態にならないためにも、暑い時にはできるだけムリをしないこと。適度な休息、水分をこまめにとる、塩分を適度にとる、冷却シートやスカーフなど冷却グッズを身につけるなど、熱中症の予防を心がけることも大切です。
熱中症は高齢者や肥満の人、過去に熱中症を起こした人がなりやすいといわれています。また体調が悪い時は体温調節がうまくいかず、発症することがあります。もし症状が出てしまったら、ご紹介した応急処置で様子を見て、それでも治らなければ病院でも診てもらうようにしましょう。
[監修者プロフィール]
株式会社日曜発明ギャラリー(にちようはつめいぎゃらりー)。暑さ対策や熱中症対策、紫外線対策商品の開発や販売を手掛ける。「クールビット・熱中対策キット」の開発を担当。発明アイデア商品の開発や販売、商品化支援なども行う
<Text:H14香城由里/Photo:日曜発明ギャラリー、ミドリ安全、Getty Images>