フィットネス
2024年6月6日

筋トレメニューの組み方・作り方【1週間実例つき】

トレーニング初心者にとって、筋トレのメニューを考えるのはハードルが高いもの。しかし、基本的な考え方を理解すれば、それほど難しいものではありません。

今回は筋トレのメニューの組み方と、初心者におすすめの種目・回数・頻度を、プロのスポーツトレーナーがさまざまな角度から解説していきます。

ジム派・自宅派、また女性であっても共通して使える根本的な考え方ですので、ぜひ参考にしてみてください。

解説は、プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当する、日本トレーニング指導者協会(JATI-ATI)認定トレーナー・和田拓巳さんです。

筋トレメニューを組むときはまず「目的・負荷回数・頻度・筋トレ種目」を決める

筋トレのメニューを作るうえで、決めておきたいのが以下4つです。

  1. 目的
  2. 負荷と回数
  3. 頻度
  4. エクササイズの種類

それぞれ順番に解説していきましょう。

ステップ1.これはマスト! 目的を明確にする

まずは、なぜ筋トレを行うのか、目的は何なのかを明確にしましょう。

筋トレを行う目的は、「体を大きくしたい」「見た目を引き締めたい」「健康維持」「スポーツのパフォーマンスアップ」などが主ですが、目的によってもメニューはガラッと変わってきます。

ステップ2.目的が決まれば負荷回数も設定できる。どのくらいのキツさ、回数をやればいいか?

目的に合った効果を引き出すためには、その目的に合ったトレーニングを行うことが必要です。

ここでは、「筋肉を大きくする(筋肥大)」「パフォーマンスアップ(筋力向上)」「疲れにくい体(筋持久力)」「ダイエット(脂肪燃焼)」の4つに分けて、それぞれの取り組み方を紹介します。

■筋肉を大きくする(筋肥大)のためのトレーニング

筋肥大させるためには、「中強度×中回数」の負荷設定が適切です。

回数の目安は6~12回程度。6~12回で限界になるくらいの負荷を使いましょう。

基本的には1セットごとに、ウエイトを持ち上げられない限界まで追い込みます。

負荷が軽いと筋肥大には適していない

筋肥大をさせるためには、高い負荷と長い筋力発揮時間が必要です。軽い負荷では、筋肥大には適していません。

50回も100回も連続でできるのでは負荷が低すぎて、筋肥大は起きにくいのです。

筋力向上=中強度×中回数
回数:6~12回
キツさ:6~12回で「もうできない」と限界を迎える程度

■パフォーマンスアップ(筋力向上)を目指すトレーニング

筋力を向上させるためには、強高度×低回数で行いましょう。

回数の目安は3~5回程度。3~5回で限界になるくらいの負荷設定で行います。

強高度で行うことで、神経系の働きが改善され、筋力が向上しやすくなります。

筋力向上=強高度×低回数
回数:3~5回
キツさ:3~5回で「もうできない」と限界を迎える程度

なお、筋力を高める場合、筋肉量によって発揮できる筋力の上限が決まっています。

神経系が発達し、さらに筋力を高めたいのであれば、筋肉量を増加していく必要もあるということを頭に入れておきましょう。

競技パフォーマンスを高めるなら「パワー」も鍛える

また、競技パフォーマンスを高めるには筋力だけでなく、パワーも高める必要があります。

筋力とパワーは実は別のもの。パワーとは「筋力×速度」のことです。大きな力を瞬時に発揮することができる能力のことを指します。

パワーを鍛えるためには、筋力の発揮スピードを高める必要があり、筋力向上を目的とする負荷設定よりもやや負荷を落とし5~7回程度、できるだけ速く動作を行うことを意識しながら行います。

パワー向上=中高度×低回数
回数:5~7回
キツさ:できるだけ速く動作を行う

■筋持久力向上を目指すトレーニング

筋持久力向上のためには、低負荷×高回数で行いましょう。

回数の目安は12~20回程度。12~20回で限界になるように負荷を設定します。

30~ 40回もできる負荷で20回しかやらないのでは、残念ながら効果は出ません。

筋持久力向上=低高度×高回数
回数:12~20回
キツさ:12~20回で「もうできない」と限界を迎える程度

インターバル(休憩)も長くとりすぎない

トレーニングのセット間のインターバルも、短めに設定すると効果的です。インターバルは10秒~30秒に設定し、長くても1分以内には次のセットに入りましょう。

知人と話し込む、スマホいじりなどでインターバルが長くならないように注意が必要です。

■脂肪燃焼を目指すトレーニング

ウエイトトレーニング(筋トレ)と有酸素運動を組み合わせると、脂肪燃焼の効果も高まります。筋トレを先に行い、そのあとに有酸素運動を行うと、体脂肪を落とす効果が高くなるのです。

回数の目安は筋肥大と同じくらいの6~12回程度で設定してみましょう。胸や背中、太ももなど大きい筋肉を中心に鍛えると、消費エネルギーが増えて効果的です。

しかし、筋肥大をしたい場合、筋トレ後の有酸素運動をハードに行ってしまうと筋肉の成長を阻害してしまうという研究報告もあります。

筋肥大を目指す人が有酸素運動を行う場合は、筋トレと別日に有酸素運動を行うとよいでしょう。

脂肪燃焼=筋トレ×有酸素運動
回数:6~12回
補足:有酸素運動と筋トレは別日に行う、大きい筋肉を中心に鍛える

ステップ3.筋トレは週に何回やればいい? 効果的な頻度を決めよう

どのくらいの頻度で筋トレを行うかによっても、メニューを変える必要があります。

過去記事「筋肉痛で筋トレは逆効果!筋肉痛の正体と対策[トレーナー監修]」でも紹介している通り、同じ部位を高頻度で行うと筋トレ効果が低くなる、疲労が溜まりケガにつながるといったリスクもあります。

高頻度に行う場合は、頻度によって鍛える部位を分け、疲労が溜まらず常に質の高いトレーニングを行えるようにしましょう。

毎日筋トレする場合は部位別にローテーションしよう筋トレメニューの組み方|毎日やるなら「部位別ごとに分けて鍛える

ステップ4.エクササイズを選ぶ

筋トレには、以下をはじめとしたさまざまな種類があります。

  • 自重トレーニング
  • フリーウエイト
  • マシントレーニング
  • チューブやボールを使ったトレーニング

自宅で行うのか、ジムで行うのかによっても選べるエクササイズが変わりますが、筋肥大や筋力向上には、フリーウエイトやマシントレーニングなど負荷を増やしやすいトレーニング方法のほうが効率は良いでしょう。

また、エクササイズは以下の種目に分類できます。

  • アイソレート種目:1つの関節しか動かないエクササイズのこと(例:ダンベルフライ)
  • コンパウンド種目:2つ以上の関節を動かしながら行うエクササイズのこと(例:ベンチプレス)

同じ胸を鍛えるエクササイズである「ベンチプレス」と「ダンベルフライ」で考えてみましょう。

たとえば、ベンチプレスは、肩関節・肘関節と2つの関節を動かして胸を鍛えるコンパウンド種目ですが、ダンベルフライは、肩関節のみが動くアイソレート種目です。

(ダンベル)ベンチプレス

(ダンベル)ダンベルフライ

動く関節が多くなるほど、複数の筋肉が同時に刺激され、動く関節が少なければ1つの筋肉に集中して刺激を入れることができます。

■筋力を高めるならコンパウンド種目

筋力を高めるには、コンパウンド種目が効果的です。

コンパウンド種目は複数の筋肉を動員するので、大きな力が発揮できます。そのため高重量を扱うことができ、刺激量を増やすことができます。

また、競技に活かすためトレーニングでは、より競技特性に近いのはコンパウンド種目です。

■筋肥大ならアイソレート種目

アイソレート種目は、筋肥大に効果的です。目的の筋肉に対して刺激を入れやすいからです。

このようにエクササイズ一つ一つにも、どの筋肉を鍛えるかということ以外にもさまざまな違いがあります。違いをしっかり理解して選ぶことで、効率よく目的に近づくことができます。

初心者におすすめの筋トレメニューは「コンパウンド種目」

初心者の場合、体力的にも精神的にも長時間のトレーニングは向いていません。短時間でもいいので、効率のよいエクササイズを選び、継続することを目的にした方が良いでしょう。

コンパウンド種目を中心に、8~12回×3セット

効率を考えると、ひとつのエクササイズで多くの筋肉を鍛えるコンパウンド種目を中心にメニューを組むとよいでしょう。

重量は目的によって設定しますが、初心者の場合はエクササイズに慣れていないこともあるため、あまり重い重量を使わず、8~12回×3セットくらいから始めてみましょう。

コンパウンド種目例:スクワットデッドリフトベンチプレスラットプルダウン腕立て伏せ(プッシュアップ)など

筋トレは1日何分やればいい? 目安は「30分を週3」

30分を目標にして習慣化させる

目指すは30分! 習慣づけば、頑張らなくてもトレーニング時間が自然と増えますし、トレーニングが苦にならなくなっていきます。

週に3回を目指す

体を変えるには、週3回以上を目指してトレーニングを行うことをおすすめします。週2回では、全身を鍛えるのが大変で、1回あたりのトレーニング量が多くなってしまいます。

頻度を多くするかわりに、1回の時間は短くても大丈夫です。まずは1部位ずつでいいので、とにかくジムに行く、トレーニングを行うことを習慣づけましょう。

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和田トレーナーも実践! 筋トレ1週間メニュー例

ここでは私が行っている1週間のメニューの例を挙げてみたいと思います。あくまでも個人的なメニューなので、参考程度にご覧ください。

A:胸+上腕三頭筋
B:背中+上腕二頭筋
C:肩+上腕三頭筋
D:下半身+上腕二頭筋

基本的にはこの4つのサイクルを続けて行います。もちろん、途中にOFFもありますし、体調によってはトレーニング部位を変えることもあります。

例)
月曜日 A
火曜日 B
水曜日 OFF(もしくはお腹+有酸素運動の軽いメニュー)
木曜日 C
金曜日 D
土曜日 OFF(もしくはお腹+有酸素運動の軽いメニュー)
日曜日 A


エクササイズに関しては、基本コンパウンド種目を中心に、コンパウンド種目→アイソレート種目と移っていきます。この方法はもっともベーシックなやり方です。

私の場合は、1日あたり1時間程度で着替えも済ませ、ジムを退出してしまいます。

筋トレしたら何を食べたほうがいい? 筋トレ後の食事で気を付けること

体を変えるには、運動だけでなく食事も重要なのはご存じの通り。運動をするなら、食事もしっかり管理することで効率が高まります。

トレーニング直後は、筋肉を合成する働きを持つ成長ホルモンの分泌が活発です。そのタイミングで体内にたんぱく質をしっかり補給することが大事です。

また、トレーニングによってエネルギー切れを起こしている体に糖質を補給してあげることで、効率よく筋肉が作られるようになります。

たんぱく質はトレーニング後だけでなく、1日を通してしっかり摂取しておくようにすると、筋肉がつきやすくなります。

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筋トレメニューを作るのは楽しい!

難しそうな筋トレのメニュー作りも、筋トレに慣れてくると色々なエクササイズに興味が出て挑戦してみたくなります。そうなれば、もう筋トレ初心者は卒業です。

筋トレのメニューにこれといった正解はなく、十人十色です。だからこそ、自分の目的に合ったメニューを追及していきたくなるのです。これも筋トレの楽しみの一つでしょう。

初心者の方は、今回紹介したメニューの作り方を参考に、慣れてきたら自分に合った筋トレメニューを作り上げていきましょう!

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著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴22年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆や商品監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信中。2021年 著書「見るだけ筋トレ」(青春出版社)発刊。

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<Text:和田拓巳/Edit:編集部>