スクワット
フィットネス
2025年10月6日

毎日スクワットの驚くべき効果とは|30回・50回・100回…ベストな回数はどれ?

「筋トレの王様はスクワット」「スクワットが最強」なんて話を聞きますが、毎日スクワットを行う効果はどれほどなのか。トレーナーに聞きました。

Q.毎日スクワットの効果は?

A.自重スクワットを毎日続けることで、ダイエット・体型改善・健康維持のすべてに大きな効果が期待できます。

「下半身には全身の約6割の筋肉が集まっていて、毎日刺激することで基礎代謝が高まり、痩せやすく太りにくい体質づくりにつながります。さらに、継続することで立ち座り・階段昇降などの日常動作の向上、下半身の引き締め、むくみ解消、腰痛予防にも有効であり、見た目の変化や身体の機能改善も得られやすくなります。

一方で、ダンベルやバーベルを担ぐような高負荷スクワットを毎日続けると、筋肉の回復が追いつかず逆効果になることもあります。毎日行うなら、自重で正しいフォームを意識するのが安全で効果的です」

そう語るのは、パーソナルトレーナーの深澤 智也さん。数々のトレーナー資格を持ち、海上自衛隊で10年従事した経験を持つ、トレーニングのプロです。

毎日スクワットの効果がすごい理由

スクワットは単に脚を鍛えるだけでなく、基礎代謝の上昇やスタイル改善、健康面へのメリットまで多方面に作用します。特に注目すべき効果を解説します。

基礎代謝が上がり痩せやすい体質に

スクワットは体全体の約6割の下半身の大きな筋肉を刺激するため、基礎代謝を上げやすい運動です(*)。基礎代謝が上がると、日常生活のちょっとした動きでもエネルギー消費が増えるため、自然と「痩せやすく太りにくい体」に近づいていきます。

ただし効果を実感するには、正しいフォームで継続することが大前提。毎日のトレーニングで成果を出すために、まずは正しいやり方を身につけましょう。

*e-ヘルスネット「筋肉量と基礎代謝」(厚生労働省)

有酸素運動並みの消費カロリーに

研究では、1セットで20〜30回ほどで限界になるような中程度以上の強度でスクワットを行った場合、有酸素運動に匹敵するエネルギー消費が報告されています(*血流制限を伴うものや高負荷条件での研究)。

例えば、体重60kgの人が中程度以上の強度(6〜8MET)で5分スクワットをすると、約40〜60kcalを消費します。これはジョギング7〜9分程度に匹敵します。この強度を意識して続ければ、単なる筋トレにとどまらず、脂肪燃焼や持久力アップといった有酸素運動に近い効果も得られます。

*Garcia-Sillero et al., J. Clin. Med., 2023Hu et al., J. Sports Sci. Med., 2025

血流改善・むくみ解消・冷え改善に有効

スクワットには下半身の血流を促す働きがあり、むくみや冷えの改善に役立つ可能性が示されています(*実験条件は短期・限定的)。血液の巡りがよくなると、脚のだるさが軽くなったり、体が温まりやすくなるメリットがあります。

特にデスクワーク中心で長時間座りっぱなしの方にとっては、立ち上がってスクワットを数回行うだけでも手軽なリフレッシュになります。

*PubMed

骨密度を保ち、テストステロンが増え筋肉がつきやすく

骨密度維持やテストステロン分泌の促進については、中高年男性を対象にした研究で関連性が示されています(*)。骨密度が保たれると骨折や骨粗しょう症のリスクを減らせるほか、テストステロンが増えることで筋肉がつきやすくなり、代謝や活力アップにもつながると考えられています。

対象は中高年男性の研究が中心のため、誰にでも同じ効果が得られるわけではありません。ただし、特に40代以降の男性にとってはプラス要素になりやすく、女性でも骨粗しょう症予防という観点からメリットがあります。

*Wu et al., J. Orthop. Surg. Res., 2021Yeap et al., J. Clin. Med., 2021

30回・50回・100回…毎日やるなら何回がいい?

スクワットは何回やるのがベストなのか?目的によって適切な回数や負荷は変わるのが、筋トレの奥深さです。30回・50回・100回を例にして、効果と注意点を解説します。

毎日30回スクワットの効果と注意点

30回程度であれば、初心者でも無理なく続けやすく、習慣化に向いています。さらに、血流改善によるむくみ予防や股関節・膝・足首など下半身の関節可動性アップも期待できます。ただし、姿勢が崩れたまま繰り返すと腰や膝に違和感が出やすいので注意が必要です。

また、30回を余裕でこなせる場合は消費カロリー自体は大きくなく、筋肥大や大きな体型変化は出にくいでしょう。毎日30回を続けること自体に意味はありますが、目的によっては負荷を調整することが大切です。

例えばダイエット目的なら「8〜12回で限界を迎える負荷」に設定して3セット行うと効果的です。ペットボトルを持ったり、リュックを背負ったりした簡単な加重でも、十分に強度を高められます。

毎日50回スクワットの効果と注意点

50回連続で行うと心拍数が上がり、有酸素運動的な脂肪燃焼や筋持久力アップが期待できます。ただし、動作中の姿勢や骨アライメント(骨格の配列)に不備がある場合、膝や腰への負担リスクが増えるため、痛みが出たら休養日を入れるなどリカバリーも重要になってきます。

逆に体が慣れている人にとっては「軽めの運動」になりやすいので、100回スクワットへチャレンジしてみましょう。

毎日100回スクワットの効果と注意点

100回できる人は下半身の持久力がある証拠です。毎日の運動習慣として達成感も高く、消費カロリーが増えるため脂肪燃焼効果も期待できます。一方でフォームが崩れやすく、膝や腰への負担も大きくなります。

筋肉を大きくしたい場合は、100回をだらだら続けるよりも「3〜7回で限界を迎える負荷設定(ダンベル・バーベルなどを使用)」のほうが短時間ですし効率的です。

毎日100回スクワットは「持久力トレーニング」として割り切り、目的に応じて使い分けましょう。

スクワットは回数が多いほどいいわけではない

「とにかく数をこなせば効果がある」と思いがちですが、スクワットは回数を増やせば増やすほど効果的というわけではありません。むしろフォームが乱れた状態で何十回も続けると、膝や腰に負担が集中し、ケガにつながるリスクもあります。

大切なのは「どれだけの回数をこなしたか」ではなく「どのくらい正しいフォームで効かせられたか」です。目安としては15回前後でしっかり効かせる動きを1〜3セット行う方が、漫然と高回数を繰り返すよりも安全で効果的です。

毎日スクワットの目的別ベストな回数

目的 負荷の設定
ダイエット 8〜12回で限界になる負荷設定
筋力アップ 3〜7回で限界になる負荷設定
持久力アップ 13〜20回で限界になる負荷設定

自重で30回・50回・100回をこなせるのは悪くありませんが、本格的に効果を出したいなら「目的に合った負荷をかける」ことが重要です。

筋肉痛があるときは休むか他の部位を鍛えるなど、超回復を意識した休養も取り入れましょう。

「超回復は嘘、毎日筋トレをした方がいい?」筋肉博士・山本義徳先生の回答は…

男女別にみる毎日スクワットの効果

スクワットは性別を問わず効果的ですが、男性と女性では得られやすい変化に違いがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

男性に多い効果

男性は筋肉量がもともと多く、テストステロンの分泌も活発です。そのため毎日スクワットを続けると、次のような変化を実感しやすい傾向にあります。

・下半身の筋肥大(太もも・お尻の厚み)
・基礎代謝アップによる「太りにくい体」
・筋力向上によるパフォーマンス改善(ジャンプ力・瞬発力など)

特に「毎日30回」を継続すると、運動不足の男性でも1〜2か月で体型や体力の変化を感じやすいでしょう。

女性に多い効果

女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、大きな筋肥大よりも脂肪燃焼による引き締め効果やボディメイクにつながりやすいです。次のような変化が代表的です。

・ヒップアップや美脚づくり
・代謝改善によるダイエット効果
・血流改善でむくみや冷えの解消

「スクワットを毎日続けた結果、ふくらはぎがスッキリしてパンツが似合うようになった」という声も多く、見た目の変化を重視する女性にとって取り入れやすい運動です。

毎日スクワットを続けるコツ

スクワットはシンプルな動作ですが、毎日続けるとなると意外と難しいものです。効果を出しながら安全に続けるためのコツを紹介します。

正しいフォームを習得する

フォームが崩れると、狙った筋肉に効かないだけでなく、膝や腰を痛める原因になります。鏡の前で動作を確認したり、スマホで撮影して客観的にチェックすると修正しやすいです。

■正しいスクワットのやり方

1.一番無理なくしゃがみやすい足幅に配置し、つま先はやや外向きにする

2.しゃがむ時は股関節から順に折り曲げ、骨盤が丸まらないようにお尻を突き出す

3.太ももが床と平行になるまで下ろしたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る

足を腰幅に開き、立つ。つま先は膝と同じ向きにする股関節からしゃがむ

■フォームのチェックポイント

背筋を保ち、スネと並行になるように上体を軽く倒す。膝がつま先よりも前に出ないよう注意。膝を意識しすぎて、スネが床に対して垂直になるのもよくあるNGフォームです。

\動画で動きをチェック/

▼スクワットの効果が出ない「ダメなやり方」をトレーナーが解説
筋トレの王道「スクワット」の効果とやり方|正しい姿勢、フォームの種類、回数

筋肉痛が強いときは休む

「毎日やらなきゃ」と思いすぎると、かえって故障につながります。強い筋肉痛があるときは、思い切って休むことも大切です。休養は筋肉が成長するプロセスの一部(超回復)でもあります。

無理に追い込まない

限界まで追い込む必要はありません。疲労が強く残ると継続が難しくなるため、「少し余裕がある」くらいで止めておくほうが習慣化しやすいです。

目安としては、「あと2〜3回ならできそう」と感じるところでやめるくらいがちょうど良い強度です。呼吸が弾んで汗が出るけれど、会話はなんとかできる程度を意識すると、毎日続けやすくなります。

慣れてきたら少しずつ負荷を上げる

毎日スクワットを続けていると、体が慣れて「効いている感じ」が薄れてくることがあります。そのときは回数を増やすよりも、負荷を上げて調整するのがおすすめです。

負荷の上げ方にはいくつか方法があります。

・セット数を増やす(10回×3セット → 10回×4セットなど)
・重りを持つ(ダンベルやペットボトルでもOK)
・片足で行う(ブルガリアンスクワットなど)

このように工夫することで、無理に高回数をこなさなくても効果を高めることができます。

バリエーションを取り入れる

毎日同じスクワットだと飽きてしまうことも。ワイドスクワットジャンプスクワットなどのバリエーションを加えると刺激が変わり、より多くの筋肉を鍛えられます。

食事と休養を整える

筋肉の成長にはトレーニングだけでなく、十分な栄養と睡眠が欠かせません。特にタンパク質を意識して摂ると効果が高まり、基礎代謝アップや引き締めにつながります。

スクワットに関するよくある質問(Q&A)

スクワットをする際によくある質問を集めました。

スクワットを毎日やると足が太くなりませんか?

正しいフォームと骨格にズレが生じてなければ、足が極端に太くなることはほとんどありません。足が太くなるのは、フォームのエラーや股関節の安定を担うインナーマッスルが機能しないまま、前ももへの負担が大きくなってしまうから。運動前のストレッチや正しいフォームを確認して行うようにしましょう。

スクワットで痩せるまで、どれくらいかかりますか?

体質や食事内容によって個人差がありますが、毎日50回程度を継続すれば、1〜2か月で体型の変化や下半身の引き締まりを感じる人が多いです。

スクワットは毎日100回やった方が早く痩せますか?

回数をこなせば良いというわけではありません。フォームが崩れるとケガのリスクも高まります。100回をだらだら続けるよりも、目的に応じて8〜20回で限界を迎える負荷設定のほうが効率的です。

膝が痛いときでもスクワットはできますか?

膝に違和感があるときは無理に行わず、医師やトレーナーに相談してください。膝の負担を減らす方法としては、ハーフスクワットやイスを使ったサポート付きスクワットがおすすめです。

自宅でスクワットを効果的に続けるコツは?

鏡の前でフォームを確認したり、朝の歯磨き後など習慣に組み込むと続けやすいです。バリエーションを取り入れることで飽きにくくなり、全身をバランスよく鍛えられます。

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監修者プロフィール

パーソナルトレーナー
深澤 智也(フカサワ トモヤ)

深澤智也(フカサワトモヤ)■経歴
2010〜2020年 海上自衛隊
2020年 2ndPASS(パーソナルトレーナースクール)卒業    
2021〜2022年 仙台市キックボクシングジム所属(ボディメイクトレーナー)
2022年〜現在 パーソナルトレーニングジム 9INE-GYM設立

■保有資格
NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)
NESTA-FAS(ファンクショナルアナトミースペシャリスト)
CBMS(認定ファンクショナルボディメイクスペシャリスト)
KUBIRE ARTIST
普通救命講習終了

■コンテスト歴
自衛隊プレミアムボディ2019 ファイナリスト
ベストボディジャパン2021日本大会 TOP10入り
マッスルゲート仙台2025 メンズフィジーク新人 優勝
マッスルゲート仙台2025 メンズフィジーク一般 3位

<Edit:MELOS編集部>