インタビュー
2017年5月29日

反省は調子が良いときにするべき!?【里崎智也のビジネス現場で役立つ思考術 #1】 (3/3)

「責任」を取った人を見たことがない

——この本では、組織で出世するための思考法も語っています。上司は部下のことを4つの評価に分類しているとのことですが。

監督やコーチはこの4つの見方をしていて、これは会社やほかの組織のマネジメントも同じだと思っています。

  • 教えたとおりにやって、結果を出してくれる選手
  • 教えたとおりにやってるけど、結果が出ない選手
  • 好き勝手やって、結果が出ない選手
  • 好き勝手やって、結果を出す選手

そして、上から順に、監督やコーチにとって好感度が高い。自分の指導通りにやって結果を出してくれればベストだし、仮に結果がでなくても辛抱して使ってくれます。この考え方を知らずに、自分の好き勝手やって、起用されないことを「俺は嫌われてるから……」と愚痴を言っていてもなんの意味もないんです。

——この4つの見方について、いつから気づいていたんですか?

入団後すぐだったと思います。

——里崎さんはどのタイプだったんですか?

もちろん最初は能力もないし教えてもらわないといけないから、「この人だ!」と思えた人についていきましたよ。でも、自分のやり方が構築できてきたら、他人の意見を聞かないっていう選択肢を持つことも大切だと思います。例えば、シーズン途中で監督やコーチが変わることがあるんですけど、アドバイスが的を射ていないこともあるんです。しかも、それが一度やってみてダメだった方法だったりすることもあって。

——そういうときはどうしていたんですか?

もう無視ですよね(笑)。もちろん表立って拒否することはできないんで、口では「ハイ!」と言いつつも何もしないっていう。自分のやり方で勝負すると決めてやりました。嫌われようが、結果を出せばこっちのもんですから。

——でも、それは勇気がいる行為ですよね。

上の人が責任を取ってくれることなんてないんで、最終的には自分の意思を尊重していく方が良いと思うんですよ。「責任を取るから、好きにやれ」って言われてても、結果を出せなければクビになるし、降格させられることも普通にあるので。

——里崎さんの著書には「責任」という言葉が何度も出てきます。こだわりをお持ちですよね。

実は「責任」って言葉、大っ嫌いなんですよ。ちゃんと責任を取る人って滅多にいないんで。「何かあったら、責任取っておれが辞めるから」っていうけど、それは上司の責務じゃないですか。部下が何か問題を起こしたら上司が対応するっていう。それは僕に対しての責任ではなくて、上司に課せられている責任なわけで。仮にプロ野球選手に対して責任を取るってなったら、給料の補填をしてくれるか、球団からクビにならないように取り計らってもらうかのどっちかだと思うんですよ。それが僕のことになったら、責任を取れるのは家族のことだけ。それ以外で安易に「責任を取る」ということはできないはずなんです。

・後編:「里崎智也のビジネス現場で役立つ思考術#2」リーダーはあざといくらいに努力を見せた方が良い

 [プロフィール]
里崎智也(さとざき・ともや)
1976年5月20日生まれ、徳島県出身。鳴門工業高校から帝京大学を経て、1998年のドラフト2位で千葉ロッテマリーンズに入団。2005年、2010年には日本一を経験。2006年のWBCでは正捕手として日本を世界一に導く。2014年に現役引退し、2015年1月より、千葉ロッテマリーンズのスペシャルアドバイザーに就任

<Text:森祐介/Photo:今井裕治>

 

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