インタビュー
2017年10月24日

子どもの身体能力をアップさせる“裸足”運動の効果って?教育現場の導入ケースを取材してきた (2/2)

「教育の場に外部の人が入っていくことは、非常に難しいものです。しかし幸いにも私は内部の人間ですから、教育現場で“裸足”を広めていけるはず。あと6年間は、とにかくそのために努力していこうと思っています。しかし、いくら子どもたちに教えても、その後に継続がなければ意味をなしません。ですから大切なのは、各教育現場に指導できる人材を作っていくこと。まずは裸足の効果を知ってもらうため、大人向けの講習を定期的に開催しています。実際のところ教師だけでなく主婦の方なども多いんですけどね」

 もちろんいくら裸足が良いと思っても、指導するための正しい知識が欠かせません。大人向けに行っている講習は、より広くその効果を知ってもらうとともに、指導する側である教師の方々へ必要な知識を教える意味合いも込められているのでしょう。また、その指導内容についても、松浦さん独自の内容が盛り込まれていました。

「裸足での運動を教えているコーチは、ほとんどがランナーです。しかしランニングという動きは、真っ直ぐ走るという直線的なものですよね。でも“身体の動き”という観点で考えると、走るだけでなく横への動きがとても大切だと考えています。私はランナーではありませんし、体育教師あるいは部活指導という立場でさまざまなスポーツに関わってきました。だからこそ、他の皆さんとは違った視点から指導ができると思うんです」

 根本的に怪我しない動きを身に付ける。そして、本来の身体機能を引き出すことの重要性はは、確かにランニングに限った話ではありません。確かに書籍などを見てみても、“裸足ランニング”についてはいくつか見当たるものの、ランニング以外の運動にスポットを当てたものは少ないようです。

「しかしいくら裸足が良いと言っても、靴を脱ぐのは運動時だけだって構わないんですよ。日常生活を送るうえでは、どうしても靴が必要な場面があるもの。その分、例えば体育の授業をはじめ、裸足になる時間も同じように確保してあげれば良いのだと思います。ですから陸上競技部の選手に、大会で裸足になれなんて言いません。大会はスパイクで走る。そもそも陸上や野球、あるいはサッカーも含めて、スパイクにクッションなんて入っていないでしょ? 裸足でのトレーニングを行うことで、そういったスパイクを“使いこなす”技術が身に付くわけです」

 北海道では冬になると、体育館に暖房が入るそうです。すると外で走れなくても、体育館を利用して1年中でも裸足で運動できる。しかも裸足になるには、屋外より室内の方がハードルも低い。松浦さんは、その環境こそ裸足を広めるのに最高のものなのだと語ってくれました。

 裸足による運動を取り入れることで、身体の機能をもっとも使える状態になる。それは子どもから大人まで、年齢を問わず言えることなのだとのこと。競技者、そして指導者として多くの経験と実績があるからこそ、そのお話には強い説得力があります。私も裸足を実践、また指導に取り入れている者の一人として、とても貴重なお話を伺えました。もしかしたら近い将来、北海道では体育を裸足で行うのが常識になるかもしれません。

[プロフィール]
松浦弘泰(まつうら・ひろやす)
北海道教育大学・保健体育科を卒業後、体育教師として教鞭をとり、現在は中富良野中学校で校長を務める。やり投げ選手としてマスターズ陸上等で活躍し、2012年には全日本マスターズで優勝、さらに2013年のアジアマスターズでは準優勝を果たした。自身の怪我をキッカケに裸足の効果を実感し、教育の場へ取り入れるべく活動。学校部活動のほか、北海道内の各所にて子どもから大人まで広く裸足による運動指導を行っている。日本ベアフットランニング協会 コーチ
【BLOG】https://ameblo.jp/rxq03350/

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

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<Text&Photo:三河賢文>

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