インタビュー
2018年8月13日

クラッシックコンサートに行き、知らない世界を知ったこともキャプテンとしての糧になっている。ラグビー元日本代表・廣瀬俊朗(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #16 (2/3)

人前に立って緊張して泣いてしまったことも……

――8年間続けたバイオリンは、ラグビーに役立ちましたか。

楽器を扱う作業は頭によかったかもしれない。両手を動かさなあかんし、自分の音を聞かなあかんし。ピアノと違って「ド」を弾いてるつもりでもなかなかきちんとした音程の「ド」が出ないので、「この音正しいのかな」と思いながら弾かなあかん。よく頭を使い、状況に応じて手の加減を調節するという点で役立ちましたね。

ちなみに、カラオケには役立ちませんでした(笑)。音楽は好きですが歌謡曲を知らないんです。母親は車の中でクラシックしか流してくれなかったんで、カラオケは歌えないからチームでも相当いじられました。

――バイオリンの発表会では度胸もついたのでは?

いや、全然。めちゃ緊張するほうなんですよ。人の前に立ってしゃべることも好きじゃない。小学校のとき、バイオリンを習っている子は珍しかったのか、学校の先生に「みんなの前で弾いてくれ」と言われたことがあるんです。嫌やったけど嫌と言えずに、バイオリンを持って行ったんですが、むっちゃ恥ずかしくて泣いちゃって結局弾けませんでした。先生に「ごめんね」と謝られましたね。小学4年生くらいのときです。

母親には、「あんたがキャプテンをやると思ってもみなかった」とよく言われます。それは僕自身も思います。いわゆるみなさんが思い浮かべる“キャプテン”は、声が大きくて、みんなの前に立ってまとめいく人でしょう。僕はそういうタイプでは全然ない。みんなのことを見ながら、「どうやったら輝くんかな」と考える、裏方のようなキャプテン。どんなチームになりたいか、どんな選手がかっこいいか、全体の価値観をみんなとシェアし、それを実現させるためにチームメイトがどこでサポートし合えるか考える。それが僕のスタイルかなと思います。

こうしたスタイルになったのは社会人なってから。東芝でも僕の前のキャプテンが素晴らしかったので、その人を見ながら「自分らしさって何か」と考えながらできあがってきました。

――小学生のころ毎日遊んでいたサッカーは役立ちましたか。

友だちがたくさんできたことがよかったですね。サッカーは学校の用務員さんが教えてくれたんですが、その人は、僕らに辞書の引き方なども教えてくれておもしろかった思い出があります。

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