2018年5月18日

人気の職業「パーソナルトレーナー」になるには?おすすめの資格をプロが解説 (2/2)

信頼できるオススメ資格

 ここで、パーソナルトレーナーの資格の中で信頼できる資格をご紹介します。各資格の発行元は同様に信頼のおける団体と言えますので、合わせて確認していきましょう。もちろん下記以外にも信頼のできる指導団体・資格は多く存在しますので、1つの参考としてご覧ください。

◆JATI-ATI

 スポーツ指導者・研究者として著名な大学の先生や指導者たちが立ち上げ、日本で発足したトレーニング指導者の団体「日本トレーニング指導者協会(JATI)」が発行する資格。JATIはイギリスやオーストラリアの指導団体と提携するなど、世界中と情報を交換し合い、最新のトレーニング情報を会員に提供しています。

 JATIが発行する資格にはJATI-ATIのほか、上級資格であるJATI-AATI、最上級資格であるJATI-SATIもあり、徐々にレベルアップする仕組みとなっています。上位資格を取得するためには試験だけでなく、資格取得からの指導経験などが加味されるなど簡単ではありません。しかし、スポーツ指導者として活動するのであれば目指したい資格の1つです。

◆NSCA-CPT・NSCA-CSCS

 一般向けの健康維持・増進はもちろん、アスリートに対する傷害予防とパフォーマンスの向上などに貢献するため活動している、世界的に有名な団体「全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)」が発行する資格です。日本にもNSCAジャパンという日本支部があり、資格の受験が可能となっています。

 NSCAが発行する資格には、「NSCA-CPT」と「NSCA-CSCS」の2つがあります。NSCA-CPTはパーソナルトレーニング向け、NSCA-CSCSはチームスポーツのストレングス指導などに向いている資格です。NSCA-CSCSは4年制大学を卒業していなければ取得できませんが、NSCA-CPTであれば高校を卒業していれば誰でも受験可能です。NSCA-CPTとNSCA-CSCSは、世界でも通用するトレーニング資格といえるでしょう。

日本スポーツ協会アスレティックトレーナー

 トレーニング指導より、チームに帯同したケガの応急処置からリハビリ、コンディショニング管理など、幅広い分野で活動したい人におすすめなのが、日本スポーツ協会(旧・日本体育協会)が発行する「アスレティックトレーナー」の資格です。この資格を取得するには、ケガの知識からトレーニングまで幅広い知識が求められます。最近ではパーソナルトレーナーにも、この資格を保有している人が増えてきました。トレーニング系資格と医療系資格の中間のような位置づけといえるでしょう。

 ただし受験資格を得るためには長い期間をかけて学ぶカリキュラムだけでなく、加盟団体(都道府県体育協会、中央競技団体など)から推薦を得なければ受験できないという難関資格です。この資格を取得したい方は、養成校として指定されている大学や専門学校で学ぶのが最短の道となります。

柔道整復師/鍼灸あんまマッサージ師/理学療法士

 もっとも難易度が高く、資格取得まで長期間かかるのが医療系資格です。柔道整復師や鍼灸あんまマッサージ師、理学療法士は、いずれも「厚生労働省」が認める国家資格となります。

 もちろんパーソナルトレーナーとして活動するにあたり、医療系の資格は必ず必要というわけではありません。しかし昨今、身体の不調やケガ後の後遺症・リハビリを兼ねて、トレーニングを希望する方も増えてきました。そのような方々を指導する場合は、これらの医療系資格は大きな力となるでしょう。ただし医療系資格を持っていても、トレーニングの知識はまた別です。パーソナルトレーナーとして活躍するのであれば、その他資格や自身の勉強によって、トレーニングの知識・技術も高めておく必要があります。

あわせて読みたい:いいトレーナーと悪いトレーナー、その見分け方や違いは?

おわりに

 パーソナルトレーナーになるためには、いろいろな方法があります。中には、未経験者が2~3ヵ月社内研修を受けただけでパーソナルトレーナーとして活動を開始するというところも。そのため、パーソナルトレーナーの質もピンキリです。趣味で知り合いを指導するならまだしも、お金をもらって仕事として指導をするのであれば、それ相当の知識・技術が必要なのは当然でしょう。間違った知識や指導レベルの低さから、クライアントのカラダを逆に悪くしてしまうこともあり得ます。

 パーソナルトレーナーは、人に元気にさせる素晴らしい職業です。パーソナルトレーナーを目指している人は、しっかり学び、確かな知識・技術を身につけるようにしましょう。

[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
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<Text:和田拓巳/Photo:Getty Images>

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