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パラスポーツ界で珍しい実業団チームが生まれた理由 (1/2)

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、関心が高まりつつあるパラスポーツ。しかし国内では、アスリートが企業とスポンサー契約を結ぶケースは多く見られますが、多くはそうした支援を受けつつも個人で競技に取り組んでいますし、パラスポーツの実業団チームという存在は少なく、競技環境はまだまだ整っているとはいえないでしょう。

 今回取材に訪れたのは、日本でも数少ないパラアスリートの実業団チーム「グロップサンセリテWORLD-AC(ワールドアスリートクラブ)」。現在は3名の車いす陸上競技者が所属し、世界を舞台に活躍しています。同チームで選手兼監督を務める松永仁志さんに、設立背景や具体的な取り組み、今後のビジョンなどを伺いました。

松永選手と会社との出会いから生まれた実業団チーム

 同チームを運営する株式会社グロップサンセリテは、人材サービス業を主事業とするグロップグループの障害者雇用管理などを担う会社。同社設立は2004年ですが、当初はパラアスリートの実業団チームを持っていませんでした。チーム設立の背景には、松永さんと会社との出会いがありました。

「もともと私は、企業からスポンサーを受けつつ、個人でプロアスリートとして活動していました。そんな中でグロップサンセリテから所属の話を受けたのですが、正直、当時は即断できなかったですね。うれしい誘いではあるものの、他にも応援してくれる企業・団体があるわけですから。そうした方々から離れてまで話を受けるべきなのか、やはり戸惑います。しかし、そういったバックボーンを持つ、つまり他からスポンサードを受けつつ所属する方法もあっていいのではという話があり、2014年に入社しました」

 同社は松永選手の所属に合わせ、専用の選手規定まで作ったとのこと。しかしその時点で、あくまで松永選手は企業の所属選手。チームという存在はなく、チームが発足するのは少し経ってからのことでした。

「以前から10年以上にわたり、陸上教室を開いていました。その中で私自身が企業へ所属し、もっと将来を見据えた選手の育成環境が必要だと感じたんです。そのためには、実業団という形がベターだと思いました。他選手が入社し、チームが発足したのは2016年のことです。おそらく実業団という形でパラアスリートが活躍する企業は、他にほとんどないと思います」

 現在、同社のオフィス内にはパラアスリートの競技設備も完備。車いすの整備も行えるようになっています。ただ企業の所属選手ということではなく、仕事をこなし、そしてトレーニングも行う場なのです。

「最初からグロップサンセリテと繋がりがあったわけではありません。私が講演を行った際、たまたま現在チームの代表を務める高田がいました。会社の方針というより高田が私に強い関心を持ち、声をかけてくれたんです」

 ちなみに松永選手に所属の話が入ったのは、まだ東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決まっていなかった頃のこと。人と人との出会いが、岡山にパラアスリートの実業団チームを発足させたのでした。

次ページ:チームとして果たすべきものは、単に成績を残すことだけではない

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