インタビュー
2019年7月26日

東京五輪メダルデザイナー川西純市さん直撃。デザインに込めた思い、「クッキーみたい」というネットの反響にも回答 (3/3)

▲メダルリボンにも注目!ポイントは?

 首に垂らしたときの長さは475mmほど。そのデザインについて、宮田長官は「藍と紅を基調とした日本らしい組市松模様にしました。色彩感があり、多様性が調和しています」と説明します。実は歴代のオリンピアンに、過去の大会で獲得したメダルを持ってきてもらったとき、リボンがくしゃくしゃになっているメダルも少なくなかったそう。そこで、しっかりとした耐久性のある、肌にも馴染みのあるリボンにした、と明かしました。

▲宮田亮平氏

 さらに、ケースにもこだわりがありました。

「国産のタモ材を使い、日本の伝統色である藍色を採用しました。木目を生かしつつ、真ん中には浮き彫りでエンブレムを入れています。古来の工芸技術で、手作業でつくっています」(宮田長官)

 円形のフタと本体は磁石でくっつく仕様。メダルをディスプレイできるよう、ケースの側面には傾斜がついており、最適な角度で安定して置いておくことができます。心憎い演出ですね。

▲国産のタモ材を使ったメダルケース。製造/デザイン:株式会社山上木工/吉田真也(SHINYA YOSHIDA DESIGN)  

 さらには、「オリンピアンには(大会後)、講演会の話が舞い込みます。そこでメダルを持ち歩けるように、ポーチもつけました」と宮田長官。この用意周到さ! 日本人の心として語られるOmotenashiの精神ですが、この金・銀・銅メダルを通じて、しっかりと海外にもその想いが伝わっていくことでしょう。

<Text & Photo:近藤謙太郎>

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