2020年8月3日

初心者向け「裸足ランニング」のやり方。まずは足の指を動かすところから

 MELOSではこれまで、裸足ランニングについて取り上げてきました。ランニングフォームの改善などに繋がるということで、「やってみようかな」とお考えの人もいらっしゃることでしょう。しかし、いきなり裸足になって走るのでは、かえって怪我などを起こす原因になるかもしれません。
 
 そこで今回は、裸足ランニングを始める際にまず取り組んでほしい内容を、動画を用いて5ステップにてご紹介します。東京マラソンなど、マラソン大会出場を目指すランナーの方も、ぜひ参考にしてみてください。

1. まずは足の指を動かしてみよう

 裸足になると、とても開放的な気分が味わえます。シューズを脱いだら、まず足の指を動かしてみてください。「グー、パー」と広げたとき、指はしっかり開くでしょうか。

 常にシューズを履いていると、ランニング時に上手く指先まで使えていない方が大半です。どれだけ開くか確認すると共に、指を動かすという感覚をじっくり味わってみてください。力強く自在に足の指を動かせるようになると、走った際に指先がしっかり地面を掴み、より安定して力強く走ることができるようになります。

2. 足の向きを確認してみよう

 何も考えず、いつも通りの感覚で立ってみましょう。そして、自分の爪先がどこを向いているか確認してください。ハの字に開いたり、逆に内側に入ったりしていませんか?

 特に男性ランナーは、爪先が開いた状態で走っているケースが非常に多く見受けられます。しかし前に進むのに対して爪先が開いたり内側に入ったりしていると、着地するたびに足首から膝、股関節までを捻る形になります。これが、例えばフルマラソン時なら何度繰り返されるのか。捻りは一瞬の出来事ですが、度重なれば痛みや怪我を引き起こしかねないでしょう。また、捻る動作分だけロスが生まれ、走りの効率も低下します。

 立ったまま、爪先をしっかり前へ向けてみてください。すると膝、そして股関節も自然と進行方向である前を向くはず。爪先が開いていた方は、恐らくまるで内股になっているかのような感覚でしょう。しかし実際は真っ直ぐ。これは爪先が開いていたことで、腿内側の筋肉(=内転筋)が使えていなかった証拠です。

 ですが、爪先を前に向けた姿勢が自然のものとなれば、ランニング時にもこの内転筋が使えるということ。これまで使っていなかった筋肉が使えるのですから、足全体の支えが安定すると共に、足全体の筋肉負担が軽減されます。

3. 足首を動かしてみよう

 ランニングは前への運動です。そのため、左右への動きが苦手なランナーが少なくありません。しかし足首が前後左右すべてに対し柔軟かつ強くなければ、怪我などの原因となるでしょう。

 例えばちょっと躓いただけで、身体を安定させられず捻挫してしまうなど。また、ランニング時にはどうしても身体が左右等にブレてしまうシーンがありますが、足首が強くないと身体を上手く支えられません。トレイルランナーは日頃から不安定な場所を走っているためか、足首に柔軟性と強さを兼ね備えたランナーが多いようです。せっかく裸足になったのなら、足を前後だけでなくさまざまな方向に動かしてみてください。安定したランニングフォームを維持するうえでも、足首はとても大切な部分です。

4.歩いてみよう

 裸足ランニングといっても、いきなり走るのは危険です。これまでシューズに守られていた足は、残念ながらダイレクトに地面からの衝撃を受け止められる強さを持っていません。そのため、走る前にウォーキングから慣れさせていきます。

 このとき、歩き方も意識することが大切です。優しく足裏全体で着地したら、重心移動に合わせて踵から足裏を離していきましょう。腰の位置を高く、足の力ではなく上半身や腰を使って足を動かすようなイメージです。このとき、着地した際に足の裏の感覚をよくチェックしてみましょう。例えば足底の側面から着地する癖があるなど、ウォーキングでも動きのウィークポイントが見えていきます。

 動きの改善は、ペースが上がるほど難しくなるもの。ウィークポイントが見つかったらウォーキングから改善し、自然と正しく動けるようになったら走るといったステップが大切です。

5.ゆっくり走ってみよう

 いよいよ走ってみます。ただし、ペースはジョギングやLSD程度から。走るペースが上がるほどフォームが崩れやすく、着地した際に地面から受ける衝撃も大きくなります。基本的にはウォーキングの延長。上半身・腰から足を動かすなど、意識すべきポイントは同じです。とにかく足裏に刺激の少ない走り方を目指しましょう。

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 跳ねるように走って強く足を地面へ打ち付けたり、腰が下がって足裏を擦ったりしないように。常に足裏と地面の間に1枚のティッシュペーパーがあり、これを破かないように走るようなイメージが分かりやすいかもしれません。

トレーニング後のケアも忘れずに

 裸足ランニングは、慣れるまで足に大きな負担を与えます。そのため、事後ケアを念入りに行いましょう。指や足首を回したり、足底筋をマッサージして解したり。もし大きく疲労が残ってしまったときは、無理せず裸足でのトレーニングを避けてください。

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 まずは負担の少ない運動、そして僅かな時間・距離からでも、継続することが重要。積み重ねによって足が強くなり、負担の少ないランニングフォームが獲得できるようになっていくはずです。最近は、トレーニングに裸足を取り入れるランニングクラブやレッスンなども出てきました。一人で始めるのは不安という方は、まずそういう場に参加してみるのもオススメです。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】https://www.run-writer.com

<Text & Movie:三河賢文/Photo:Getty Images>