2023年6月20日

1番痩せる運動は?消費カロリーが高い「ランニング・自転車・水泳」で考える (2/2)

健康効果(心血管)が高い有酸素運動は?

有酸素運動であれば全般的に効果的

有酸素運動が、主に心血管の健康にメリットがあることはよく知られています。そしてその健康効果は、運動の種類にさほど影響されないようです。

 26万人以上もの被験者を対象にしたある大規模な調査(*2)によると、通勤に自転車や徒歩などの手段を用いることで、心血管疾病率、がん、すべての原因による死亡率を大幅に下げることが証明されています。

健康効果(骨強化)が高い有酸素運動は?

ランニングがもっとも優れている

骨を強くして、骨粗鬆症などの病気を予防する効果は、ランニングがもっとも優れています。ランニングには自転車や水泳にはない「着地」という動作があり、そのたびに骨に対して負荷をかけるからです(*3)。

故障リスクが高い有酸素運動は?

故障がもっとも起きやすいのはランニング

ただしランニングが持つ骨の健康効果は、故障リスクと背中合わせのようです。

ランニング、水泳、自転車のうち、故障がもっとも起きやすいのはランニング。膝や足首などの関節炎や、シンスプリントと呼ばれるふくらはぎの炎症などに悩まされるランナーは後を絶ちません。

着地衝撃がない自転車と水泳には、そうした故障リスクは格段に低くなります。

もちろん、そのどちらも筋肉を酷使するレベルで行えば、肉離れなどの故障を起こす可能性がゼロだというわけではありません。それでも、筋肉に対するダメージは自転車よりランニングの方が大きいとした研究(*4)もあります。

コストや手間が低い有酸素運動は?

ランニングがもっともコストが低い

ランニングを始めるときに必要なものは、走りやすい靴と服装のみ。高性能ランニングシューズなど高価なものもありますが、それでもサイクリング用自転車を新たに購入するよりは安いでしょう。自転車は常に部品などのメンテナンスも必要になりますので、そのコストと手間も見逃せません。

水泳も必要なものは水着とキャップ、ゴーグル程度です。しかし、泳ぐためのプールを確保しなくてはいけません。そのためにはジムなどの会員になるのが普通ですし、施設の営業時間や場所などの制約もあるでしょう。

なお、自転車を屋外ではなく、固定自転車にした場合も事情は水泳と同じになります。

故障のリスクとコスパ、どれを重視するか

ランニングと自転車、水泳は、どれを選択しても健康とダイエットに効果的です。そのなかで、ランニングには着地衝撃によって関節がダメージを受けやすいというデメリットがあります。関節炎などの故障歴がある、あるいはリハビリ中の人は、水泳や自転車が良いかもしれません。

もしランニングが他の2つより優れているとすれば、それはコストパフォーマンスと取り組みやすさではないでしょうか。

参考文献:
*1.
Calories burned in 30 minutes for people of three different weights

*2.
Association between active commuting and incident cardiovascular disease, cancer, and mortality: prospective cohort study

*3.
Running may be better than cycling for long-term bone health

*4.
Immune and inflammation responses to a 3-day period of intensified running versus cycling

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
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<Text:角谷剛>

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