
その水分補給、逆効果かも?激しい喉の渇きを引き起こす「ペットボトル症候群」に注意
暑さ対策や熱中症予防で欠かせない「水分補給」。しかし、糖分の多い飲料を無意識に飲みすぎてしまうと、「ペットボトル症候群」という思わぬ健康リスクを引き起こす可能性があります。
プレミアムウォーター株式会社の調査によると、68.1%の人がこの言葉を知らないという結果に。そこで、医師・谷口英喜先生の解説をもとに、ペットボトル症候群の正体と予防法、正しい飲み分けのポイントを詳しく紹介します。
ペットボトル症候群=糖分のとりすぎによる高血糖症状
ペットボトル症候群とは、糖分の多いスポーツドリンクや清涼飲料水を頻繁に摂取することで起こる高血糖による代謝異常のこと。
血糖値が急上昇し、体がそれに対応しきれなくなると、糖がエネルギーとして使えなくなり、脂肪や筋肉を代替エネルギーとして分解。その結果、ケトン体が過剰に産生され、体に悪影響を及ぼすのです。
こんな症状は要注意!
- 激しい喉の渇き
- 倦怠感
- 多尿、嘔吐、腹痛
- 意識がぼんやりする、昏睡(重症例)
「喉が渇く→ペットボトル飲料を飲む→さらに悪化する」という悪循環に陥りやすい点が怖いポイントです。
ペットボトル症候群を防ぐポイント
飲み物の糖分を意識する
清涼飲料水は100mlあたり約10g、スポーツドリンクは約6gの糖分を含みます。2L飲むと1日の糖分摂取上限に達してしまうことも。
スポーツをした後にエネルギーやビタミン補給の目的でスポーツドリンクを飲むことや、脱水症や熱中症に伴う脱水症の時に経口補水液を飲むことは問題ありません。
また糖分入りの清涼飲料水は、食事の時に料理の味を引きたてたり、おやつの時に楽しむためになど、一時的に飲む分には問題ありません。
ですが、日常的には、水やお茶など無糖の飲料がベストです。
- 水・お茶:日常の水分補給に最適
- スポーツドリンク:激しい運動や発汗時のエネルギー補給に限定
- 清涼飲料水:嗜好品として一時的に楽しむ程度がよい
一度に大量に飲まず「こまめに、少量ずつ」
朝から寝る前までにコップ1杯×8回を目安に、こまめな補給を。特に暑い日は塩分を含む飲料や、経口補水液の活用も有効です。
医師おすすめの「食べる水分補給」はキウイ!
谷口先生が推奨するのは「キウイ」。ビタミンC、カリウム、マグネシウム、カルシウムといったミネラルを豊富に含み、GI値が低く血糖値を上げにくいのが特長です。
おやつ代わりにも最適で、寝る前の水分補給にも向いているそう。
谷口先生は、プーアール茶やウーロン茶などの中国茶を自宅で手作りして常備していると語ります。自分好みの濃さで楽しめ、おいしい水があれば、冷たい水出しコーヒーも味わい深くなると言います。
プロフィール
済生会横浜市東部病院患者支援センター長、東京医療保健大学大学院客員教授、麻酔科医師、医学博士、麻酔科専門医
水電解質管理、栄養管理、経口補水療法を専門とし、脱水症、かくれ脱水の学術論文を発表。「熱中症からいのちを守る」・「いのちを守る水分補給」(ともに谷口英喜著 評言社)の著書があり。新聞、テレビ、雑誌等でのコメントも多い。医療従事者向け生涯教育サイト「谷口ゼミ」を開講。
<Edit:編集部>