インタビュー
2021年8月24日

オーダーメイドのトレーニングで、広がる視野と可動域。パラ卓球・岩渕幸洋×パーソナルトレーナー・土田憲次郎(前編)│わたしと相棒~パラアスリートのTOKYO2020~ (4/4)

変化は「片足立ち」と「発汗」

――試合に臨むときに、土田さんのコーチングを受ける前後で変化はありましたか?

岩渕:そうですね。筋肉の張るポイントが全然変わってきました。つまり、それだけ身体の使い方が変わったということです。前は背中が痛くなりがちで、足にはそこまで痛みはでなかったんですが、最近は逆。足に疲労が来る。ということは、しっかり脚部を使ってプレーできるようになってきたということなのかなと。

実際に、動けるようになってきている実感もあります。片足でバランスを取る動作も右足はできても、(装具を使用している)左足では全くできなかったんです。というか、左足だけでバランスを取るという考え自体を持っていませんでした。でも、トレーニングとしてやり始めたらできるようになった。自分の身体の動かし方として考えが及ばなかった範囲までアドバイスをしてくださるので、そういった面で効果を実感しています。

――(感覚機能の薄かった)左足に汗をかくようになったという話もありましたね。

岩渕:そうですね。そういう変化もありました。

土田:足に血行もあって、神経が通っていなかったり、壊死している訳でもないので、積極的に使っていくうちに、足が適応していくことはあると思ってはいたのですが、まさかここまで変化があるとは私も予想していませんでした。使えば機能は向上していくし、ダイレクトに動かせなくても、違う部位で補助して動かせるようになるのはいろいろな文献や論文を読んで知ってはいたので、そうなることを狙ってはいたんですけどね。思った以上に、バランス感覚が向上してきたので、もともとの感覚が優れていたのかもしれません。

相手は弱点を狙ってくるはずなので、左足でバランスを崩して次への一歩が遅れてしまうと、そこでポイントを取られてしまう。もちろん、長所は伸ばしつつ、弱点をいかに少なくしていくかという所も意識してトレーニングを考えています。

後編:課題は「全部」。“守・破・離”の精神で2020年までギアを上げる。パラ卓球・岩渕幸洋×パーソナルトレーナー・土田憲次郎(後編)

※本記事は2018年7月に公開された記事を再公開したものです。

[プロフィール]
岩渕幸洋(いわぶち・こうよう)
1994年生まれ、東京都出身。パラ卓球クラス9(立位)。中学1年の時に卓球を始め、中学3年でパラ卓球に出会う。早稲田大学在学中の2014年ナショナルチームに選出。同年の世界選手権で個人戦ベスト12、2016年にはリオパラリンピックに出場する。2017年協和発酵キリンに入社。同年アジア選手権個人戦準優勝、世界選手権団体戦準優勝。

[プロフィール]
土田憲次郎(つちだ・けんじろう)
1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後トレーナーの道に進む。多くのスポーツ選手の体のコンディショニングも手がけるフィジカルトレーナー/鍼灸師。

<Text:吉田直人/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:玉井幹郎>

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