インタビュー
2023年6月14日

「実はソフトボールが苦手でした」。5年間無敗の元女子ソフトボール日本代表・山根佐由里 #アスリートから学ぶウェルネス術 (2/3)

運動編

普段はどんな運動をしている?

平日の週1~2回ほど、仕事が終わったあとに30分~1時間、距離にして5~10kmぐらいは走るようにしています。それが気分転換にもなっています。逆に、休日は大学のソフトボール部のコーチを務めたりソフトボール教室に行ったりしていますが、そのときは見本を見せるだけなので、ソフトボールを含め運動はほとんど行っていません。

実はあまり得意ではない運動ってある?

すべての運動が苦手です(笑)。実はソフトボールも苦手で、ピッチングしかできないんです。「走る」のは長距離をダラダラと自分のペースで走るのは好きなんですが、短距離のダッシュは苦手でした。ジャンプもできないし、器械体操もできないし、突き指しそうで怖いので球技全般できないし、泳げないし……実はそういうタイプなんです。

ボールを投げることはできますがキャッチは苦手です。なので「ほんとピッチャーでよかったね」ってみんなに言われます(笑)。ピッチャーというポジションと出会えてラッキーでした。 

現役時代にやってよかったトレーニング、きつかったトレーニングは?

ソフトボールの練習後に体幹トレーニングを必ず1時間は行っていました。おもに「TRX」という、天井からぶら下がった吊り輪みたいなものに足を入れて、動きながらバランスを取るトレーニングを取り入れていました。不安定な状態でも、いかに体幹をコントロールして動けるかという点が大事です。

体幹が強いメリットとしては「軸がブレないこと」ですね。私のピッチングフォームは「ジャンピングフォーム」だったんですよ。ジャンプして投げる投法だったので、体のどこかがズレちゃうと全体的にズレちゃっておかしくなっちゃうんです。なので投げる時は力を体幹に集結させて投げていました。

体幹トレーニングを取り入れてからは球速が100km/hから105km/hと、5km/hもスピードアップしました。私はコントロールと緩急が武器のピッチャーだったので、球速はそこまで求めてはいなかったのですが、体幹トレーニングをやってよかったと思いました。

逆にきつかったトレーニングは、完全に「シャトルラン」ですね。100メートルをダッシュしてジョグで戻ってくるサイクルを何本も続けるメニューなんですが、ダントツで苦手でした。

コンディショニング編

休日の過ごし方

完全休養日は月に2日ぐらい設けるんですけど、だいたい朝はちゃんと起きて、すぐに洗濯をしますね。朝からランニングをすることもありますし、友達と遊びに行くことも。昼まで寝たいと思うこともありますが、夕方に「午前中の時間がもったいなかった!もっといろいろできたじゃん!」って後悔しちゃうので、なるべく朝からテキパキ行動します。

毎日どれくらい寝ている?眠れないときの対処法

睡眠時間は7時間とるようにしています。それよりも短かったりすると、夕方に疲れが早くきたりします。朝は毎日5時半に起きています。

けっこう悩んだり気にしちゃうタイプなので、眠れないこともあります。そういうときはアロマを焚いたり、リラックスできる音楽をかけたり、温かい飲み物を摂ったりしています。地元(三重県度会町)がお茶の名産地なので、お茶か白湯を飲むことが多いです。

逆に甘い飲み物はあまり飲まないようにしています。ちょっと疲れたり、お腹がすいたときには砂糖を入れることもありますが、基本はコーヒーなどは無糖で飲みます。

現役時代のルーティン

私、ルーティンが多いんですよ(笑)。試合前日から始まりまして、前日夜に自分の調子がよかったときの試合映像を見て、頭の中に叩き込みます。映像は全部で5分ぐらいなんですけど、見る順番も決まっています。

翌朝、起きた時に聴く曲のプレイリストも決まっています。朝食を食べてバスに乗った時に聴くプレイリストもありますね。バスの中で試合のデータを確認したり、自分のよかった映像をもう1回見たりします。そして「会場に着いた時に絶対に聴く曲」があるので、移動中に逆算してプレイリストを流しています。会場で行う個人アップでは、ダッシュの数や聴く音楽、コンディションによって変わりますが投げる球数も決まっています。

あと、これは恥ずかしいんですけど(笑)、ちっちゃなぬいぐるみを遠征に毎回持っていき「ぽんっ」と触ってから試合に臨むというのは、絶対的にゆるぎないルーティンでしたね。試合中、劣勢になっているときに「勝ちたい」という気持ちをこめて、触ることもありました。

ただルーティンはたくさんあるんですが、それが崩れたとしても「そこからできることをやればいい」というふうに、切り替えは早いほうです。

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