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トータス松本×いだてん。現場で起こるセッションでいかに自分を表現するか:インタビュー前編 (2/3)

オファーがきて、本当に素直にうれしかった

―― ミュージシャンであるトータスさん。今回のオファーがきたとき、どう思われましたか。

『いだてん』は発表になったときからすごく楽しみで、これ絶対見ようと、『西郷どん』(2018年放送。大河ドラマ第57作)を見ながらね、絶対見ようと思っていたんですね。で同時に、キャストを見たら、あれ、もしかしたら話来るんちゃうかなって、勝手に思っていて。本当に何の根拠もないんすけど(笑)。

同じ時代の上方の漫才師とか、上方の落語家とか、そういう役柄で来たらおもしろいな、来たらうれしいなと思っていたんですよ。だからオファーがありましたって聞いたときは、やったホンマに来たと思って。どんな役って聞いたらアナウンサーって言われたので「やれるかーい」っていう気持ちと(笑)。でも、なんかやれそうな気がするっていう気持ちが両方で。その「やれるかーい」って思ったのは標準語、アナウンサーという、やったことのない部分でね。やれるかも、って思ったのは声の部分ね。

声としては、手前味噌ですけど歌を歌っているので、強い声を持っていると自分で思っている部分はあるんですよね。だから、そこを望まれているのならやれると思いました。だから、やれない、っていうのと、やれる、っていうののせめぎあいでした。

―― オファーが来たときの感情は。

うれしかったですね。もう本当に素直にうれしかった。宮藤官九郎作品に出られるといううれしさもあるし、大河ドラマに出られるといううれしさもあるし。やったことのない役柄をやらせてもらうといううれしさもあった。いっぱい気持ちが押し寄せてきましたね。

―― どんなシーンから撮りましたか。

今で言うラジオブースみたいな状況からです。マイクが立っていて、河西さんがラジオ番組の司会をしている。そこに田畑さんとか、水泳チームの人たちを招いて、インタビューをするシーンだったんですね。だから「ラジオをお聞きのみなさんこんにちは、河西三省です」っていう、それが最初のセリフだったと思うけど、それが全くできなかった。「こんにちは」「いや違います、こんにちは」「こんにちは」「いや違います、こんにちは。もっとこう、スッとこう」。「こんにちは」「いや違います、こんにちは」「河西」「いや違う、河西」「ラジオ」「いや違う、ラジオ。ラァジオじゃない、ラジオです」……。何が違うのかなあって(笑)。いまだに、ぼんやりとしか分からないです。でも確かにその、アナウンス指導の栗田さんのおっしゃる様子を聞いていると「あぁ聞いたことある、確かにこうやなぁ」っていうのがあるんですよね。

斎藤工くんが高石勝男にしか見えない

―― 現場の雰囲気はどうでしたか。

千葉県のプールで、初めて水泳チームと一緒になりました。ロス・オリンピックのシーンを撮影するための練習用プールだったんですけど、外国人の方も野次馬的に金網の向こうから見てたりして、嘘の世界にいるような、変な感じなんですよね。セットでもないし、なんとも変な感じ。演出されなくても、僕とノゾエ征爾くん(実況アナウンサーの松内則三 役)はメモ帳を持って「あぁ俺らもう、NHKアナウンサーなんや」っていう気分に勝手になるんです。泳いでいる選手を見ながら、僕らメモをとっているという。打ち合わせも何もなく、自然とそういう世界にポーンと自分が置かれたような、不思議な感覚でしたね。

だから、泳いでいるのが選手にしか見えない。斎藤工くんに見えないんです。高石勝男にしか見えない。芝居ではなく真剣に練習しているようにしか見えないんですよね。鼻血が出た選手もいて。本当に練習やりすぎて鼻血出したみたいな。おもしろかったですね。だから水泳選手たちとそれを実況するアナウンサーの距離感みたいなものも、演出されるまでもなく、自然にそこにあったし、もちろん演出もあってさらにそれが強くなったけど。あと水泳選手団が、本当に一丸となって競い合うように水泳の腕を磨いていましたね。あれには役者魂を見ましたね。

大東駿介くん(鶴田義行 役)の身体とか異常でしたね。本当に筋骨隆々になって、しかもそれが太陽に当たってものすごい筋肉がこう、いい感じで陰影がついてて、格好いいんですよね。当時の男子って女子スクール水着みたいな水着を着ているんですよ。全員ちゃんとそれを着こなしていましたね(笑)。

―― スポーツ観戦のない時代に良さを伝えています。描き方のおもしろさは?

僕の仕事で言うと、もう今や女子と男子が混ざっているバンドってたくさんあるんですね。でも僕らが若い頃っていうのはなかったんですよね。バンドの中に紅一点とかそういうのはあったけど、女の人がベース弾いたり、ドラム叩いたりっていうのはなかったんですよね。それも最近変わってきたことのひとつっていうか。やっぱり最初にやり始めた誰かががいて、それがスタンダードになっていって。もしかしたらもう、まくっていくかも分からへんっていう。そういうエネルギーをリアルに感じますよね。

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