
中学生でも腹筋は割れる?成長期に気を付けたい腹筋の鍛え方【医師監修】 (2/2)
男女で違う腹筋のつき方と鍛え方
腹筋を割りたいという思いは共通ですが、男子と女子では体のつくりや変化の出方に違いがあります。性別に合ったアプローチをすることで、体への負担を減らしつつ、効果を出すことが可能です。
男子は筋肉がつきやすく、腹筋が見えやすい
男子は、筋肉を発達させるホルモン(テストステロン)の影響により、筋肉がつきやすく、トレーニングの効果も出やすい傾向があります。体脂肪も女子に比べて落ちやすく、腹筋の輪郭が見えるスピードも早くなることがあります。
ただし、中学生の男子は「成長スパート」と呼ばれる時期にあり、急激に身長が伸びたりするため、骨や関節、腱にかかる負担が大きくなりやすいという特徴もあります。特に、関節や筋肉の付着部がまだ未成熟なため、高負荷のトレーニングを無理に続けると、けがや炎症のリスクが高まります。
そのため、シックスパックを目指す場合でも、重さや回数ではなく、フォームと休養のバランスを大切にしたトレーニングを意識することが大切です。
女子は体脂肪が落ちにくいため、縦割れ腹筋が現実的
女子はホルモンの影響で、体脂肪をためやすく、筋肉がつきにくい体のつくりになっています。無理なダイエットや運動で体脂肪を減らしすぎると、体調に悪影響を及ぼすことがあります。
また注意したいのは体脂肪率が20%を下回ると、生理不順や免疫力の低下を引き起こすリスクが高まります。そのため、はっきりとしたシックスパックよりも、縦のラインが見えるような「縦割れ腹筋」を目指すのがおすすめです。
インナーマッスルや体幹を鍛えることで、見た目だけでなく姿勢の安定にもつながります。
中学生におすすめの腹筋メニュー(男子・女子共通)
成長期の体に負担をかけすぎずに、腹筋や体幹をバランスよく鍛えるメニューをピックアップしました。特に、お腹まわりを「使う感覚」を身につけることで、姿勢改善やスポーツのパフォーマンス向上にもつながります。
種目名 | ポイント | 回数/時間目安 |
ドローイング | インナーマッスル強化・腰に優しい | 10秒キープ×5回(朝晩) |
レッグリフトクランチ | 腰にやさしく、腹筋全体に効かせやすい | 10回×2セット |
フロントプランク(膝つき) | 姿勢保持に必要な体幹を安全に鍛える | 20秒キープ×2セット |
バードドッグ | バランスと体幹強化を両立 | 左右交互10回×2セット |
サイドプランク(膝つき) | くびれや体幹意識を育てる | 左右各15秒キープ×2セット |
すべて自宅のフローリングや畳の上で行えるので、特別な道具や広いスペースも必要ありません。週2~3回の頻度がおすすめです。大切なのは、毎回完璧にやることではなく、ムリのない範囲で続けることです。
疲れすぎたと感じた日はお休みしても大丈夫。正しいフォームと習慣づけを意識することが、成果への一番の近道です。
成長期に気をつけたいポイント
中学生はまだ体が発展途上にあるため、大人と同じ感覚で筋トレをするのは危険です。安全に続けるために、成長期ならではの注意点を押さえておきましょう。
腹筋トレーニングは週2~3回が効果的
腹筋をしっかり育てるには、毎日少しずつよりも、週に2〜3回、少しきついと感じるくらいの強さで行う方が効果的です。筋肉はトレーニングのあとに休むことで強くなるため、毎日同じ部位をやり続ける必要はありません。
ただし、無理をしてフォームが崩れると腰を痛めることがあるため、自分にとって「ちょっときつい」くらいを目安にするのがポイントです。
筋トレは「姿勢」と「呼吸」を意識する
筋トレは、正しい姿勢と呼吸がとても重要になります。背中を反らせすぎたり、呼吸を止めたまま動いたりすると、効果が下がるだけでなくケガの原因にもなります。
息を吐きながらお腹に力を入れるように意識すると、腹筋に刺激が入りやすくなります。最初は回数よりも、1回1回のフォームを大切にしましょう。
夜のランニングは避ける
脂肪を減らすために夜寝る前に走ろうと考える人もいますが、中学生が夜遅くに外でランニングをするのはおすすめできません。交通事故や防犯面でのリスクがあるだけでなく、寝る前の運動は寝つきが悪くなる可能性があります。
とくに成長期には、睡眠中に分泌される成長ホルモンが筋肉の成長や回復にとても重要な役割を果たします。このホルモンは、深い睡眠中に多く分泌されるため、スムーズに眠りにつくことが大切です。
夜はリラックスして過ごし、なるべく決まった時間に眠ることを意識しましょう。どうしても体を動かしたいときは、室内で軽いストレッチや体幹トレーニングをしましょう。
無理な食事制限は逆効果になる
体脂肪を減らしたいからといって、ごはんを抜いたり、好きなものを我慢しすぎたりする必要はありません。中学生は成長のために、筋肉だけでなく骨や内臓も発達していく大切な時期です。
とくに筋肉を育てるには、トレーニングだけでなくタンパク質をしっかりとることが重要です。肉、魚、卵、大豆製品などを意識して食べると、筋肉の材料となってくれます。どうしても食事で足りないと感じる場合は、保護者のサポートのもとでプロテインを活用するのも一つの方法です。
朝昼晩をきちんと食べて、お菓子やジュースを少し控えるだけでも、体は少しずつ変わっていきます。「しっかり食べて、ちゃんと動く」ことが、成長期の腹筋づくりの基本です。
よくある質問Q&A
腹筋を割るための方法はわかっても、いざ始めるとなると不安や疑問も出てきます。ここでは、中学生によくある質問にわかりやすく答えます。
Q:腹筋は毎日やったほうがいいですか?
A:毎日やらなくても大丈夫です。筋肉は休むことで成長するため、週に2〜3回のペースで、少しきついと感じるくらいの強度で取り組むのがおすすめです。体が疲れているときや、筋肉痛があるときは休んでも問題ありません。
Q:お菓子をやめれば腹筋は見えますか?
A:お菓子を控えるのは大事ですが、それだけで腹筋が見えるようになるとは限りません。大切なのは、栄養のある食事をしっかりとりながら、体を動かす習慣をつけることです。食べすぎを見直し、タンパク質を意識してとることが腹筋づくりには効果的です。
Q:プロテインを飲めば腹筋が割れますか?
A:プロテインは魔法の飲み物ではありません。筋トレをしている人が足りないタンパク質を補うためのサポート食品です。まずは、肉・魚・卵・大豆などからしっかりタンパク質をとることが基本です。
Q:中学生でもシックスパックを目指せますか?
A:男子は筋肉がつきやすく、シックスパックを目指しやすい傾向があります。ただし、男子中学生時期は身長や体重が一気に伸びやすく、骨や腱に強い負荷がかかると、怪我のリスクが高まります。高すぎる負荷や長時間のトレーニングは避けて、安全なメニューを無理なく続けることが大切です。
女子は体脂肪を落としすぎると体調を崩すリスクがあるため、体脂肪率を20%を下回らないように注意して、縦ラインや引き締めを目標にするのがおすすめです。
Q:中学生の筋トレは、身長が伸びなくなるって本当?
A:正しい方法で行えば、筋トレが身長の伸びを妨げることはありません。むしろ、筋トレによって体が安定し、成長に必要な姿勢や運動能力が整うことで、健やかな発育をサポートする効果も期待できます。
アメリカ・カリフォルニアで子どもへの指導を行う角谷剛コーチは、「正しいやり方を守れば、筋トレは成長を阻害せず、逆に成長を促す可能性がある」と述べています(下記記事より引用)。
たとえば、自重トレーニングやごく軽い負荷を使ってフォームを重視して行えば、体に過剰な負担はかかりません。ただし、重すぎる重りを担ぐような筋トレや、フォームが崩れたまま続けるトレーニングは、関節や骨に負担がかかるため避けましょう。特にスクワットのような上下動の種目は注意が必要です。
中学生の筋トレは、「しっかり育てるための準備」として、安全で無理のない方法を選ぶことが大切です。
監修者プロフィール
美容外科 SO グレイスクリニック院長
近藤惣一郎
医学博士(京都大学)
ロンリー侍ドクター
日本脳神経外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAS)専門医
1988年 京大医学部卒
若返り専門の美容外科医。美は健康の上になり立つという理念のもと、正しい食生活・運動習慣・ダイエットに関する知識が豊富で、自らもダンサーとして、プロフィッシングアングラー(DAIWA)として、若さとナイスボディを保ち続ける。
Instagram:https://www.instagram.com/kondo.soichiro/
トレーニング指導者プロフィール
鳥光健仁(とりみつ・たけのり)
フィットネスランニングトレーナー。1991年生まれ、千葉県出身。出張パーソナルトレーナー、SUUNTO 5 アンバサダー、VX4アドバイザリー、アクティブエイジ・ダイエット指導士、(株)BOOSTマネジメント契約、HOKA ONE ONE サポート。
出演者プロフィール
MIHO
トライアスロン、トレイルランニング、マラソン、スパルタンレース、筋トレなどが大好きなガチの“市民アスリート”。日本初のe-sports BIKEのプロチーム「ONELAP ANGEL」のメンバーとしても活動。フルマラソン自己ベストは3時間13分20秒(ネットタイム/2019年さいたま国際マラソン)。1児の母。
【公式Instagramアカウント】@mip0000</p>
<Text:MELOS編集部>