”グルテンフリーは日本人に意味ない”ってホント?理由と効果があるケース[薬剤師監修] (2/2)
グルテンフリーのメリットとデメリット
ひとくちにグルテンフリーといっても、良い面もあれば悪い面もあります。
グルテンフリーによるメリット
- 小麦アレルギーへの対策になる
- 健康状態の回復が見込める
小麦アレルギー対策になることと、グルテンを控えることによる健康状態の回復がメリットです。
セリアック病とは別に、体質的にグルテンが体に合わない人もいます。
グルテン不耐症といい、小麦が体内に入ると腹痛や下痢、倦怠感や抑うつなどの身体・精神症状が出てしまう体質です[*5]。
小麦製品をたくさん食べている人で、なんとなく体調が悪いと感じている人は、摂取を控えると症状が改善する可能性があります。
グルテンフリーによるデメリット
- 栄養バランスが崩れる恐れがある
- 食品に制限が生まれる
一方で、注意しなければならないのが栄養バランスの乱れです[*6]。小麦、とくに全粒粉には食物繊維やビタミンB類、鉄分などのミネラルが豊富に含まれています。
小麦製品を控える際は、これらの栄養素が不足しないよう栄養バランスに気をつけましょう。
加えて、摂取できる食品に制限が生まれることもデメリットです。
カレーのルー、ソーセージなど肉の加工品、ハンバーグのデミグラスソースなど、一見わかりにくい食品にも小麦が使われている可能性があります。
食べたいものが食べられず、ストレスに感じてしまう人もいるでしょう。
メリットとデメリットをきちんと理解したうえで、実践することが大切です。
グルテンフリーが効果的な人は?
理解が深まったところで、効果が期待できる人の特徴を解説します。グルテンフリーが自分に合っているかどうか、考える基準になりますよ。
小麦アレルギーを持っている人
小麦アレルギーの人は、効果を実感できるでしょう。
グルテンフリーの食品には、代替材料として米粉やアーモンド粉などの原料を使った食品が多くあります。たとえば、米粉で作ったパンや、アーモンド・そば粉を原料としたクッキーなどです。
ただし、食品表示には注意が必要です。日本ではアレルギー物質を含む食品に関する表示として、小麦成分を10ppm以上含む食品には、原材料を表示する義務があります。
アメリカやヨーロッパではグルテン含有量が20ppm以下の食品のみが、グルテンフリー表示が可能と決められています[*7]。
つまり、グルテンフリーと表示されていても、微量の小麦を使用した食品もあるということです。商品を選ぶ際は、食品表示を必ず確認しましょう。
日常的に、多くのグルテンを摂取している人
日常的に小麦を多く摂取している人も、効果を見込めるでしょう。
日本人の発病率は低いといわれているものの、過度なグルテン摂取は、セリアック病のリスクを高めてしまう恐れがあります。
また、自分でも気づかないうちに、グルテン不耐症になっている可能性もあります。
とはいえ、急に食事を変える必要はありません。1食だけパンを米に切り替えたり、麺類をフォーや春雨に変えたりして、毎日の摂取量をセーブしてみましょう。
「前より体調が良くなった」と感じたら、からだに合っているサインです。無理のない範囲で継続していくといいでしょう。
グルテンフリーを正しく理解して、体調改善に役立てよう
日本人には効果が薄いといわれるグルテンフリーですが、一部の人には、食事の自由度の向上や健康状態の回復が期待できます。
ただ安易に行うと、栄養バランスが崩れてしまううえに、食の楽しみが制限されてしまう、なんてこともあり得ます。
実践する際は長所と短所を正しく理解して、体調を確認しながら取り組みましょう。
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監修・執筆者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
中田早苗
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
<参考>
[*1]https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/attach/pdf/30hokoku-23.pdf 38ページ[*2]https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology/74/10/74_572/_pdf
[*3]https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-11.html
[*4]https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_220601_01.pdf
[*5]https://www.hyo-med.ac.jp/research/activity/seeds/026/
[*6]https://cir.nii.ac.jp/crid/1390290699751829632
[*7]https://www.maff.go.jp/tokai/seisan/shinko/komeko/attach/pdf/index-2.pdf