ウェルネスフード
2022年1月13日

医師監修:糖質制限ダイエット、基本の「き」。現代人は糖質を摂りすぎ? (2/2)

糖質をカットしても、タンパク質や脂質をカットするのはNG

 糖質制限を行ううえで次のように意識したほうが良いと清水さんは言います。

「ご飯や麺類などを主食と考えるのをやめた方がいいですね。タンパク質や脂質は食事から摂る必要がありますが、糖質は体内で作ることができるので、基本的には必須ではありません。また野菜などにも糖質は含まれているので、あえて意識的に糖質を摂取する必要はありません」(清水さん)

 そこで気になるのが脳と糖質の関係。脳の栄養はブドウ糖と言われており、炭水化物を全く摂らないと集中力が低下してしまわないかが心配ですが……。

「脳のエネルギー源はブドウ糖だけではありません。糖質制限をするとブドウ糖の代わりにエネルギーとなるケトン体が出てきますが、これが脳の働きをサポートするので、問題はありません」(清水さん)

 ただ、糖質と同じようにタンパク質や脂質をカットするのはNG。糖質を摂らない分、タンパク質や脂質を摂らないと、エネルギー不足になります。特に脂質はエネルギー源になるので、意識的に摂るようにしましょう。

 脂質を摂ることで体重が増加し、脂肪がつくのは、炭水化物を一緒に摂っているから。例えば、油、卵、酢が主原料のマヨネーズはそれだけを摂っても太ることはありませんが、じゃがいもなどの炭水化物と一緒に食べると血糖値が上がり、脂肪になりやすくなります。健康診断で異常が見つからなくても、不調の場合はまず炭水化物を摂るのをやめてみましょう。どうしても我慢できない場合は体内のケトン体を増加させるMCTオイルをコーヒーなどの飲み物に混ぜて飲めば腹持ちもよく、脳の働きも活発になります。

 人間の体は食べたものでできています。今の自分の体は日々の食習慣によるもの。糖質制限をして脂肪が減り、いわゆるダイエットに成功したとしても、また糖質の過剰摂取をすれば元の体に戻っていきます。

「糖質制限は安易な体重減少のためのダイエット方法ではなく、健康のための食生活。人間本来の食事に近いものなので、健康を維持していきたい人は、一生続けて行った方がいいと思います」(清水さん)

 ただし、糖質制限をしない方がいい人もいます。

「診断基準を満たす膵炎がある人、肝硬変を患っている人、長鎖脂肪酸代謝異常症と診断されている人。また、すでに糖尿病になっている場合は、糖質制限をする前に医師(できれば糖質制限に詳しい医師)に相談しましょう」(清水さん)

 次回は、トレーニングと糖質制限の関係について解説します。

後編:筋トレ民は糖質制限をしてもOK?トレーニング効果をアップする糖質制限方法を医師が解説

[監修者プロフィール]
清水泰行(しみず・やすゆき)
北海道大学医学部卒業、医師。ペインクリニック(痛み専門の治療)でアスリートの治療にもあたる。糖質制限をはじめ栄養学にも幅広い知識を持ち、食生活の改善指導などを治療に取り入れている。自らも糖質制限によりメタボを脱出。マラソンランナーでもある。著書に『運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない――パフォーマンスを上げる「糖質制限」食事法』(廣済堂健康人新書)、『「糖質過剰」症候群』(光文社新書)『糖質オフ×プチ断食のW効果でやせる! 不調が消える!』(主婦の友社)がある。
【公式ブログ】「ドクターシミズのひとりごと」 https://promea2014.com/blog/

<Text:廉屋友美乃/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:Getty Images>

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