2023年8月15日

糖質制限ダイエットのメリット・デメリット。糖質オフの効果的なやり方【医師監修】 (2/4)

健康になりたいならまず糖質の摂取量を見直すべき

 糖質を摂ると急激に血中の血糖値が上がってしまい、それを下げようと常にインスリンが分泌されます。インスリンが常に分泌されていると、糖分をエネルギーとして体内に蓄えようとするため、太りやすくなってしまうのです。ダイエット目的で、糖質制限を行う人もいるかと思いますが、清水さんは、多くの現代人に糖質制限は必要だと言います。

「何百万年ある人類の進化の歴史のほとんどは飢餓との戦いでした。糖質を摂るようになったのはここ一万年のことで、米を食べるようになったのも、人類の長い歴史の中では最近のことです。そのため、糖質をたくさんとっても平気なようなメカニズムになっていないので、3食炭水化物を食べ、さらに間食で甘いものを摂ると、体に異変が起こってしまうのです」(清水さん)

 つまり、健康な人でも糖質制限をした方が、健康維持ができるというのです。既出の通り、糖質過多な生活は万病の元になりますが、だるい、突然のめまい、発汗、動悸、疲労感が起きる場合は機能性低血糖を引き起こしている可能性があります。

 機能性低血糖は、糖質を摂りすぎでインスリンが過剰に分泌され、血糖値が下がりすぎて低血糖になり、さまざまな不調が起きてしまうというものです。機能性低血糖はかかっていても健康診断で異常が見つからない場合もあるので、まずは糖質を摂りすぎていないか、自らの食生活を見直してみましょう。

糖質をカットしても、タンパク質や脂質をカットするのはNG

 糖質制限を行ううえで次のように意識したほうが良いと清水さんは言います。

「ご飯や麺類などを主食と考えるのをやめた方がいいですね。タンパク質や脂質は食事から摂る必要がありますが、糖質は体内で作ることができるので、基本的には必須ではありません。また野菜などにも糖質は含まれているので、あえて意識的に糖質を摂取する必要はありません」(清水さん)

 そこで気になるのが脳と糖質の関係。脳の栄養はブドウ糖と言われており、炭水化物を全く摂らないと集中力が低下してしまわないかが心配ですが……。

「脳のエネルギー源はブドウ糖だけではありません。糖質制限をするとブドウ糖の代わりにエネルギーとなるケトン体が出てきますが、これが脳の働きをサポートするので、問題はありません」(清水さん)

 ただ、糖質と同じようにタンパク質や脂質をカットするのはNG。糖質を摂らない分、タンパク質や脂質を摂らないと、エネルギー不足になります。特に脂質はエネルギー源になるので、意識的に摂るようにしましょう。

 脂質を摂ることで体重が増加し、脂肪がつくのは、炭水化物を一緒に摂っているから。例えば、油、卵、酢が主原料のマヨネーズはそれだけを摂っても太ることはありませんが、じゃがいもなどの炭水化物と一緒に食べると血糖値が上がり、脂肪になりやすくなります。

 健康診断で異常が見つからなくても、不調の場合はまず炭水化物を摂るのをやめてみましょう。どうしても我慢できない場合は体内のケトン体を増加させるMCTオイルをコーヒーなどの飲み物に混ぜて飲めば腹持ちもよく、脳の働きも活発になります。

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 人間の体は食べたものでできています。今の自分の体は日々の食習慣によるもの。糖質制限をして脂肪が減り、いわゆるダイエットに成功したとしても、また糖質の過剰摂取をすれば元の体に戻っていきます。

「糖質制限は安易な体重減少のためのダイエット方法ではなく、健康のための食生活。人間本来の食事に近いものなので、健康を維持していきたい人は、一生続けて行った方がいいと思います」(清水さん)

 ただし、糖質制限をしない方がいい人もいます。

「診断基準を満たす膵炎がある人、肝硬変を患っている人、長鎖脂肪酸代謝異常症と診断されている人。また、すでに糖尿病になっている場合は、糖質制限をする前に医師(できれば糖質制限に詳しい医師)に相談しましょう」(清水さん)

Q.糖質制限をすると、筋肉量が落ちるからやめた方がいい?

A.糖質制限で筋肉量は落ちません。

「糖質制限をすると、糖質以外からエネルギー源となるブドウ糖を生成することになり、筋肉が分解されてアミノ酸が使われると思われている方も多いようですが、それは誤解です。エリートの体操選手に30日間、低炭水化物ケトジェニック食を食べてもらったところ、通常の食事と比べても、筋肉量もパフォーマンスも落ちないことがわかっています」(清水さん)

 糖質の代わりにタンパク質や脂質を多く摂るため、筋肉量が落ちることはないといいます。また、糖質制限することでアミノ酸だけでなく、中性脂肪から分解されたグリセロール、乳酸などからブドウ糖を形成して、血中に供給する糖新生が活発になりますが、このことにより、エネルギー消費量が増加することもわかっています。

 18歳〜65歳でBMI25以下の成人を対象に同じ条件のもと研究を行ったところ、炭水化物60%・脂質20%の「高炭水化物・低脂質」よりも炭水化物20%・脂質60%の「低炭水化物・高脂肪」の方が1日のエネルギー消費量が278カロリー高い結果になっています。

「同じカロリー数を炭水化物で摂った場合と脂質で摂った場合を比べると、前者のほうが太りやすくなります。それは糖質を摂るとインスリン分泌が増加し、太りやすくなってしまうからです」(清水さん)

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