「大人の偏食」にはこんな悪影響が。大人になってから好き嫌いは直る? マッスルデリ管理栄養士が解説 (1/2)
体を鍛えている筋トレ民も、細くなりたいダイエット民も、時には食べすぎ、飲みすぎることもあるでしょう。どうやったらリカバリーできるのか。ボディメイクを食事面からサポートする「Muscle Deli(マッスルデリ)」の管理栄養士・瀧川みなみさんに、よくあるギモンを聞いてみました。
今回は大人の偏食について。好き嫌いが多い子どもだったけれど、成長するにつれて食べられるものが増えていった人は多いでしょう。
しかし、大人になっても食べ物の好き嫌いが多いまま、偏食家になってしまった。何かデメリットはあるのでしょうか。また、偏食を治す良い方法とは。
Q. 子どもの頃からかなりの偏食家です。食べ物の好き嫌いが激しいので、友人と外食をするときも苦労しています。偏食を治さないままこの先何十年も過ごした場合、健康面でどんなデメリットが考えられますか?野菜全般ほとんど食べません。ニオイの強い納豆やチーズ、スパイスなどの刺激物なども食べられません。
偏食とは、特定の食品に対して極端に好き嫌いがある状態を指します。「偏食」と「好き嫌いが多い状態」に明確な線引きはありませんが、程度の大きさで認識されている場合が多いようです。
好き嫌いの程度が激しくなり、絶対に特定の食品を口にしない、またはそればかり食べるようであれば偏食の状態と言ってよいでしょう。
偏食になりうる原因
偏食になる原因はさまざまですが、たとえば過去に特定の食品を食べた際、体調が悪くなったり完食するまで無理やり食べさせられたり等、本人にとって良くない記憶と結びついて拒絶してしまうケースがあります。
また、こどもの頃から味のはっきりした食べものばかり食べていた背景から、味覚に対しての感覚が弱く、味が濃いものを選ぶ場合や、逆に味覚が過敏になりすぎて特定の食品が食べられないということも。
長期間の偏食が及ぼすカラダへの影響
もし長期間にわたって偏食が続いた場合、摂取する栄養素のバランスが偏りがちになるため、場合によっては偏食対象の食品に応じて、過剰または不足したぶんの不調をきたすかも知れません。
質問にある食品を例に挙げると、摂取できるおもな栄養素は以下のとおりです。
● 野菜…食物繊維、ビタミン、ミネラルなど
● 納豆…植物のタンパク質、大豆イソフラボン、納豆菌など
● チーズ…カルシウム、動物性タンパク質、乳酸菌など
食物繊維や乳酸菌などが不足した状態が長期間続くと、便秘がちになり、慢性化すると大腸がんのリスクも高くなることがわかっています。
ビタミンやミネラルはからだの調子をととのえるはたらきがあります。不足すると、疲れやすさ、肌荒れ、口内炎などの症状となって現れてくる場合も。
タンパク質が不足すると、筋肉量の減少、髪や肌のトラブル、集中力の欠如などにつながる可能性があります。
ちなみにスパイスは香辛料の総称であり、唐辛子、生姜、胡椒、マスタードなど範囲が多岐にわたるため栄養素の紹介は割愛しますが、一般にスパイスには血行促進、殺菌、基礎代謝アップ、消化促進などのはたらきがあると言われています。
栄養バランスが摂れていればリスクは少ない
仮に、先に挙げた食品を一切食べなくても、栄養バランスが摂れていれば、栄養不足や過多による体調不良や、病気のリスクは低いと言えます
たとえば、チーズが苦手であれば代わりに魚・肉類・牛乳・ヨーグルトなどを食べることで、カルシウム、動物性たんぱく質、乳酸菌といった栄養を補うことが可能です。
また、野菜嫌いの場合、フルーツ・海藻類・豆類・いも類を食べることでビタミン、ミネラル、食物繊維などの不足分が摂取できます。
食材でカバーできない栄養素については、サプリメントなどもうまく活用してもいいかも知れません。