
体幹トレーニングとは。体幹を鍛える方法と、効果的な鍛え方、筋トレとの違い
サッカー選手を始め、アスリートもとり入れている「体幹トレーニング」。筋トレは筋肉を鍛えるものですが、体幹トレーニングは文字通り体幹を強化したいときに効果的です。
体幹とはどこの部分か、鍛えるメリット、効果的なトレーニングメニューなどを、自重と器具あり両方で解説していきます。
<このページの内容>
体幹とはどの部分?体幹トレーニングとは
体幹とは、首から上・腕・足を除いた胴体部分を指します。
胸や背中などの大きな筋肉、肩関節・股関節まわりの小さな筋肉まで、すべて体幹です。
そして、それらを鍛えるのが体幹トレーニングです。
体幹トレーニングと筋トレの違い
体幹トレーニングは、腹筋や背筋など体の中心部の筋肉を強化することで、姿勢やバランスを改善するのが主目的です。
一方、筋トレは全身の筋肉を鍛えることを目的とし、筋力や筋量の向上を目指します。
体幹を鍛える効果とメリット
体幹を鍛えると何がいいのか。たとえば以下のような効果が期待できます。
効果1 体の安定性が高まる
体幹を鍛えることで感じられる最大のメリットは、筋肉のバランスを整え、体全体の安定性が高まるという部分にあります。
それにより、たとえば以下のような効果が期待できます。
- ランニングフォームの改善
- 運動時のケガ予防
- 動きをスムーズにさせることによる競技パフォーマンス向上
- 筋力向上による体の引き締め
- 体力向上 など
効果2 ケガを防ぐ
日常生活においても、筋肉がつくことで疲れにくくなったり、腰痛予防、姿勢の崩れを防ぐ、転倒予防などのメリットもあります。
また、ひざに痛みを抱えている人や、腰痛が心配な人のリハビリトレーニングにもおすすめです。
体幹が弱いとどうなる? 考えられるデメリット
正しい姿勢を維持できなくなる
とくに長時間座っている作業やデスクワークが多い場合、体幹の弱さが姿勢の悪化につながり、背中や首の痛み、姿勢不良を起こす可能性があります。
怪我のリスクが高まる
体幹が安定していないと、動作中に不安定な力の分散が起こり、関節や筋肉に負担がかかってしまいます。その結果、スポーツ中や日常生活で怪我をしやすくなります。
スポーツパフォーマンスが低下する
体幹トレーニングの代表「プランク」のやり方
体幹トレーニングは数多くありますが、まずは「プランク」がおすすめです。
1. 両肘を床につけ、うつ伏せになります
2. 両足を腰幅に開き、つま先を立て、腰を浮かせます
3. その姿勢のまま30秒キープします
プランクの効果を高めるポイント
- 体は1本の棒のように、常に一直線になるように意識すること
- 腹筋を中心に、全身に力を入れること
プランクは1日どれくらいやればいい?
30秒×3セットが目安です。
長時間行うより、習慣化して正しいポーズで行った方が、効果が期待できます。
ここからは、体幹トレーニング「プランク」のアレンジメニューです。
サイドプランク
1.床に横向きになり、顔は正面に向ける
2.下側の手は、肘を伸ばして地面を押し、体を持ち上げてキープ
3.この動きを左右交互に繰り返す
左右各20秒×3セット行いましょう。
片足プランク
1.腕を肩幅ほど広げてつま先を立て、下半身を持ち上げる
2.左右どちらかの足を浮かせ、キープする
3.左右交互に行なう
左右30秒×3セット行いましょう。
ハイリバースプランク
1.仰向けに横になり、手ひらを肩の真下の地面に置く
2.腰を上げていく
3.頭から足先まで一直線をキープして上を向く
30秒×3セット行いましょう。
プランクレッグレイズ
1.腕を肩幅広げて、上体を起こす
2.つま先を立てて、下半身を起こす
3.片方のつま先で体を支えて、片足は肩の位置まで持ち上げる
左右10回×3セット行いましょう。
かかとを蹴るイメージで足を上げ、脚だけでなく、体全体を持ち上げる意識で行います。
ヒップリフトブリッジ
1.うつ伏せで横になる
2.上半身を起こして腕を肩幅に広げる
3.下半身を持ち上げてつま先を立てる
4.お尻を限界まで上げる
20秒×3セット行いましょう。
ローリングプランク
1.腕立て伏せの姿勢になる
2.片手を離しながら体を横に回転させ、離した手を床に戻す
3.逆側の手を離し、回転させて腕立て伏せの姿勢になる
4.反対の回転を行い、もとの姿勢に戻る(これで1往復)
5往復×3セット行いましょう。
足を開閉するプランク
1.うつ伏せの状態で、両肘を肩の真下の床につける
2.腰を浮かせ、頭から踵までが一直線になるようにする
3.この動作を繰り返す
4.右左交互に足を開き、同じ流れで閉じていく
30秒×3セット行いましょう。
ハイプランクウォーク
1.肩幅程度に腕を開いて、腕立て伏せの姿勢になる
2.片足ずつ引きつけて、元に戻す
30秒×3セット行いましょう。
ハンドウォーク
1.前屈姿勢で床に手をつく
2.右手左手と交互に1歩ずつ進んでいく
3.限界まで前進していく
4.限界まで進んだら、スタートポジションに戻していく
30秒×3セット行いましょう。
アニマルサイドキック
1.四つん這いで両肩の真下に手を置く
2.膝を肩幅に開いて、背中をまっすぐにして腹筋に力を入れる
3.左手と右足を床から離して、胴体を左に回転させる
4.肩甲骨を絞りながら、体はしっかり左に向ける
5.この動作を交互に繰り返す
30秒×3セット行いましょう。
プランク以外の体幹トレーニングメニュー
体幹トレーニングはプランクだけではありません。こんな種目でも体幹を鍛えることができます。
ドローイング
1.お腹に空気をため込む意識で、息を大きく吸う
2.限界まで吸ったら、息を止めて一時キープする
3.お腹が凹むように息を吐き出す
4.凹ませた状態で20秒キープする
横になって行うドローイングもやり方は同様です。
腕立て伏せ
腕立て伏せには腕力を鍛えるだけではなく、体幹を含む上半身全体の筋持久力向上にも効果的です。
1.両手を肩幅よりやや広めに床に置き、肘を伸ばす
2.肘を曲げ、胸が床につくまで体を下ろす
3.床で静止した後、体をまっすぐ上へと押し上げ、はじめの姿勢へと戻る
体をまっすぐに保つことがポイントです。腕立て伏せが苦手な人は、膝をついて行ってもOKです。
逆立ち
1.床に両手をつき、壁に足をつけて、斜めの姿勢になる
2.手を1歩ずつ壁に近づけると同時に、壁につけた足を上に登らせていく
3.ほぼ垂直に近い位置まで来たら、両足を揃えて静止する
はじめは低い位置までで構いません。徐々に登る高さを上げていき、壁に体を近づけていきましょう。
10~15分の練習を、週2~3回行います。
体幹を効果的に鍛えるための3か条
体幹を効果的に鍛えるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
腹筋を意識する
体幹トレーニングは、腹筋群や背骨周辺にある小さな筋肉に対して効果が高いメソッドです。そのため、動作中に腹筋を意識するのとしないのでは、強度や効果に大きな違いが現れます。
腹筋全体に力が入るように行いましょう。
姿勢(アライメント)を意識しながら動作を行う
トレーニング中、キツさから姿勢が崩れたり楽なポーズをとってしまうと、効果が半減します。プランクでお尻が上がってしまう例などがそれに当たります。
姿勢が体になじむまで鏡を見てチェックをする、他者に見てもらうなど、アライメントの崩れがないか確かめましょう。
先端部分にも意識を向ける
頭の向きや指先、つま先、足首の角度など、先端部分にまできちんと意識を向けて行うことが非常に重要です。
ここを意識することによって、全身に力が入り、効果的に体幹部を刺激できるのです。
体幹トレーニングは毎日やっていい? やりすぎのデメリット
体幹トレーニングは毎日行っても問題ありません。自重のみの負荷のため、大きい負荷はかからず、オーバーワークになる心配はないでしょう。
筋肉痛になった場合は、休むか他の部位を鍛えよう
ただ、筋肉痛が出た場合は、ほかの筋トレ同様、筋肉痛が収まるまで回復を待つ必要があります。
器具を使った体幹トレーニングメニュー
続いて、バランスボールやダンベルなど、一般的な道具を使った体幹トレーニングのバリエーションです。
バランスボール
バランスボールは、その弾性や不安定な形状により、体幹部の筋肉や関節部分に大きな刺激が加わりやすくなります。
それにより筋肉のバランスを整え、姿勢の崩れや肩こり、腰痛、関節痛などの予防も期待できます。
■バランスボール・クランチ
1.バランスボールに座り、両足をしっかりと床について、仰向けで寝る
2.バランスをとりながら上半身を起こしていく
3.限界まで起こしたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
ボールから落ちないよう自然と姿勢をキープするため、自重で行う体幹トレーニングが苦手な人も行いやすいかと思います。
10回×3セットを目安に行いましょう。
関連記事:バランスボールダイエット|効果的な使い方と、体幹や腹筋を鍛えるトレーニング&ストレッチ
腹筋ローラー
ローラーを動かしながら体を前後へ伸ばす動きによって、筋肉と体幹を鍛えます。
床の保護のため、マットを敷いて行いましょう。
■膝つき腹筋ローラーのやり方
1.両膝を床につけて、グリップを握る
2.ローラーを前方に転がしながら、体をゆっくりと前へ伸ばす
3.これ以上伸ばせないところでストップし、伸ばしたときと同じスピードを保って元の位置に戻る
スピードをつけると筋肉に効きにくいので、ゆっくり行う
腹筋ローラーはかなりきついトレーニングメニューです。ローラーを押した後、筋力がない人はまず引き戻すことができません。
初心者は転がして引き戻さず、そのまま倒れ込むだけでも充分効果的です。
バランスビーム
体操競技で使う平均台を低くした「バランスビーム」。幅10センチほどの角材でも代用可能です。上を歩くことで、体幹の安定性を鍛えることができます。
歩幅を小さくして、前足の踵を後ろ足の先につけて歩いてみましょう。視線はまっすぐ前方を見つめ、両腕を横に広げるとバランスが取りやすくなります。
慣れてきたら片手ずつダンベルをぶら下げて歩いてみてください。
関連記事:角材の上を歩いて体幹を鍛える。「バランスビーム」を使った家トレメニュー
懸垂(チンニング)
体幹はもちろんのこと腹筋や広背筋、上腕二頭筋など、広範囲の筋肉を鍛えることができます。
初心者はまず「ぶら下がりホールド」からチャレンジしてみましょう。
■ぶら下がりホールド
1.手の平は前に向けて、手の幅が肩幅と同じぐらいの広さの位置で握る
2.鉄棒から肘を完全に伸ばしてぶら下がる
3.30秒キープする
足先は揃えて、体が1本の棒になったような状態を保つ
30秒行えるようになったら、肩甲骨を押し下げてみましょう。さらに腹筋に力を入れ、揃えた両足を前に上げます。
関連記事:懸垂(チンニング)の効果と正しいやり方、できない人の練習方法【総まとめ】
ケトルベル
ダンベルのようなものと感じるかもしれませんが、ケトルベルは腕力ではなく体幹で操るアイテムです。
1.足を肩幅に開いて立ち、ケトルベルを両手で握る
2.ケトルベルを両足の中央に位置させ、膝を曲げ、お尻を後ろに突き出す
3.腰を前方向に振る反動を利用して、ケトルベルを頭上、あるいは目の高さまで振り上げる
前かがみになったり、大きく腰を反らすと腰痛の原因になります。視線は前方へ向け、背筋をまっすぐ保つのがコツです。
10~20回×3セットほど行いましょう。
関連記事:自宅筋トレ器具「ケトルベル」とは。効果とトレーニングメニュー
ウエイトリフティングでも体幹を鍛えることができる
自重が多い体幹トレーニングですが、バーベルを使ったウエイトリフティングも、体幹を鍛えるにはおすすめです。
バーベルを頭上で静止する動きによって体幹を強化することができるほか、腕や肩、下半身の筋力向上も同時に狙えます。
以下の種目などを行うとよいでしょう。
オーバーヘッドスクワット
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ショルダープレス
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<Text:編集部>