2018年5月18日

【ネットボール】英国生まれの女性向けバスケットボール。歴史・ルール・体験を紹介|一度やってみたい!珍しい海外スポーツ #5

 国内ではあまり競技人口の多くない海外スポーツを取り上げ、その特徴やおもしろさを紹介する連載コーナー。今回は主にイギリス連邦の国々で競技されている、屋内球技の「ネットボール」をご紹介します。名前を聞いて、どのような競技かを連想できる人は少ないかもしれません。一体、どのようなルールで行われるのでしょうか。

バスケットボールから派生した女性向けの球技

 ネットボールはバスケットボールに似た女性向けの球技。日本では1990年代に広まりを見せ始めました。1999年には日本選手権が初開催され、国際大会では日本代表「つばきJAPAN」を結成し、アジア大会などに出場しています。

2018年5月12日(土) 〜 5月13日(日)つばきJapan

日本ネットボール協会(Japan Netball Association)さんの投稿 2018年5月13日日曜日

 一方で競技自体の歴史は古く、その始まりは1890年代までさかのぼります。イギリスにて女性向けのバスケットボールとして誕生し、接触のない安全なスポーツとして普及。現在の競技人口は70カ国で約2000万人と、世界中で人気を誇るスポーツです。

 ネットボールはバスケットボールのように選手同士の激しい接触がありません。そのためトップ選手だけでなく、生涯スポーツとして子どもからシルバー世代まで楽しめます。

ネットボールの基本ルール

 ネットボールは7対7で試合が行われ、バスケットボールのようにゴールに球を投げ入れて得点を競います。それぞれ自陣ゴールを守る「ゴールキーパー」やチームの司令塔である「センター」、相手ゴール前でシュートを狙う「ゴールシューター」など7つの役割が与えられ、攻守で連携をとっていきます。

<ネットボールのポジション>
GK(ゴールキーパー)
GD(ゴールディフェンス)
WD(ウィングディフェンス)
C(センター)
WA(ウィングアタック)
GA(ゴールアタック)
GS(ゴールシューター)

 コートは大きく3つのエリアに分割され、各ポジションは決められたエリアでしかプレイすることができません。

<各エリアの名称とエリア内でプレイできるポジション>
ゴールサード(自陣)GK、GD、WD、C
センターサード(中央)GD、WD、C、WA、GA
ゴールサード(敵陣)C、WA、GA、GS

 さらにゴール下にはゴールサークルというエリアがあり、自陣はゴールキーパーとゴールディフェンス、敵陣にはゴールアタックとゴールシューターしか入ることが認められていません。つまり、センターは3つのエリアすべてに顔を出すことができるものの、ゴールサークルには足を踏み入れることができないルールなのです。こうしたルールが戦術に大きく左右するため、どのポジションに誰を入れるかという戦略が重要といえるでしょう。

 ネットボールの最大の特徴としては「ドリブルが認められない」という点が挙げられます。そのため、より仲間との連携が求められます。どのようにしてアタック陣にボールを運ぶか。また、どのようにして相手からボールを奪えるかなど、高度な戦術や駆け引きも見どころです。

 なお、コートの長さは15.2m×30.5mと、バスケットボール(15m×28m)よりやや広いのが特徴。ゴールの高さはバスケットボールと同じ3.05mで行われますが、ネットボールにはバスケにあるバックボード(ゴールリングの後ろにある長方形のボード)がありません。そのため、ネットへ正確にボールを入れる必要があります。ちょうど、運動会の玉入れのようなイメージです。

毎週火曜日に体験会を実施

  日本ネットボール協会のホームページによると、国内のチームはわずか6チームのみ。まだまだ競技人口は少なく、今後さらなる発展を遂げる可能性を秘めています。

<国内チーム>
・WLS netball(東京)
・TOKYO NETBALL(東京)
・Nep tuneZ(東京・東京海洋大学)
・あんなかネットボールクラブ (群馬・あんなかフェニックス、あんなかペガサス、あんなかクレーン)
・健大INGI-D(群馬・高崎健康福祉大学)
・ライジンズ(群馬・群馬県立女子大学)

 そのため、日本ネットボール協会は普及・育成事業として、毎週火曜日の18時から21時までネットボール体験会(群馬県安中市文化センター)を定期開催しています。必要な道具は運営サイドで調達してくれるので、初心者でも気軽に参加可能です。

 公式試合は少ないですが、6月17日(日)には相模女子大(神奈川県相模原市)で「第2回春季全日本ネットボール選手権大会」が近々開催予定。見学自由なので、ネットボールに興味のある方はぜひ観に行ってみましょう。

・参考サイト
日本ネットボール協会

<Text:松永貴允/Photo:Getty Images>