ダンベルの重さ、何キロがいい?筋トレ初心者におすすめの選び方
自宅筋トレをするなら持っておきたい「ダンベル」。腕や肩、上半身を鍛えたい人にはおなじみの筋トレアイテムです。しかしダンベルには重さや形などさまざまな種類があり、重さは何キロを買っていいか分からないという初心者も多いでしょう。
今回は自宅筋トレにおすすめのダンベルの種類や、固定式・可変式の違い、ウエイトの選び方、素材などを解説します。
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まずはダンベルの種類から。「固定式ダンベル」と「可変式ダンベル」どっちがいい?
ダンベルには、大きく分けて2つのタイプがあります。ダンベルについているウエイトを変更できるかできないか。これは、ダンベルを選ぶうえで大きなポイントでしょう。
ウエイトが変更できないタイプを「固定式」、変更できるタイプを「可変式」と呼ぶことが一般的です。では、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
固定式ダンベルとは
ウエイト部分がくっついており重量を変更できない「固定式ダンベル」は、鉄アレイをイメージしてもらえば分かりやすいでしょう。
重さが固定されているのでウエイトを付け替える必要がなく、手間がかかりません。しかしその反面、負荷を変更したいときには違う重量のダンベルを別に用意する必要があります。
可変式ダンベルとは
プレートなどを付け替えることで重量を変更できる「可変式ダンベル」。負荷を自由に変更できるため、幅広い用途で使うことが可能です。
しかし、重さを変えるときに手間がかかり、少し面倒くさく感じることもあるでしょう。
最近では「パワーブロック」や「アジャスタブルダンベル」と呼ばれる、ウエイトの付け替えが楽にできるダンベルも販売されています。
これらは付け替えが簡単なだけでなく、プレートがまとまっているので、省スペースに保管することもできて便利です。
「固定式ダンベル」と「可変式ダンベル」どっちがいい?
自宅に相当のスペースがあり、1~2kg刻みで多くのダンベルを揃えることができるのなら固定式でもよいでしょう。
しかし、自宅という狭いスペースで行うのであれば、可変式ダンベルをオススメします。
筋トレ初心者は何キロがいい?
ダンベルの種類が分かったところで、次は重さです。自宅でダンベルトレーニングを行う場合、何kgのものを買うのがよいのでしょうか。
初心者でも、片方20kgまで付け替え可能な「可変式ダンベル」がよい
筋トレ初心者は「そんなに重い重量は扱えないから」と、軽めのダンベルを購入してしまいがちですが、最初から重めのダンベルを購入しておくことをオススメします。
10kgだと軽い
ダンベルは、鍛えたい部位によって負荷の調節をする必要があります。
腕などの小さい筋肉を鍛える場合は、10kgで十分かもしれません。しかし胸や背中、足などの大きい筋肉を鍛える場合、10kgでは負荷が低過ぎてしっかり筋肉を刺激できないでしょう。
慣れてくると重さを増やす必要がある
また、トレーニングを継続していくと筋力が高まり、徐々に負荷を増やしたくなります。
重い重量は使えないだろうと思って軽めのダンベルを買ってしまうと、筋力がついてきた頃に物足りなくなってしまいます。その結果、追加でダンベルを購入する羽目になるなど、後から後悔することも考えられるのです。
そのため、ダンベルを購入する場合は、初心者でも最低で片方20kgある可変式ダンベルをオススメします。
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「20kgはキツくない?」と感じる人へ
「20kgも必要なの?」
「20kgも持ち上がらない」
そう思い、躊躇する人がいるかもしれません。
ですが可変式のダンベルであれば、シャフトだけの重さ(2.5kg)から始まり、プレートを組み替えていくことで5kg~20kgと小刻みに重量を変えられます。
なお、重量の区切りは商品によって異なるので、事前に確認してください。体力や筋力に自信がない人でも、重いダンベルを購入した方が効果的に活用できるでしょう。
ダンベルの素材にもこだわってみよう
ダンベルは種類以外に、素材にもさまざまな種類があります。長く使うのであればこだわってみましょう。
アイアンダンベル
鉄でできているのがアイアンダンベルです。
安価な商品が多いのが特徴ですが、鉄がむき出しになっています。そのため、床に落とした際に床を傷つけてしまったり、プレートの脱着時にプレート同士がぶつかる音がうるさかったりという点は、デメリットに感じることがあるでしょう。
また、塗装が剥げてくるとサビてしまうという問題もあります。
ラバーダンベル
床の傷や騒音を防ぐため、アイアンダンベルにラバーをかけて保護した商品がラバーダンベルです。値段もそれほど高くないため、一般的に家庭用として多く使用されています。
ポリエチレンダンベル
鉄をポリエチレンでコーティングし、プラスチックのような見た目になっているのがポリエチレンダンベルです。床を傷つけず、動作中やプレートの付け替え時でも音が静かです。
また、全体がコーティングされているためサビも心配ありません。商品によっては、バーの部分までポリエチレンになっている商品もあります。
冬などの寒い時期、バーが冷たくて握るのがツラいというときにうれしいポイントです。
クロームメッキダンベル
メッキ加工をしているため、光沢があって高級感があるのがクロームメッキダンベルです。スポーツクラブでは、このクロームメッキダンベルが使われていることが多いでしょう。
メッキでサビを防ぐため耐久性が高くなる一方、使用時に床を傷つけないように注意が必要です。
次に、ダンベルを使った筋トレメニューを紹介していきます。
ダンベルを使った筋トレメニュー:腹筋を鍛える
ダンベルロシアンツイスト
- 膝を立てて座り、両手でひとつのダンベルを持つ
- 腕を伸ばし、顔の前に持ち上げる
- 上半身を左側へねじる。腕の角度は変えない
- 左右交互に繰り返す
腹直筋・腹斜筋を刺激するエクササイズです。腕をしっかり伸ばしてダンベルを大きく動かすことで、腹筋にかかる刺激が大きくなります。
初めのうちはバランスが悪く、動作が行いにくいかもしれません。その場合は、少し肘を曲げてダンベルをカラダに近づけてみてください。
サイドベント
- 片手にダンベルを持って立つ
- ダンベルを持った側へカラダを傾ける
- 反対側も同様に行う
腹斜筋を刺激するエクササイズです。カラダを真横に倒していきましょう。
ニートゥーチェスト
- イスに浅く座り、イスの端を掴む
- 体を軽く後ろに倒し、両足を床から少し浮かせる
- 上半身を動かさず、両膝を胸に近づける
簡単にできるニートゥーチェストですが、両足にダンベルを挟んで行うだけで負荷を高めることができます。イスを使わず床で行っても構いません。
次は、背中の筋肉を鍛えるダンベルメニューです。
ダンベルを使った筋トレメニュー:背中の筋肉を鍛える
背中についている筋肉は複数あります。「広背筋(こうはいきん)」、「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」、「僧帽筋(そうぼうきん)」など。
それぞれ違う働きを持っているため、鍛えるエクササイズも異なります。
ダンベルベントオーバーロウ
- 足を肩幅に広げ、軽く膝を曲げる。体を前に倒して胸を張り、両手にダンベルを持つ
- 肩甲骨を寄せるように肘を曲げ、脇腹へダンベルを引きつけていく。上体は動かさない
- ゆっくりと元の姿勢に戻る
背中は丸めない、しっかり胸を張って、腰を曲げない
この動作を繰り返し行いましょう。ダンベルを持ち上げるというよりも、肩甲骨を寄せて肘を持ち上げるイメージで行ってください。
ワンハンドロウ
- フラットベンチに左手と左膝を乗せ、上体を前に倒す。背筋を伸ばし、胸を張る
- 右手でダンベルを持つ
- 脇腹に引きつけるように肘を曲げ、ダンベルを持ち上げる
- ゆっくりと肘を伸ばし、下ろしていく
肘を曲げるよりも、肘を高く上げる意識で行う
この動作を繰り返し行い、反対側も同じようにしましょう。
片腕ずつ行う「ワンハンドロウ」もおすすめ
ベントオーバーロウの動作を片腕ずつ行う方法が、ワンハンドロウです。
ワンハンドロウはカラダを支えた状態で動作するので、ベントオーバーロウに比べ動作中の姿勢を維持しやすくなります。
そのため、重い負荷が使える、背中を意識しやすい、腰への負担を軽減できる点がメリットです。
ダンベルプルオーバー
- フラットベンチに仰向けになる
- 腕を天井方向に伸ばし、ダンベルを持つ
- 肘をまっすぐにしたまま、ダンベルを後頭部側へ下ろす
- ゆっくり元の姿勢に戻る
この動作を繰り返し行いましょう。
動作中、腕がつらくなる場合は、軽く肘を曲げた状態のまま動作するようにしましょう。ダンベルは、しっかり背中がストレッチされているのを感じるところまで下ろし、可動域を大きく使ってください。
ダンベルシュラッグ
- 肩幅に足を開き、両手にダンベルを持つ
- 腕を下ろしたまま、肩を耳に近づけるようにすくめていく。肘は曲げない
- ゆっくり元の姿勢に戻す
この動作を繰り返し行いましょう。
僧帽筋はとても強い筋肉です。多少の重さでは楽に行えてしまいますので、負荷を高めて行ったり、ゆっくりとした動作スピードで刺激しましょう。
ダンベルデッドリフト
- 足を腰幅に開いて立つ。つま先は正面へ
- 両手にダンベルを持ち、カラダの前面(スネや太もも)に沿わせながら下ろしていく
- 足首まで下げたら、今度は前面に沿わせながら元の姿勢に戻る
お尻を後ろに引く。膝がつま先よりも前に出ないように注意
この動作を繰り返し行います。動作中に背中が丸くならないようにしましょう。
ダンベルを使った筋トレメニュー:腕の筋肉を鍛える
腕を構成する筋肉は、おもに「上腕二頭筋」と「上腕三頭筋」です。
ダンベルアームカール
- ダンベルを肩幅で持つ。両手のひらは正面へ
- 背筋を伸ばし、頭の位置を固定する。軽く膝を曲げ、肩幅に広げる
- 肘を腰より少し前に出し、ダンベルを持ち上げていく
- 肘を曲げきったら、ゆっくりと元の位置に戻す
肩をすくめたり、カラダを傾けて動作を行わないように注意しましょう。
インクラインダンベルカール
- インクラインベンチを40~60度に調整し、ダンベルを持って座る。手のひらは正面へ
- 背中をベンチにつけ、軽く肘を曲げたまま腕を下げる
- 肘を前後に動かさないように曲げていく
- 元の位置に戻すとき、軽く曲げた状態で止めておく
上腕二頭筋のストレッチが強くかかるため、立った姿勢で行うよりも強度が高いエクササイズです。正しいフォームで、動作スピードをコントロールしながら行いましょう。
コンセントレーションカール
- 片手にダンベルを持ち、フラットベンチに座る。足は肩幅に広げる
- ダンベルを持った手の肘を、同側の膝の内側につけて肘を固定し、ダンベルを下ろす。肘は軽く曲げておく
- そのまま曲げていく
- 曲げきったら、元の位置に戻していく
肘を脚でしっかり固定できるので、初心者でも行いやすいエクササイズです。上腕二頭筋を最大限に収縮させるよう意識すると効果的でしょう。
フレンチプレス
- 両手でダンベルを持つ。グリップではなく、プレートの部分を両手で支える
- 肘を伸ばしたまま頭上へ上げ、ゆっくりと肘を曲げていく。肘は開き過ぎない
- 限界まで曲げたら、元の姿勢に戻る
初心者の場合、動作中に肘が前後に動いてしまう人が多く見られます。動作中に肘が動いてしまう場合は片腕ずつ行い、反対の手で肘を固定するとよいでしょう。
トライセップス・エクステンション
- ベンチに仰向けになる。ダンベルを両手で持ち、肘を伸ばして顔の前に構える
- 肘の位置を動かさないように曲げ、ダンベルを下ろしていく
- 限界まで下ろしたら、肘を伸ばしてダンベルを持ち上げていく
ダンベルが顔に落下してこないように気をつけましょう。
このエクササイズには、動作を片腕ずつ行う方法もあります。その場合、反対の手で肘が動かないように固定すると、より正確な動作を行うことが可能です。
次は、肩の筋肉を鍛えるダンベルメニューです。
ダンベルを使った筋トレメニュー:肩の筋肉を鍛える
肩を大きくするために鍛えたいのが「三角筋(さんかくきん)」と呼ばれる筋肉。丸く大きな肩を作り上げるためには、前部・中部・後部を全体的に鍛えることが必要です。
上半身の筋肉の中でもっとも大きいのは、胸の筋肉である“大胸筋”や背中の筋肉である“広背筋”だと思っている人は多いかもしれません。しかし、実は三角筋なのです。
そのため、三角筋を鍛えることで上半身の見た目を大きく変えることができます。
フロントレイズ
三角筋の前部を鍛えます。
- ダンベルを両手に持つ
- 手のひらを下に向けたまま、両方同時にダンベルを持ち上げる
- 肩の高さまで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
動作中は、腰を反らせないよう注意が必要です。
初心者、あるいは重い重量を扱うことでカラダがブレて動作が安定しない、腰が反ってしまう場合は、左右交互に持ち上げるようにしましょう。
ダンベルを持ち上げる高さは、低くても肘の高さ、最高で目の高さくらいを目安にしてください。
サイドレイズ
三角筋の中部を鍛えます。
- ダンベルを両手に持つ
- 手のひらを下に向けたまま、真横にダンベルを持ち上げる
- 肩の高さまで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
ダンベルを持ち上げるよりも、肘を持ち上げるような意識で行うと肩に効きやすくなります。
また、持ち上げた際に親指よりも小指側が高くなるように手首の角度を意識すると、効果的に三角筋を刺激できるでしょう。
立って行うと反動を使ってしまう場合は、座って行い、ダンベルを下ろすときも動作をコントロールしましょう。
ダンベルショルダープレス
前部・中部・後部を鍛えます。
- ダンベルを両手に持つ。足は腰幅に広げる
- ダンベルを肩の上で持つ。肘の角度は90度を意識する
- 手のひらを正面に向けたまま、肘を伸ばしてダンベルを持ち上げる
- 頭上まで持ち上げたら、肘を曲げて2の姿勢に戻る
高重量を扱えるエクササイズです。高重量を扱うときは足を前後に広げてバランスをとるとよいでしょう。
また、背もたれの角度を変えることができるベンチ(アジャスタブルベンチ)を垂直に立てて座り、背中を背もたれにつけて動作を行うと、姿勢が安定して肩を意識しやすくなります。
ダンベルアップライトロウ
三角筋の後部を鍛えます。
- ダンベルを両手で持つ
- 腕を下ろした姿勢から、ダンベルが顎下にくるように肘を曲げていく
- 顎下まで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
ダンベルを持ち上げるときは、肘が肩の高さよりも上になるよう、肘を意識してください。ダンベルを下ろす時は、三角筋に負荷がかかっているのを意識しながら行うとよいでしょう。
ベントオーバーリアレイズ
後部を鍛えます。
- ダンベルを両手に持ちつ。足は腰幅に広げる
- 上体をまっすぐ前傾させ、軽く膝を曲げる
- 上体を固定したまま、ダンベルを斜め上横へ持ち上げる
- 肩の高さまで持ち上げたら、ゆっくりと2の姿勢に戻る
ダンベルを持ち上げる角度は、真横ではなく斜め前です。真横に持ち上げてしまうと背中のトレーニングになってしまうので注意しましょう。
姿勢の保持が難しい場合、ベンチに座り、膝に胸をくっつけるように上体を倒したまま動作を行うとやりやすくなります。
筆者プロフィール
プロスポーツトレーナー
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師のほか、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、さまざまなメディアで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会(JATI-ATI)の認定トレーニング指導者
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<Text:和田拓巳/Image by AI素材.com>