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「階段走り」のダイエット効果とは。階段を走るメリット・やり方・注意点

 1976年に公開されたアメリカのスポーツ映画『Rocky(ロッキー)』で、主人公がフィラデルフィア美術館前の階段を駆け上るシーンは有名でしょう。特訓や猛練習のイメージが強い「階段走り」は、スピードやパワー、アジリティ、そして心肺能力を鍛えるために有効で、経済的効率も高いトレーニングです。なにしろジムに行く必要もなければ、特別な器具もいりません。通常のランニングと比べても、短時間で大きな負荷をかけることができます。

▲「ロッキーの階段」を駆け上る観光客たち

階段走りの効果とは

下半身の大きな筋肉を強化する

 階段走り、とくに上りでは、人は重力に逆らって体を運びます。そのため、ウェイトを使った筋トレと同じように筋力強化が期待できます。階段走りでおもに鍛えられるのはお尻や太腿、それにふくらはぎなど下半身にある大きな筋肉群です。これらの筋肉はエネルギーを多く消費するため、筋力強化はもちろんダイエット効果も高く、ランジやスクワットといった筋トレ種目と同じような効果が望めるでしょう。

瞬発力と爆発的なパワーを鍛える

 また、短時間内にすばやく足を上げ下げすることで、筋肉の伸張反射が高まります。これはボックスジャンプなど、瞬間的なパワーを向上させるプライオメトリクストレーニングと同じ効果となります。

プライオメトリクストレーニングのおもな目的は、瞬発力と爆発的なパワーを高めることです。筋肉にはいったん伸びると縮まるという特性があり、これは「伸張反射」と呼ばれます。普段は無意識に働くものですが、この伸張反射のスピードをプライオメトリクストレーニングによって速めることで、より速くて力強いパワーを発揮できるようになるでしょう。

プライオメトリクスで筋力強化。瞬発力を鍛えるトレーニング「ボックスジャンプ」、やり方と効果を高めるポイント より

最大酸素摂取量(VO2max)が飛躍的に向上

 多くの場合、階段は普通の坂よりも傾斜が大きくなっているため、階段を走ると心拍数が急激に上がるはず。それを繰り返すことによって、より多くの酸素を体に取り込めるようになります。心肺能力の測定で重要な指標「最大酸素摂取量(VO2max)」の値が、階段走りをすることによって飛躍的に向上すると証明した研究(※1)もあります。

 2005年に英国のスポーツ医学ジャーナルに発表されたこの論文では、あまり運動歴のない15人の若い女性(平均年齢18歳)に、約200段の階段を約2分かけて上るエクササイズを週5回、8週間に渡って行ってもらいました。その結果、VO2maxの値が平均して17%も向上したことを報告しています。

 被験者たちは上記の階段(約200段)を1往復することから始め、徐々にボリュームを増やしていき、最後の2週間は5往復まで行ったそうです。それでも所要時間は、最大で20分を越えなかったはずです。心肺能力を向上させる方法としては、かなり効率が高いと言えるでしょう。

初心者が階段走りを始める場合

階段走りに適した階段は

 アメリカでは、階段走りをする場所といえば、アメフトのスタジアムが定番です。もちろん、屋外の階段、あるいは駅やマンションの階段でも構いません。長い階段である必要もないでしょう。距離が短ければ、往復する回数を増やせばいいのです。

▲カリフォルニア州にあるサンタバーバラ市立大学のスタジアム。早朝から多くの市民ランナーが集まる

 しかし、効果があるということは、それだけ身体に負荷がかかるトレーニングということでもあります。筋肉の疲労も大きくなりますし、転倒をすれば大きな怪我につながる危険性も。そのため、階段走りには通常のランニングやジムでの筋トレより、多くの集中力と注意が必要です。

必ずウォームアップを行う

 いきなり階段を走り出さず、事前にしっかりウォームアップをしましょう。5~10分ぐらい平地でジョグができれば十分です。ウォームアップの時間がとれないときは、最初のセットは歩いて往復しましょう。

走るのは1段ずつ

 最初は1段ずつ歩くか走ってください。体が温まってきたら、段を飛ばしてみてもよいでしょう。

下りは歩いてよい

 下りは膝や足首に負荷がかかるので、初心者は走らずに歩いたほうがよいでしょう。もしこのときに膝が痛むようなら、階段走りは中止してください。ゆっくり歩いて下り、心拍数を落とすためのインターバル休息時間にした方が賢明です。

アスリートが階段走りに取り組む場合

 トレーニングを毎日のように行っているアスリートは、階段走りをプライオメトリクストレーニングやHIITなどのように、短時間でも負荷の高いエクササイズの代用として考えてください。それだけ、筋肉にも心肺にも負担がかかるトレーニングだということです。1回の階段走りトレーニングにかける時間は20~30分程度で集中して行い、頻度も週2~3回ほど間隔を空けることをおすすめします。

参考文献
※1.
Training effects of short bouts of stair climbing on cardiorespiratory fitness, blood lipids, and homocysteine in sedentary young women.
Boreham C. et. al. 2005
https://bjsm.bmj.com/content/39/9/590

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text:角谷剛/Photo:Getty Images>

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