2020年10月23日

短時間で脂肪を燃やす運動「メタボリックコンディショニング」とは。効果とやり方、HIITとの違いを解説 (1/2)

 筋トレやフィットネス、またはダイエットに興味がある人なら、「HIIT(High Intensity Interval Training:高強度インターバルトレーニング)」という単語を耳にしたことがあるのではないでしょうか。HIITとは、強度の高い運動を、休憩を挟みつつ繰り返し行うトレーニング方法のこと。その最大の利点とされているのは、短時間で効果を最大化できる効率性です。

 そして、HIITよりさらに重量負荷をかけ、ランダムな時間制を用いた“キツイ”トレーニング方法を「(Metabolic Conditioning:メタボリックコンディショニング)」、通称「Met-Con(メトコン)」と呼び、こちらもクロスフィットのジムなどで広く行われています。今回はHIITとMet-Conそれぞれの特徴と、実際のワークアウトメニューをいくつかご紹介しましょう。

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長時間の有酸素運動に代わるHIIT

 トレーニングを行う目的が持久力を向上させること、あるいは脂肪を燃やして体重を減らす場合、以前は長時間の耐久的な有酸素運動をするやり方が一般的でした。長時間のいわゆる「走り込み」は、その代表的な例です。筋トレでも、低重量・高回数で長時間かかるプログラムを組むことが推奨されてきました。たとえば腕立て伏せ100回や、自重スクワット300回などがそれにあたります。

 そうした方法に効果がなかったわけではありません。オリンピック・マラソン競技の金メダリスト野口みずきさんの名言「走った距離は裏切らない」にあるように、長く走り続ける、床に汗で水溜まりができるまでスクワットを続けるような忍耐と努力は確実に実を結びます。しかし、誰もがトレーニングに無制限の時間をかけられるわけではありません。

 その点、HIITならキツい運動であるものの、短時間で済んで飽きがこない。そのうえ、HIITには長時間の運動と同等以上の効果があるとする研究が数多く発表されました。忙しい生活を送る現代人にHIITが受け入れられたのは、不思議なことではありません。

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HIITとMet-Conの違い

重量負荷の利用

 すっかり有名になったHIITと比較すると、Met-Conは一般的には知られていないかもしれません。HIITがどちらかといえば心肺能力に比重を置いて有酸素運動や自重筋トレを多く行う(短距離ダッシュ、バーピーなど)ことに対して、Met-Conはダンベルやバーベルなどを用いて、ある程度の重量負荷を用いたエクササイズを多く組み込みます(パワークリーン、ダンベル・スラスターなど)。

 とはいえ筋肥大や瞬間的パワーを重視した筋トレとは異なり、Met-Conで扱う重量は軽めです。それよりも、動作スピードや回数が重要な要素になります。つまり、低重量高回数の筋トレを可能なかぎりすばやく行うイメージです。

 また、HIITでは高強度運動の種類を限定することが多いですが(固定自転車など)、Met-Conでは複数種類のワークアウトを組み合わせることが通常となります。

ランダムな時間制

 多くの場合、HIITは運動と休息を規則的な時間形式で行います。陸上競技のランナーにとっては、400mトラックを使ったインターバル走(800m全力+200mジョグの繰り返しなど)が以前からおなじみの練習方法でしょう。HIITのプロトコルは、通常これより短い時間と間隔で行います。

 HIITでもっとも有名なプロトコルは、立命館大学の田畑泉教授の名前を冠した「タバタ」でしょう。20秒間の「強度の高い運動」と10秒間の「休息」あるいは「負荷の軽い運動」を1ラウンドとして、それを8ラウンド繰り返すというシンプルなもの。ここでは、運動と休息の割合が2:1と定められています。

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 これに対して、Met-Conでは運動と休息の関係に規則性はありません。典型的なMet-Conでは、10~20分程度の制限時間内になるべく多くの動作を行うことが指示されます(AMRAPと呼ばれます)。あるいは、時間無制限で指定ラウンド数と回数をできるだけ速く終わらせるのです(ForTimeと呼ばれます)。

 AMRAPかForTimeかに関わらず、Met-Conで休息を入れるタイミングと長さ、あるいはスローダウンするかどうかは自分の判断に任せられます。クロスフィットではコーチや仲間がヘトヘトになったアスリートを大声で叱咤激励するのが名物のひとつでもありますが、Met-Conではどれだけ「追い込む」かは、あくまで自分次第。

 Met-Conでは心肺能力も鍛えられますが、やや筋持久力向上に比重を置いています。HIITは広義でMet-Conのひとつとも言えますが、すべてのMet-ConがHIITであるわけではありません。

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