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2024年1月23日

カーボローディングの効果とやり方、メニュー例【マラソン大会前の食事戦略】

大切な大会や試合には、少しでもよい状態で臨みたいところ。コンディションを高める方法のひとつに、試合中にエネルギー切れを起こさないための食事方法があります。

それが、パフォーマンスを長時間発揮できるように、パスタやラーメンなどの糖質をカラダにため込む「カーボローディング(グリコーゲンローディング)」です。

マラソン大会に挑むランナーの中には、大会前日に餅やパスタを多く食べる人もいるのでは。必要である、不必要であるとさまざまな意見が見受けられます。

このカーボローディングの効果とやり方、カーボアップ食材について、プロスポーツトレーナーが解説していきます。

カーボローディングとは

カーボローディング(グリコーゲンローディング)は、カラダを動かすエネルギー源である糖質を、試合前にできるだけ体内にため込んでおくための食事戦略のことです。

食事により摂り込んだ糖質は、筋肉や肝臓にグリコーゲンとして貯蓄されます。カラダを動かすのに使われる血中のグルコースが失われていくと、グリコーゲンが血液中に放出されグルコースとなってエネルギーとして使われるのです。

長時間試合が続くような競技ではグリコーゲンの消費が多く、試合終盤にエネルギーが枯渇してしまうとパフォーマンスが低下してしまいます。それを防ぐために、試合前にカーボローディングを行い、エネルギー源の貯蓄を増やすのです。

カーボローディングを行うと筋肉中には約2~3倍、肝臓には約2倍も貯蓄しているグリコーゲンを増やすことができるとされています。

カーボローディングのメリット

カーボローディングを行うことによって得られるメリットを紹介します。

持久力の向上

先述の通り、カーボローディングを行うと体内のグリコーゲン量が増え、試合終盤のエネルギー不足を防ぐことができます。

とくに、サッカーやバスケットボール、マラソン、水泳など、長時間動き続けるような持久力が必要な競技で効果を発揮するでしょう。

逆に、短時間で終わる陸上競技や、動いていない時間が多い野球などではあまり効果を感じないかもしれません。

カラダを大きくする

ボディメイクブームのきっかけとなったフィジーク系のコンテストなどに出場したいと考えている人にとっても、カーボローディングは効果的です。

減量時にしぼんだ筋肉を、糖質を摂取することによって一時的に大きくすることに繋がります。

カーボローディングのやり方

カーボローディングは、ただ摂取する糖質の量を増やせばいいというものではありません。実際には、いくつかの段階を経て行われます。

ここでは、カーボローディングのやり方を紹介しましょう。

試合1週間前

試合1週間前くらいになったら食事から糖質を除いていき、高たんぱく・高脂質食に変えていきます。これは、糖質を極力摂らないことで、体内のグリコーゲンを少なくすることが目的です。

急に糖質を制限すると、集中力の低下などを感じる人がいるかもしれません。その場合は、日ごとに糖質の量を減らしていき、徐々に制限するようにしましょう。

糖質量と同様に、練習も少しずつ量を減らして疲労の回復を行い、コンディションを整えていくのです。

試合3日前

試合3日前くらいになったら、一転して高糖質食に変えていきましょう。体内のグリコーゲンが少ない状態になっていることで、糖質を体内に貯めこもうとする働きが強くなっています。

その状態で糖質を多く摂取することにより、体内のグリコーゲン量を増やすことができるのです。

この時期は、食事の70%程度を糖質にするとよいとされています。ご飯や麺、パンなどを中心に、芋や根菜などの野菜もオススメです。

甘いものも糖質なのでもちろん構わないのですが、洋菓子など脂質を多く含むものは避けた方がよいでしょう。体重が増えないように、たんぱく質や脂質の摂取量は落としてください。

試合当日

試合前に食事したものがお腹に残っていると、腹痛やカラダの重さに繋がります。試合2時間前には食事を済ませておきましょう。

試合前にお腹がすくようであれば、糖質が多く含まれているゼリー系の飲料やバナナなどの果物、果汁100%のジュース、飴などでエネルギー補給するとよいでしょう。

一般的なやり方をご紹介しましたが、個人によって摂取量や効果は変わってきます。また、体重制限のある柔道や格闘技などの競技の場合、糖質を多く摂ることによって体重オーバーしてしまうリスクも考えられるでしょう。

大事な試合前にぶっつけ本番でやってみるというよりは、事前に何回かカーボローディングを行って、自分に合った方法を探してみることをオススメします。

試合前の食事でパフォーマンスは変わる

カーボローディングを効果的に行うことにより、試合中を通してよいパフォーマンスを発揮しやすくなります。

試合が連戦する競技の場合は、急激な食事変化が繰り返されることによって思うように効果が得られない場合があるでしょう。

そうした際には、試合3日前からの糖質量の増加部分だけをとり入れるなど、自分の体調や生活に合わせた方法を探り、調整しながら行う必要があるでしょう。

著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
公式HP/公式Facebook

<Text:和田拓巳>