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ハードな筋トレのやり過ぎで起こる病気「横紋筋融解症」とは。原因・症状・予防をトレーナーが解説

 筋トレの原則は、一定間隔の休息を挟みながら、負荷を段階的に増やしていくことです。トレーニングすることでいったん筋線維が傷ついて筋力は低下しますが、適切な休息を挟むことで回復し、結果としてトレーニング前より筋力が少しずつ向上するからです。

 超回復と呼ばれるこのメカニズム。頭では理解しやすいのですが、実際に実行するとなると、適切な休息期間とトレーニングの強度を見極めるのはやさしいことではありません。どこからが休み過ぎなのか、あるいは休みが少なすぎるのか。また、どれだけ追い込んだら負荷のかけ過ぎなのか、あるいは足りないのかなど。その人の能力や経験、体調、あるいは天候などの外的環境までもが関連してきますので、一概にその線を引くことはできません。

関連記事:筋トレ後に起こる「超回復」とは。効率よく筋肉を作るトレーニングの頻度・休む期間・1週間メニュー例

 「過ぎたるは及ばざるがごとし」という格言は、筋トレにも当てはまります。熱心にトレーニングに取り組み過ぎるあまり、いわゆるオーバーワーク状態に陥る人は少なくありません。トレーニングの効果が低下するだけならまだしも、ひどい場合は生活に支障まできたしてしまいます。そして筋肉への負荷が限界を超えると、横紋筋融解症(Rhabdomyolysis)と呼ばれる、医学的に病気とされる症状が現れることも稀にあります。

横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)とは

 横紋筋融解症は筋肉細胞が破壊され、血中に流れ出すことで引き起こされます。そして、その物質が腎臓を始めさまざまな臓器に影響を与えて腎不全の原因となり、最悪の場合は死に至ることもある病気です。

 横紋筋融解症は外傷や感電、感染症、薬の副作用なども原因になります。しかし、よく知られている事例として挙げられるのが、強度の高い運動によって極端に筋肉を酷使した後に発症してしまうことです。以前は軍隊の行軍やマラソンなど、長時間にわたる運動が原因になるケースが知られていました。しかし近年になって、クロスフィットやHIITなど、比較的短時間のうちに強度の高いトレーニングを行う人にも、この横紋筋融解症が起こりうることが分かってきたのです。

こんな人は横紋筋融解症になりやすい

 一般の人や運動不足の人は、あまり横紋筋融解症になることはありません。なぜなら、そのような人はそもそも強度の高い運動をするだけの体力がないからです。何らかの理由でそのような機会に見舞われたとしても、多くの場合は心理的ブレーキがかかり、体に害が出るまでに自分で運動をやめてしまいます。

 むしろ危険なのは、ある程度トレーニングを経験した中・上級者、あるいは元アスリートでブランクを経てトレーニングを再開した人。自分を極限まで追い込もうとしたり、ライバルに勝とうとしたり。つまり、頑張りすぎてリミッターを外してしまう人は要注意です。そして、高温多湿などの悪条件から来る脱水状態も、横紋筋融解症を誘発することが分かっています。

横紋筋融解症を予防するには

 横紋筋融解症にかかると、極度の筋肉痛、吐き気、嘔吐、頭痛、痙攣(けいれん)などの症状が表れます。そして、コーラ色の尿が出ることもあります。赤っぽい色をしているので、血尿と間違われることも多いのですが、これは筋肉が壊れて出てくるミオグロビンという物質が、腎臓を通して尿中に排泄されているものです。

 昔から「血尿が出るまでがんばれ」と強制するトレーナーや、ハードトレーニングを行う人が後を絶ちません。しかし、実際にこのような尿が出るというのは、大変に危険な状態である可能性があります。なぜなら、ミオグロビンは腎不全を引き起こすからです。

 横紋筋融解症にかかっても、ほとんどの場合は数時間から1週間程度の点滴注射による水分補給で完全に回復します。上記のような症状が見られて横紋筋融解症の疑いがある場合は、即座にトレーニングを中止して医師に相談してください。

関連記事:練習のしすぎで起きる「オーバートレーニング症候群」とは。原因・症状・予防法を解説

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛>

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