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「喫煙すると体力が落ちる」、「煙草はトレーニング効果を低下させる」はホント?

 喫煙が健康だけでなくスポーツ能力にも悪影響であることは、もはや誰もが知るところです。しかし、その具体的な内容までは、知らない人も多いのではないでしょうか。今回は煙草を吸うことで運動能力にどんな悪影響があるか解説するとともに、アスリートの喫煙者事情をご紹介します。

喫煙がカラダに与える3つのデメリット

 喫煙がスポーツ能力にどのような影響を与えるのか、3つのデメリットをご紹介していきます。

1.有酸素系運動能力の低下

 喫煙の最大のデメリットは、有酸素系の運動能力が低下してしまうこと。簡単に言えば、スタミナが低下してしまのです。喫煙とスポーツを調べた研究は数多くありますが、どれも有酸素系の運動能力の低下を報告しています。

 その要因は、たばこの煙に含まれる有害物質“一酸化炭素”です。一酸化炭素は、酸素を運ぶヘモグロビンや酸素を受け取るミオグロビンとの親和性が、酸素よりもはるかに高くなっています。これが喫煙により体内に入ることで、ヘモグロビンやミオグロビンは酸素より一酸化炭素と結びついてしまうのです。

 これによって低下するのが、「最大酸素摂取量(VO2max)」と呼ばれる能力です。最大酸素摂取量とは、1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量を示す数値であり、心肺持久力の指標として使われています。

 呼吸によって体内に取り入れた酸素は、糖や脂質からエネルギーを生み出します。酸素を取り込める量によってエネルギーを生み出せる能力は左右されます。喫煙によって血中の一酸化炭素が多くなることで、酸素を細胞へ運搬する能力が低下し、最大酸素摂取量が低下してしまうのです。

関連記事:「心拍トレーニング」の基礎知識!心拍数・LT・VO2MAXの計算式とおすすめトレーニング方法

2.回復力の低下

 喫煙が与える悪影響は、パフォーマンスを左右する能力だけではありません。カラダを回復させる能力も低下させてしまうのです。

 先ほどご紹介したように、喫煙によって酸素の運搬量が少なくなってしまうことで、組織の新陳代謝に時間がかかり回復が遅くなります。骨折などのケガが治るまでの時間も、喫煙をしている人としていない人では差が出るとされています。

 また、喫煙によって靭帯や腱、軟骨などを構成するコラーゲンの生成を促すビタミンCの損失が大きくなることも、回復力を落とす要因につながります。

3.健康被害と強い依存性

 皆さんもご存知の通り、喫煙によりさまざまな健康疾患が引き起こされます。肺がんをはじめ、虚血性心疾患、脳血管疾患などのリスクが高まることは知られているでしょう。特に心疾患や脳血管疾患などは、スポーツ中での発症リスクはさらに高まり、生命の危険を及ぼす場合もあります。それらの疾患は、喫煙したことによって急に引き起こされるわけではありません。しかし、喫煙には身体的・心理的に強い依存性があるため習慣になってしまい、これが大きな問題になるのです。

 強い依存性によりスポーツ能力が低下してしまうことを理解していても、喫煙をやめられないという方がいるのも確かです。また、依存性によってタバコを吸わないとイライラしやすく、集中できないという症状が起こる場合もあります。

プロアスリートでも喫煙する

 ここで疑問です。スポーツ能力の高さを仕事としているプロのアスリートたちは、喫煙しないのでしょうか。「プロなんだから当たり前だろう!」と思う人もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。喫煙しているプロのアスリートも大勢いるのです。パフォーマンスが低下してしまう可能性があるのを理解していても、タバコの依存性によって吸わないと集中できない。そんなアスリートも少なくないでしょう。

 プロチームでは、監督の意向により喫煙の禁止を義務づけるというチームもあるでしょう。しかし実際のところ、残念ながらまだまだ少数派のようです。

周囲の保護者・指導者も喫煙に気をつけるべき

 プロのアスリートが禁煙できない理由のひとつに、「監督やコーチも喫煙しているから」ということが挙げられます。

 プロアスリートであっても、人間付き合いは大切です。チームスポーツともなれば、さまざまなチームメイトや指導陣とのコミュニケーションができないと、チームとしての団結力が高まりません。また、喫煙者同士、リラックスしたタイミングでの指導やアドバイスなどは、選手にとっても貴重な機会なのかもしれません。そのため、選手に禁煙させたいのであれば、選手の周囲にいる指導者自身も喫煙することを控える必要があります。

 また、大人相手ではなく中学・高校などの部活動を指導している先生や監督・コーチは、特に喫煙に対して敏感になる必要があるでしょう。保護者も同じです。自宅であっても選手の前で喫煙することがないように気をつけることは、当然のことと言えるでしょう。

選手生命を伸ばしたい場合、喫煙は控えた方がよい

 喫煙したからといって、すぐにカラダに影響を与える訳ではありません。そのため、特に若い選手にとっては「喫煙したって何も影響はない」と考えがちです。しかし、選手生命を長く過ごしたいのであれば喫煙は禁物。選手自身に対し、周囲の指導者が喫煙の影響を徹底して指導していく必要があるでしょう。

[筆者プロフィール] 
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師のほか、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、さまざまなメディアで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会(JATI-ATI)の認定トレーニング指導者
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<Text:和田拓巳/Photo:Getty Images>

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