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ライフスタイル
2023年5月15日

朝からだるい、疲れがとれないときは「睡眠(休養)・運動・栄養」を見直すべし

 連休明けや月曜日の朝は、なんとなく体の調子が悪い、寝だめをしたはずなのに眠い、仕事が始まると思うと気分が落ち込むという話はよく聞きます。たいていは憂うつな月曜日を乗り越えればリズムを取り戻すことが多いのですが、なかには疲れが回復せずどんよりしたメンタルで過ごしている人も。

 今回はなんだか疲れが取れないときに知っておきたい知識と対策方法を、「睡眠(休養)・運動・栄養」の3つのポイントからご紹介します。

※石川泰弘さんは現在、大塚製薬に所属(2019年4月より)。本稿の情報は初出当時のものです。

【睡眠】まずは睡眠を確保しよう

 疲れがとれない、理由もなくイライラする、無性に落ち込むといった心とカラダの不調を感じたら、まず睡眠をきちんと摂れているかチェックしましょう。眠いときとお腹が空いているときは、普段より調子が悪く感じられるものです。

「疲れ」を感じたときの解決方法を尋ねたところ、全体で「睡眠」が8割程度(78.6%)と、ダントツのトップに。「入浴」が42.5%、「食事」が30.0%ですから、その数値がいかに高いかが分かります。

疲れの原因は "睡眠不足" がトップ。みんなの疲労対策は? より

日本人は睡眠が足りない

 理想の睡眠時間は個人によって異なるため、何時間寝れば完璧! という断言はできないのですが、だいたい7時間~8時間あたりが理想とされています。ちなみに日本人は睡眠時間が少ないと言われており、さらには睡眠の質もよくないという結果が、心拍トレーニング製品をリリースするポラール・エレクトロ・ジャパン株式会社の睡眠データから分かっています。

日本人の睡眠時間の表

日本人の睡眠時間、やっぱり短かった!睡眠の質も28か国中25位という結果に より

 日本人自体もその自覚はあるようで、朝起きたときからすでに眠いという話はよくSNSなどでも見かけます。しかし、多くの人は睡眠不足の自覚がありつつ、対策をしていないようです。

睡眠時間が長いだけでは……

 疲れていると感じたときは、普段より多めに睡眠時間を確保すればいいのですが、「たくさん寝ているはずなのに疲れが取れない」という悩みも多いようです。もしかすると、眠っているつもりでも眠りが浅く、きちんと休めていないのかもしれません。

 週末の寝だめ、夕方以降のカフェイン摂取、シャワーのみで済ませている、満腹すぎる状態で就寝しているなど、 “睡眠の質を下げる悪習慣”をしていないかチェックしてみましょう。

「まず普段の生活で、日中とてつもなく眠くなるようなことがあれば、睡眠時間が短いことを疑った方がいいです。また、お休みの日の寝坊の具合をチェックするのも、ひとつの指標になります。例えば、休日の朝に普段より2〜3時間程度の寝坊で済んでいれば、それほど問題ないと思います。しかし、4時間以上も多く寝ているのは、平日の眠りが不足して、いわゆる“睡眠負債”が溜まっている状態かもしれません」

疲労回復に効果的な眠り方とは?明日に疲れを残さない睡眠方法を専門家に教えてもらった より

睡眠の質を高めるにはお風呂が有効

 快眠のカギのひとつは“入浴”。面倒だからとシャワーで済ませている人は、試しに湯船に浸かってみましょう。お風呂博士として有名な石川泰弘さんいわく、疲労回復には基本的に血液循環をよくすることが重要で、湯に浸かることで肉体のみならずメンタルにもよい影響を与えるとのこと。血液循環がよくなるほか、筋肉の弛緩、自律神経のバランスを整えてリラックス効果を促すなど、質のいい眠りを作るために入浴は欠かせません、

お風呂に入って湯に浸かると、こういうふうに血行が促進され、血液循環がよくなり疲労回復に役立つわけですね。また、湯に浸かると浮力による筋肉が弛緩されカラダが緩み、ぬるめの湯なら副交感神経が優位になってリラックスします。リラックスしないと疲労の回復はないので、疲れたなという日はぬるめで自分が『心地よい』と感じる温度の湯に入ることをおすすめします。

お風呂に入れば睡眠の質も上がる。疲れたカラダに効果的な入浴法をお風呂博士に聞いてみた(前編) より

 シャワーはさっぱりしますが、自律神経のバランスを整えたり、血行を促進するといった効果は低いようです。朝に熱めのシャワーを浴びることは、交感神経を優位にするため目覚めにはピッタリなのですが、夜はやはりバスタブに浸かるほうがよさそうですね。

お風呂

寝る前のストレッチが熟睡に導く

 どうしてもお風呂に入る時間がなかった、シャワーで済ませてしまったという場合は、寝る前にストレッチをして血行促進を図りましょう。首から肩甲骨あたり、股関節部分などを伸ばすと、ぽかぽかして寝つきがよくなります。

1. 気になる方の肩を上にして横向きで寝る。
2.下側の肩甲骨を開いて前に腕を伸ばし、両腕を揃える。
3.肩甲骨を開くように上の腕を前に押し出すようにして、戻す。これを繰り返す。

【運動】家でゴロゴロしても疲れが取れないなら

 疲れたときは出歩かず、家でゆっくりする。もちろんそれもいい過ごし方ですが、もしゴロゴロしていても回復の気配が見えない場合、逆に少し運動してみるの効果的です。

アクティブレストとは日本語で「積極的休養」と呼ばれ、その名の通り積極的にカラダを動かすことによって疲労回復効果を高める方法です。「カラダを動かすと、さらに疲れるのでは」と思う人がいるかもしれません。しかし運動などでカラダを動かすと、血行がよくなって疲労物質の排出が促され、疲労回復の効果が高まるのです。

“家でゴロゴロ”じゃ疲れはとれない?疲労回復を高める「アクティブレスト」の種類と効果 より

動きすぎてカラダが疲れている場合

 トレーニングやアクティビティで物理的に肉体が疲れている場合は、セルフケアアイテムを使って筋肉をほぐすのも効果的。ゴルフボールやストレッチポールなどでゴリゴリ揉みほぐしたり、伸ばしてあげましょう。

運動はメンタルケアにも効果的

 軽い運動はストレスを解消し、心の健康を保つことにも繋がります。体を動かすと交感神経が活発化し、物事を前向きに捉えやすくなります。また、β-エンドルフィンの作用で憂うつな気持ちも和らぎやすくなると言われています。一時的な運動でもいいのですが、継続することでドーパミンの分泌が盛んになり、セロトニンの作用で心の安定化も期待できそうです。

体を動かすと交感神経が活発化し、物事を前向きにとらえやすくなります。また、β-エンドルフィンの作用で気持ちが高まり、幸せな気持ちになります。

なぜ「体を動かすと健康にいい」と言われるのか。運動がもたらす4つの効果 より

【栄養】食事面からも疲労回復をサポート

 好きなものを食べて幸せな気持ちになるように、栄養が足りないと心身の不調が出やすくなります。とくにダイエットやボディメイクで自己流の食事制限をしている人は、まず「PFCバランス」を整える必要があります。

PFCバランスとは、摂取カロリーのうち三大栄養素の「P=たんぱく質」「F=脂肪」「C=炭水化物」がどれくらいの割合を占めるかを示した比率のこと。

・たんぱく質:13~20%
・脂質:20~30%(飽和脂肪酸は7%以下とする)
・炭水化物:50~65%

筋トレやダイエット中の食事は「PFCバランス」を意識せよ。たんぱく質・脂質・炭水化物の量を見直す計算方法 より

積極的に摂りたい栄養素

 「PFCバランス」を整えたうえで、疲労回復のために積極的に摂りたい栄養素として、ビタミンC、B1、クエン酸、イミダペプチド、アスタキサンチンなどが挙げられます。フルーツ、豚肉、鶏むね肉、梅干し、お酢、オクラ・めかぶなどのネバネバ食材、サバ、鮭などを意識して食べてみるのもいいですね。

豚肉の食事

 疲れを回復させるために、「睡眠(休養)・運動・栄養」の三本柱でアプローチしていきましょう。

\睡眠の質について/

<Text:編集部>